サムソン電子、化学火傷事故の「手続き不良」を「労働者の不注意」と報告/韓国の労災・安全衛生2024年10月30日
サムソン電子が化学物質の飛散で発生した労働災害を、雇用労働部に縮小報告した情況が明らかになった。サムソン電子は災害事故の原因を、内部的には「作業手続きの不良」と判断したが、労働部には「作業者の不注意」と報告したことが把握された。
全国サムソン電子労働組合と事故にあった職員の説明を総合すれば、事故は6月5日にサムソン電子華城事業場の「中央化学物質供給装置」(CCSS)の遊休設備を撤去する過程で起きた。協力業者の労働者が配管を撤去する過程で、配管に残っていた液体がAさんの顔と首にかかった。撤去作業の前に配管に残っている化学物質を、安全のために水で流す『中性化』作業を行ったが、中性化ができていない物質が飛び散り、事故が発生した。Aさんは全治三週間の化学火傷を負って治療を受けた。
サムソン電子は事故原因を分析して対策を作る「裏技会議」で、「中性化の再認証に対する認識不足。(作業者の)不安定な行動の過程で、流体が飛散して接触」を、事故原因と指摘した。続けてサムソン電子は6月20日に労働部京畿支庁に労災調査票を提出し、災害の経緯として、「設備の撤去作業の監督中に、中性化が完了した配管内の凝縮水との接触」を原因とし、「撤去作業者の不注意」と書いた。事故の根本原因である「中性化不足」を除いたまま「中性化完了」と表現し、「作業者の不注意」に責任を転嫁したのだ。Aさんは「『凝縮水』とだけ表現すれば、火傷が熱によるものなのか化学物質のために発生したものかは確認しにくく、会社の誤りがないように見られ得る」と話した。
しかし、7月初めに最高安全保健責任者(CSO)に報告された事故原因と再発防止対策は、労働部への報告内容とは違っていた。サムソン電子「環境安全革新会議」は、作業前の中性化検証の不足などを事故原因と判断し、「完璧な中性化」と「撤去作業手続き補完」を対策として報告していたことが把握された。事故原因を「不良な作業手続き」と判断したわけだ。
サムソン電子の労災縮小の報告情況は、Aさんが情報公開請求等によって、会社が労働部などに提出した文書を確認する過程で明らかになった。Aさんは「会社が(5月に発生した)放射線被爆事故を『疾病』と主張したのを見て、私の労災に対して、労働部にどんな意見を出したのかを確認したかった」と話した。その上、サムソン電子は化学物質管理法に伴う化学事故申告もしなかったが、Aさんが指摘した後の8日になって、漢江流域環境庁に申告したことが確認された。
Aさんは先月から災害調査票の内容を正して欲しいと会社に要求したが、受け容れられなかったと主張した。彼は「会社に問題提起をすると、『後になって問題にする』と管理者たちが私を追及した」として、「これによってパニック障害の症状が再発し、治療を受けている」と話した。労組の関係者は「会社が問題解決よりも責任回避だけに没頭している」とし、「このような姿勢は、労働者との信頼を傷つけるだけでなく、事故予防にも役に立たない」と強調した。
これに対してサムソン電子の関係者は「事故を縮小報告しようとする意図はなかった。」「災害調査票の内容修正は現在検討中」と話した。
2024年10月30日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者