全国労働安全衛生センター連絡会議では、原発関連労働者支援局を設置し、放射線被ばく労働に従事する労働者の安全衛生対策、放射線障害の労災問題に取組んでいます。
これまでには、1970年代~80年代、関西労働者安全センターが敦賀原発で定期検査に従事し、放射線皮膚障害を発症した岩嘉数幸さんの労災認定闘争に取組み、また2000年代、神川労災職業病センターが福島原発等の工事現場監督だった長尾光明さんの多発性骨髄腫を初めて業務上疾病として認めさせ、東京電力に対する原子力損害賠償法に基づく裁判に取組みました。
2011年3月11日、東日本大震災よって東京電力福島第一原発は、3つの原子炉で炉心溶融が起き、2つの原子炉建屋が水素爆発で吹き飛びました。政府は電離放射線障害防止規則の特例措置として、緊急時被ばく線量の上限を100mSvから250mSvに引上げ、命がけで事故処理、収束作業に当たる作業員に、凄まじい高線量の放射線被ばくを強いました。
私たちは、いかに緊急事態とはいえ、緊急時被ばく線量の引上げを一方的に強行し、作業員に大量被ばくを容認した政府の対応を見過ごすわけにはいきませんでした。同年5月、関連省庁と交渉を行い、緊急時被ばく線量引上げの検証と撤回を求め、緊急作業従事者の健康管理、放射線被ばく防護対策の徹底を要請しました。
その後も被ばく労働問題に関連する省庁交渉を、原子力資料情報室、原水爆禁止国民会議等、他団体とも連携しながら継続しており、2020年3月で20回目を数えています。
これまで緊急時被ばく線量引上げの検証と撤回をはじめ、被ばくリスク低減と安全を最優先した廃炉工程の見直し、作業員の安全衛生、被ばく防護対策の徹底、労働条件、待遇改善、長期健康管理制度の確立、被ばく線量の一元的管理の制度化、技能実習生の除染業務と外国人労働者の被ばく労働への受入れ反対等を提起し、交渉しています。
また被ばく労働を考えるネットワーク、フクシマ原発労働者相談センターとも連携し、原発や除染での被ばく労働に従事する労働者の相談活動や労災問題に取組んでいます。
福島原発の事故収束作業等で放射線被ばくによる白血病を発症し、2015年10月に労災認定されたあらかぶさん(通称)は、同年11月、東電、九電を被告とする損害賠償請求裁判を提訴しました。私たちは「福島原発被ばく労災 損害賠償裁判を支える会」(あらかぶさんの裁判を支える会)を結成し、毎回傍聴や報告会を開催し、裁判闘争を支援しています。
2017年10月、福島第一原発で過労死した自動車整備工の猪狩忠昭さんの労災認定を支援し、東電や元請企業、雇主企業の過労死責任を追及する裁判闘争にも協力しています。
原子力関連労働者支援局では、今後も省庁との交渉をはじめ、様々な専門団体、NPO、労組と協力しながら、被ばく労働に従事する労働者のいのちと健康、権利を守るための取組みを進めていきます。

目次
- 原発被ばくなど放射線被ばくによる疾病(電離放射線障害)の労災認定状況~新たに白血病で認定 2023/3/10福島・富岡労基署~
- 労災・職業病ニュース一覧(2001年10月~2022年11月:24988件)2023/3/15更新
- <最新>日本の労働安全衛生をめぐる状況【2021年→2022年】~労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)統計の構造、労働安全衛生情報
- 大韓航空に続きアシアナ航空乗務員も「放射線ばく露」による血液がんで労災認定 2022年8月19日 韓国の労災・安全衛生
- 福島第一原発事故から11年-被ばく労働問題の現状とこれから:被ばく労働を考えるネットワーク
- 日本の労働安全衛生をめぐる状況【2020年→2021年】~労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)統計の構造、労働安全衛生情報
- 被ばく労働ネットワークが4/16に集会 片山夏子氏特別講演など~福島第一原発事故から10年ー被曝労働問題の現状と今後
- 眼の水晶体被ばく限度見直し等-改正電離放射線障害防止規則の2021年4月1日施行へ、施行通達も公表
- ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編(15回連載:片山夏子・山川剛史記者)<原発のない国へ>東京新聞
- 日本の労働安全衛生をめぐる状況【2019年→2020年】~労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)統計の構造、労働安全衛生情報
原発被ばくなど放射線被ばくによる疾病(電離放射線障害)の労災認定状況~新たに白血病で認定 2023/3/10福島・富岡労基署~
原子力発電所(原発)などでの被ばくを原因とする疾病の労災請求を受け、業務上疾病として認めるかどうかは、労災認定基準である「電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準に号昭和」(基発第810号昭和51(1976)年11月8日 […]

