労働関連筋骨格系障害(MSDs)=欧州で最多の労働関連健康問題に対処するキャンペーンを開始~いまこそ行動するとき:EU-OSHA(欧州労働安全衛生機関)/2020年10月12日

腰痛?仕事が原因の首の痛み?あなたはひとりではない。欧州労働安全衛生機関(EU-OSHA)は、労働関連筋骨格系障害(MSDs)に焦点をあてた、その2020年キャンペーン-健康的な職場は負担を軽くする-を開始した。これは、欧州全体の何百万もの労働者に影響を与えている-問題に対する注意を喚起することを目的とした行事や行動の出発点を印すものである。

可能な限り最善の労働環境を確保することは、労働者の健康と福祉にとって欠かせないし、だからこそすべての使用者の義務である。われわれの生き方・働き方にパンデミックが影響を与えているなかで、われわれ全員が今日出版されたガイダンス・リソースから利益を受けることができる。

それらを予防することを目的にした法令やイニシアティブにもかかわらず、およそ5人に3人の労働者がMSDsに罹患し、それらは欧州でもっとも多い労働関連健康問題であり続け、あらゆる仕事・部門の労働者に影響を与えている。反復動作、長時間座位や重量物挙上はまさに、筋肉、関節、腱や骨に影響を与える可能性のある、それらの状態の原因となるリスク要因のいくつかである。それらが労働者の生活の質に否定的な影響をもつことは明らかである。

キャンペーンの公式の開始を印すブリュッセルでの記者会見で、ニコラス・シュミット欧州委員会雇用・社会権担当委員は、行動をとる緊急の必要性を強調した。

[欧州]委員会は、欧州安全衛生機関(EU-OSHA)が今日開始した、労働関連筋骨格系障害(MSDs)問題に対処するキャンペーンを全面的に支持する。可能な限り最善の労働環境を確保することは、労働者の健康と福祉にとって欠かせないし、だからこそすべての使用者の義務である。われわれの多く-5人に3人-が、仕事の結果としての腰痛、筋肉のこりや首の痛みを経験している。これは、われわれの日常生活、われわれの生産性に重大な影響を及ぼす可能性があるし、われわれの身体的・精神的健康に有害でもあり得る。われわれの生き方・働き方にパンデミックが影響を与えているなかで、われわれ全員が今日出版されたガイダンス・リソースから利益を受けることができる。

キャンペーンの成功は、欧州中で、とりわけ中小零細企業において、キャンペーンとそのメッセージを促進するであろう、EU-OSHAの幅広い汎欧州ネットワーク-各国フォーカルポイント、公式キャンペーン・パートナー、メディア・パートナー、企業欧州ネットワーク-の献身に拠っている。

ドイツが理事会議長を努めるEUがMSDsに対して行動を起こす必要性を認め、その関与を約束しているもとで、社会パートナーと欧州諸機関の支援も非常に有益である。ドイツ連邦労働社会問題大臣フーベルトゥス・ハイルは以下のようにコメントした。

MSDsは欧州のすべての国に影響を与えている。われわれ全員に様々なかたちで影響を与えている。したがってそれは-工場のフロアや美容院から病棟や事務所まで-あらゆる欧州の職場で管理されなければならない。それゆえわれわれは、健康的な職場は負担を軽くするキャンペーンに全面的な支援を与える。

MSDsはまた、使用者と国の保健システムに重大な費用を負わせている。EU-OSHAのクリスタ・セドラチェク事務局長は以下のように強調した。

「引き起こされた人間の苦しみに加えて、労働者はその私生活と労働生活の様々な面を満たし損なっている。MSDsをかかえた労働者は、より頻繁かつより長期間仕事を休み、仕事中の生産性が下がる可能性があり、また早期に退職することもしばしばある。これはビジネスにとって悪い知らせであり、国の経済に対する重大な負担である。このキャンペーンは、早期の介入とリハビリテーションが必須であるとともに、完全に可能であることを強調するだろう。いま協力して、グッドプラクティスを採用することによって、われわれは将来の世代の労働者のMSDsを予防することができる。」

MSDsを予防・管理するための措置は単純かつ安価なことが多く、このことは健康的な職場は負担を軽くするキャンペーンの主要なメッセージのひとつである。キャンペーンは、医療や初等教育などのハイリスク部門に特別の焦点をきつつ、すべての部門の労働者と使用者に手を差し伸べるだろう。

慢性のMSDsをかかえる労働者が仕事にとどまり続けるのを支援することも、心理社会的リスクと労働者の多様性を考慮するとともに、MSD管理に-労働者、使用者、医療その他の関係者を関与させる-集団的アプローチを採用する必要性とともに、主要な焦点のひとつである。

例えばデジタル化や新たな技術など、から生じる新たなリスクや仕事を編成する方法に特別な注意を払うだろう。これは、多くの労働者を事務所の外に追い出し、家で働くことを強いてきたCOVID-19に照らして、とりわけ時宜にかなったことである。MSDsと在宅テレワークはキャンペーンの優先領域のひとつである。

リンク:
2020~2022年健康的な職場キャンペーンを訪問されたい。
労働関連MSDs及びEU-OSHAの労働関連MSDsに関する研究でより詳しい情報がみつけられる。
MSDsに関するOSHwikiの記事をチェック。
Napoショートビデオをご覧いただきたい。

https://osha.europa.eu/en/about-eu-osha/press-room/time-move-eu-osha-launches-campaign-address-europes-most-common-wor

「労働関連MSDsの予防に関する研究、方針及び慣行」プロジェクト報告書

2020年5~6月に、欧州リスク調査所(European Risk Observatory)が、3つの要素からなる「労働関連MSDsの予防に関する研究、方針及び慣行」プロジェクトの3つの報告書を公表している。
言わば今回のキャンペーンの基礎となる報告書であり、まとめて近くご紹介する予定でいる。

■労働関連筋骨格系障害(MSDs)=欧州で最多の労働関連健康問題に対処するキャンペーンを開始~いまこそ行動するとき:EU-OSHA(欧州労働安全衛生機関)/2020年10月12日
■労働関連筋骨格系障害(MSDs): EUにおける広がり、費用及び人口統計 欧州リスク調査所 2019.11.15
■労働関連筋骨格系障害:なぜまだそれほど流行しているのか? 文献レビューによる証拠 2020.5.4 概要報告書:欧州リスク調査所
■予防方針・慣行:労働関連 筋骨格系障害に対処するアプローチ 2020.5.19 概要報告書:欧州リスク調査所
■労働関連筋骨格系障害:研究から実践へ、何が学べるか? 2020.6.9 概要報告書:欧州リスク調査所
◆災害性腰痛は全職業病の4割、非災害性では上肢障害が最大-日本における筋骨格系障害の状況(2020.12.24)
◆本ウエブサイト上の筋骨格系障害関連情報