大法院「サムソン電子、作業環境測定報告書公開せよ」 2021年4月20日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/カン・イェスル記者

サムソン電子半導体の生産工程と白血病との因果関係を明らかにするために、パノリムが2014年から始めた作業環境測定結果報告書公開を巡る法廷での争いが、7年振りに一段落した。

パノリムによれば、大法院二部は14日、イ・ジョンラン公認労務士(パノリム)が中央行政審判委員会を相手に提起した、情報公開決定取り消し裁決の取り消しを求めた訴訟の上告審で、『工程と部署名を公開せよ』という、原告一部勝訴判決を行った。作業環境測定対象の有害物質が、どの工程、どんな作業場所から出たかを公開せよという決定だ。

事件の始まりは、2014年10月に、サムソン電子半導体職業病被害遺家族とパノリムが雇用労働部に提起した、『サムソン半導体温陽工場の作業環境測定結果報告書の情報公開請求』だ。労働部が全べてに非公開の決定を行って、訴訟に繫がった。2017年に、大田地方法院は労働部の手を挙げたが、2018年に、大田高等法院は遺族の手を挙げた。サムソン電子温陽工場の作業環境測定報告書の内、個人情報に該当する部分だけを除いて、全てを公開せよという判決だ。法院の決定を受け容れた労働部は、『安全保健資料情報公開請求処理指針』を改正した。産業災害の申請者だけでなく、第三者も情報公開請求によって安全保健資料を見ることができるようにしたのだ。

これに、サムソンは『営業機密の流出』として反発した。作業環境測定報告書は、有害物質が、どの作業で、どの程度曝露するかが記されているのに、サムソンは生産ラインの配置図と、工程で使われる化学製品の内訳などが含まれており、主な半導体製品の生産に関連した営業秘密だと主張した。2ラウンドが始まったのだ。

サムソンは2018年3月、産業通商資源部に、作業環境測定報告書に含まれた化学製品名と工程名を、『国家核心技術』として判定することを要求し、政府はこれを受け容れた。続いて、国民権益委員会傘下の中央行政審判委員会も、サムソンが提起した、サムソン半導体工場(温陽・器興・華城・平澤)と携帯電話工場(亀尾)の作業環境測定報告書の情報公開執行停止申請を受け容れた。事業場の有害性を測定して結果を確認する報告書が、突然、工程技術に関する報告書になったのだ。2019年8月、国会は国家核心技術は最初から非公開にする「産業技術の流出防止および保護に関する法律」(産業技術保護法)を改正した。いわゆる『サムソン保護法』と呼ばれる産業技術保護法は、『労働者の知る権利の破壊』という批判の中で、現在、憲法裁判所に違憲訴訟が係留中だ。

大法院の今回の判決は、パノリムが中央行政審判上の非公開裁決を取り消して欲しいとして提起した訴訟の結論だ。パノリムは「職業病被害労働者の産業災害立証のためには客観的な資料が必要で、サムソンを安全な職場にするには、作業環境安全保健情報を透明に明らかにする必要がある」として訴訟を起こした。

一審は「報告書には工程と設備の配置と該当工程に最適化された化学物質と新技術、新製品の特化工程を類推できる内容が含まれている」として、報告書の非公開を決めた。しかし、二審の法院は「ライン・層・Bay情報を除いた工程名だけを公開する場合、他の情報との組み合せの可能性はなく、工程名だけでは工程の順序と面積の配置などを計算することも難しく、競争業者としては、サムソンの工程、配置の方式を類推できないものと見られる」として、『測定対象工程』と『部署または工程名』の公開を決定した。大法院はこの二審の判断をそのまま認容した。

イム・チャウン弁護士は「工程名が公開されなければ、発ガン物質や生殖毒性物質に、工場内のどこで曝露したのかも分からなくなる。」「被災労働者・遺族たちが、数年間の訴訟をしなければ工程名も解らない状況が今の現実」と批判した。

2021年4月20日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=202413