故チェ・スッキョン選手に「いじめ労災」認定-スポーツ界で初 2021年4月21日 韓国の労災・安全衛生

昨年、慶州市庁トライアスロンチームで苛酷な行為にあった後、自ら命を絶ったチェ・スッキョン選手の死が、業務上疾病による死亡と認定された。体育界でいじめなどによる産業災害が認められたのは初めて。

正義党のカン・ウンミ議員室が21日に雇用労働部から受けた業務上疾病判定書によると、勤労福祉公団・大邱業務上疾病判定委員会は8日、出席委員の全員一致でチェ選手の死亡を業務上の疾病による死亡と判定した。耐えられない程のストレスによる精神的な異常状態で、極端な選択をしたということだ。慶州市体育会と1年単位の契約を結んだチェ選手は昨年6月、母親に『その人たちの罪を明らかにして欲しい』というメッセージを残して命を絶った。

判定委は、チェ選手が受けた苛酷な行為が死の原因だと見た。チェ選手は2017~2019年に慶州市庁チームで、監督、トレーナー、先輩などから頬や頭を殴られるなど常習的な暴行に遭い、強要されて無理矢理パンを食べさせられるなどの苛酷な行為に苦しめられた。チェ選手は2019年に受けた精神科の診療で、「情緒的不安定性、憂鬱、不安、恐慌発作などを経験し、これによる自我強度の低下、衝動性、自殺思考、自傷などを伴っている」として、『適応障害』と診断された。

加害者に対する告訴・陳情の過程で受けた圧迫感も、原因として挙げられた。昨年2月、チェ選手が加害者を告訴した後、加害者が本人に有利な陳述をするなど、捜査を妨害した。慶州市庁、国家人権委員会、大韓体育会などに陳情書を提出したが、実質的な調査が行われないため、チェ選手は心理的な圧迫を受けた。成績によって、年俸削減や契約解約されることもある実業チームの選手という職業的な不安定性も、ストレス要因として作用したと判断した。

今回の判定は、加害者の控訴審に影響を与えることになる。一審で、キム・キュボン前・慶州市庁チームの監督は懲役7年、A運動処方師は懲役8年を宣告された。検察は、これらはチェ選手の死と直接関連がないとして『業務上過失致傷』としたが、今回の決定を根拠に『業務上過失致死』に変更されるということだ。

チェ選手の父親のチェ・ヨンヒさんは「運動選手たちは、自分が労働者なのかも解らないケースが多いが、娘の死が運動選手として初めて産災と認定されて、有り難く思う。」「暴力が蔓延する体育界に警戒心を喚起し、第二、第三のスッキョンが出てこなければ良い」と話した。

2021年4月21日 京郷新聞 チョン・テヨン記者

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