頸肩腕障害で労災申請-印刷・出版職場のVDT問題●東京
記事/お問合せ:東京東部労災職業病センター(現・東京労働安全衛生センター)
(参考)上肢作業に基づく疾病【上肢障害】の労災認定基準・申請・認定・審査請求(腱鞘炎、手根管症候群、頸肩腕症候群(障害)、上腕骨外(内)上顆炎等】
●翻訳入力作業で腱鞘炎発症
Iさん(女性・26歳)は、印刷会社の翻訳センターに勤務し、パソコン入力による翻訳作業に従事してきた。コンピュータのマ ニュアルを英文から日本語に翻訳しながら入力していく、ポストと呼ばれる作業で、一日中ディス
プレーを見ながら、キーボードで入力していく作業だった。
昨年末から今年にかけて、所属部署が編成替えとなり、人員が半減したにもかかわらず、全体の業務量が増加したためパソコン入力作業などでとくに右手を酷使し、腱鞘炎を発症した。今年3月から休業に入っている。
●電算写植で頸肩腕障害に
もうひとりのNさん(女性・46歳)は、電算写植のオペレータ。今年1月に、亀戸ひまわり診療所を受診し、頸肩腕障害と診断されたが、無理をして勤務を続けたため、6月から休業するようになった。
経営者を入れて4名の小さな事業所で、彼女は、単行本のほかに、定期雑誌4点を担当していた。他の同僚に比べても業務量が多かったこと、機器の机が高く、常に上肢を浮かせて、首を肩に埋めるようにしてキー操作をするような作業姿勢を強いる作業環境であったことも、頸肩腕
障害発症の原因となっている。
現在Iさん,Nさんとも、東京・中央労働基準監督署に労災申請中である。
●印刷・出版職場のVDT環境
両者とも印刷・出版職場で、VDT作業に従事していたが、とくに作業基準は定められていなかった。繁忙期は、やるにまかせて、一日中パソコンや電算写植の端末操作をする日が連日続くような状態だった。
コンピュータ化が急激に進んだ印刷・出版職場でVDT作業による身体の不調を訴える労働者はiまだまだ潜在して
いるのではないか。
東京東部労災職業病センター
安全センター情報1996年12月号