労災・職業病ニュース一覧(2001年10月~2022年11月:24988件)2023/3/15更新
労災職業病や職場の安全衛生に関係する新聞記事は、けっこうたくさんあります。補償にせよ予防対策にせよ、そうした情報は必ず職場などで役立つと考えて、神奈川労災職業病センターの機関誌「かながわ労災職業病」では、30年以上にわた […]

<最新>日本の労働安全衛生をめぐる状況【2021年→2022年】~労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)統計の構造、労働安全衛生情報
目次1.労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)の発生状況等● 労災保険新規受給者● 死亡災害● 死傷災害● 死亡災害対労働災害の比率● 業務上疾病● 労働者の健康状況等2.労働安全衛生対策● 労働災害防止計画● 新型コ […]

大韓航空に続きアシアナ航空乗務員も「放射線ばく露」による血液がんで労災認定 2022年8月19日 韓国の労災・安全衛生
26年以上アシアナ航空で勤務し、『骨髄形成異常症候群』の診断を受けた乗務員Aさん(57)が放射線ばく露による労災を認定された。アシアナ航空の乗務員では初めてだ。これまでに放射線ばく露で労災認定を受けた航空機乗務員はすべて […]

福島第一原発事故から11年-被ばく労働問題の現状とこれから:被ばく労働を考えるネットワーク
福島第一原発事故から11年-被ばく労働問題の現状とこれから被ばく労働を考えるネットワーク 日時:5月28日(土)13時30分開場 14時開始会場:文京区民センター 3A会議室資料代500円 講演:放射線防護はどうあるべき […]

日本の労働安全衛生をめぐる状況【2020年→2021年】~労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)統計の構造、労働安全衛生情報
<最新>日本の労働安全衛生をめぐる状況【2021年→2022年】~労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)統計の構造、労働安全衛生情報 は、こちら 目次1.労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)の発生状況等● 労災保険 […]

被ばく労働ネットワークが4/16に集会 片山夏子氏特別講演など~福島第一原発事故から10年ー被曝労働問題の現状と今後
被ばく労働を考えるネットワークが、「福島第一原発事故から10年ー被ばく労働問題の現状と今後」と題して、4月16日18時から集会を行う。 福島第一原発事故から10年-被ばく労働問題の現状と今後被ばく労働を考えるネットワーク […]
眼の水晶体被ばく限度見直し等-改正電離放射線障害防止規則の2021年4月1日施行へ、施行通達も公表
電離放射線障害防止規則が2020年4月1日に一部改正され、2021年4月1日から施行される。 今回の改正について、厚生労働省は以下のように説明している。「国際放射線防護委員会 (ICRP) が2011年4月に発表した『組 […]

ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編(15回連載:片山夏子・山川剛史記者)<原発のない国へ>東京新聞
福島第一原発事故報道で定評のある東京新聞で「ふくしまの10年・イチエフあの時 事故発生当初編」が連載された。当時の現場作業員のおかれていた状況の貴重な報告だ。 担当は、片山夏子・山川剛史記者。 片山夏子記者は事故後長く被 […]

日本の労働安全衛生をめぐる状況【2019年→2020年】~労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)統計の構造、労働安全衛生情報
最新版はこちら↓<最新>日本の労働安全衛生をめぐる状況【2020年→2021年】~労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)統計の構造、労働安全衛生情報 目次1.労働災害・職業病(業務災害・業務上疾病)の発生状況等● 労災 […]