「重病に罹ったのは低床車のため」宅配労働者が集団労災申請 2021年12月17日 韓国の労災・安全衛生
金浦で宅配労働をするクォン・ジフン(38)さんは、2015年に金浦新都市のあるマンション団地が宅配車両の地上への出入りを禁止したため、地下駐車場に出入りするために高さの低い低床車で配送をしてきた。1.24mほどの低床車に宅配物を載せて降ろすために、178センチの彼は跪かなければならない。
昨年夏、腰を曲げて仕事ができないほど痛みが激しく、救急車を呼んで応急室で治療を受けた。一日平均280~330個の物品を配送する彼は、腰だけでなく、首から膝・足首までズキズキし、びりっとする痛みが続いて、周期的に注射を打たなければならない。鎮痛剤と一緒に暮らす。クォンさんは「低床車のため、運転士はこの程度が普通」と言い、「地上の出入りを止めた理由は安全なのに、地下駐車場を利用すれば本当に安全なのかを訊きたい」と話した。
CJ大韓通運金浦ターミナルで働く宅配労働者20人余りが、低床車の利用で筋骨格系疾患に苦しめられているとして、集団で労災を申請することにした。車輌の地上への出入りを禁止した公園型マンションが密集して、低床車の使用比率が高い金浦地域から、筋骨格系疾患の労災申請をする計画だ。4月のソウルの高徳洞マンションでの宅配騒動以後、問題解決のために労使政が参加する協議体が構成されたが、今まで議論は空転している。全国宅配労組は関連の対策を要求してストライキを予告した。
宅配労組は16日に記者会見を行い、労働環境健康研究所が先月29日から今月1日までCJ大韓通運金浦ターミナルで働く労組の組合員35人に実施したアンケート結果を発表した。研究所は、痛みの発生期間・程度・周期性などを訊き、35人中22人が筋骨格系疾患に苦しめられているものと把握した。
低床車の利用者ほど比率が高いことが分かった。一般宅配・高床車輌の使用者の58.3%が症状を訴えたが、低床車の使用者は72.7%が疾患を病んでいる。一般の宅配車輌は貨物室の高さが2.5~2.7m程度で、マンションの地下駐車場の天井(2.3m)より高い。
症状を訴える部位は、腰が37.1%で最も多く、脚と足(31.4%)、肩(22.9%)、腕とヒジ(20%)、手・手首・指(14.3%)の順だった。27.2%が検診が必要な身体部位が『3ヶ所以上』と答え、1~2ヶ所と答えた回答者は36.4%だった。
仕事と健康のハン・インイム事務局長は、「筋骨格系疾患は肉体的な過負荷を招くため、単純に骨・椎間板の損傷では終わらず、脳・心血管系の疾患を誘発することがある。」「放置すれば労働力の喪失に繋がることもあり、早期治療が重要だ」と説明した。
5月に労組と宅配社、代理店、雇用労働部と国土交通部が参加する『地上公園化マンションの配送問題解決のための協議体』が構成された後、労働部が、低床車に有害要因曝露の危険性が高いという趣旨の報告書を発表したが、7ヶ月目の議論は空転している。労働部は作業者の姿勢と宅配物の重さを基準に、筋骨格系疾患の有害要因への曝露の危険性を評価し、低床車の場合、配送順序の整理作業と集貨・降車作業が、それぞれ高危険作業、危険作業だと報告した。
協議体は数回会議を続けたが、見解の差を狭められないまま、平行線を辿っている状況だ。マンションの集荷場に物品を置き、高齢者の宅配員がカートで家まで届けるシルバー宅配システムなどがテーブルに上がったが、労使双方の意見が対立し、先月初めから協議体は開かれていない。
全国宅配労組のチン・ギョンホ委員長は、「シルバー宅配などに一件当たり600ウォン程の手数料を払わなければならないのに、一件当たり750ウォン程を受け取る宅配労働者がこれを全部負担すれば、150ウォンしか手元に残らない。」「該当地域の宅配料金を一部引き上げることを前提に、入居者と宅配社、宅配労働者の三主体が共同で財源を準備する案も検討されたが、CJ大韓通運の反対で進展がない状況」と話した。
労組は、調査で症状を訴えた22人に関しては病院での検診を行い、労災を申請をする計画だ。金浦ターミナルだけでなく、全国で低床車を利用する宅配労働者の集団労災申請に拡大する可能性もある。労組は低床車の利用者を4千人内外と見ている。国土部は宅配車は600~700台と推定している。労組は関連の対策を求めて今月末のストライキを予告した。20日に労組のCJ大韓通運本部は代表者会議を行い、23日には争議行為の賛否投票をする予定だ。
2021年12月17日 毎日労働ニュース オ・コウン記者
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