サムソン電子、『放射線被ばく』に装備の欠陥は認めるも、謝罪に「事故」はなかった/韓国の労災・安全衛生2024年09月13日

サムソン電子器興工場で作業中に放射線に被爆した労働者の手の様子(左)。サムソン半導体器興工場(右)/全国サムソン電子労働組合のホームページ

サムソン電子の最高安全責任者(CSO)が、5月に器興事業場で発生した放射線被爆事故について装備の問題を認め、危険要素への備えが不足していたと謝罪した。しかし、謝罪に『事故』という表現はなく、重大災害処罰法を避けるためという批判が出ている。

共に民主党のイ・ヨンウ議員室によると、サムソン電子の最高安全責任者のユン・テヤン副社長は12日、社内掲示板に器興事業所の放射線被ばく事故について、「初期対応の過程で、(放射線被ばくに遭った)お二人の心を十分に推し量れなかった部分をお詫びする」とし、「役・職員にご心配をおかけしたことに対し、お詫びする」と書いた。これに先立って、ユン・テヤン副社長は先月29日に、治療中の被爆被害者イ・ヨンギュさんを訪ねて謝った。今回はサムソン電子の全労働者に公開謝罪した。

ユン・テヤン副社長は「放射線に関連した作業で発生しうる危険要素をより積極的に把握し、備えるのに不足があった。」「今回のことを契機に、事業場内の放射線安全管理に、より一層万全を期す」とした。合わせて、装備の問題点と交替計画も出した。自主点検によって、事故が発生した装備と同じ種類の別の装備2台で、インターロック(放射能遮断安全装置)に問題を見付けて整備し、他の6台も早いうちに交替する計画、と明らかにした。ユン・テヤン副社長は、「関連機関と製作会社と一緒に、もう一度精密点検を実施中」で、「来年第1四半期までに完了し、製作会社を通じて周期的に点検を受ける」と明らかにした。

労働者のための安全管理強化計画も出した。ユン・テヤン副社長は「放射線に被曝した場合、直ちに認知して迅速に措置できるように、現在、個人別累積線量計の他に、リアルタイム個人放射線警報機を11月末までに全面導入する計画」で、「社内の放射線安全専門家を大幅に増やし、放射線設備を扱う役・職員教育も強化する計画」と明らかにした。続けて「事業者の非常対応プロセスも、放射線の被曝に備えて全面的に再整備する」として、「専門機関と関連国家機関と一緒に、改善が必要な部分を調べている」と付け加えた。

このようなサムソン電子の謝罪に、重大災害処罰法を避けるために事故を認めていないという批判が出ている。全国サムソン電子労組は「会社側が重大災害処罰法の適用を避けるために、放射線被爆事故が疾病だという意見を提出した状況で、意図的に『事故』、『負傷』などの単語を謝罪文に入れていないと見られる」とし、「重大労災の責任を回避しようとする姿勢を見せたものであり、真の謝罪とは見難い」と話した。イ・ヨンウ議員も「サムソンが重大災害処罰を回避するために、依然として事故による負傷ということを認めていない。」「国政監査によって重大災害処罰法の適用可否を綿密に問い糺す」と話した。これに先立って、サムソン電子は放射線被爆による災害は『病気に該当し、重大災害と見ることはできない』という意見を労働部に伝えたことが判った。

2024年9月13日 ハンギョレ新聞 キム・ヒジョム記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1158479.html