「視神経脊髄炎」16年目に労災認定-サムソン半導体労働者の希少疾患 2020年9月16日/韓国の労災・安全衛生

サムソン半導体の工場で働いて希少疾患に罹った労働者が、16年目に労働(産業)災害を承認された。

ソウル行政法院は10日、サムソン電子半導体器興事業場で働き、『視神経脊髄炎』に罹ったAさんが、勤労福祉公団の療養不承認処分を取り消すように提起した訴訟で、原告の手を挙げた。

「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)が2017年3月6日、ソウル、瑞草洞のサムソン本館の前で『サムソン電子職業病問題の解決要求』記者会見を行っている。/カン・ユンジュン記者

Aさんは1997年、18才の時にサムソン電子半導体器興事業場の3ラインで働き、8年後の2005年に退社した。退社前の2004年に『急性横断性脊髄炎』の診断を受け、その後『多発性硬化症』と診断されたが、再び病名が『視神経脊髄炎』に変わった。『視神経脊髄炎』は非常に珍しい中枢神経系の炎症性の疾患で、現在、疫学研究者が足りていない疾病だ。

Aさんは2017年に勤労福祉公団に労働(産業)災害の申請をした。公団はAさんの発病原因が明確に明らかになっておらず、業務中に曝露した有害物質の情報が正確ではない、などの理由でこの申請を受け容れなかった。

しかし、裁判所は、Aさんが20余年前に勤務していた当時は、作業環境の有害物質への曝露レベルと希少疾患の職業的な発症原因を明確に立証しにくかったという事情などを考慮して、公団の決定が誤りだと判断した。

裁判所はAさんが働いた当時、工場の作業空間は分離されておらず、空気に乗って全工程で発生した有害物質が循環していた点、当時、勤務者が呼吸用の保護具を正しく着用せずに働いたことが多い点、オペレーターは業務効率のためにインターロック(安全装置)を解除したまま作業をしていたりした点、Aさんが相当の量の超過勤務をした点、などを考慮した。

また裁判所は、『視神経脊髄炎』の発病原因に関する研究はほとんどないが、産業安全保健法上の危険を、事業主か労働者のどちらか一方に転嫁せず、産業と社会全体が分担するようにした産災保険制度の目的も考慮すべきだと判断した。

「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)は「痛い身体で工場の有害環境を必死になって訴えている労働者に、更に厳格な証明を要求して職業病の被害を認めない勤労福祉公団の誤った慣行が、これ以上繰り返されないように願う」と話した。

2020月9月16日 京鄕新聞 キム・ジファン記者

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