弾発指と頸肩腕障害を認定-レバー付きの洗浄機による作業●大分

記事/問合せ: 大分県勤労者医療生協佐伯診療所 久米行則

大分県在住のY子さんは長期間、稚魚養殖場に勤務していた。レバー付きの浄機でアミを洗う作業など多様な、上肢などに繰り返し負担のある業務に従事し、両側の指の弾発指・頚肩腕障害を発症した。大分勤労者安全衛生センターと相談しながら、2010年7月、労災申請を行ったところ、佐伯労働基準監督署は2011年1月、業務上の決定を行った。ご本人から、業務内容、決定に至るまでの経過を文章化していただいた。

「種苗センターに入社して18年くらいです。特殊な仕事で知らない人が多いです。親魚に卵を産ませて、取り上げて孵化をし、育てる仕事をしていました。エサの仕込み、エサやり、水槽の底掃除、水槽のアミあらい、その他雑用など忙しい毎日でした。汚れた水槽やアミは高圧洗浄機で洗わないと落ちず、そのときにレバーを握り、高さ2.5mの水槽を毎日2ないし3時間洗います。

圧力があり、手元を放すと危ないので、力を入れて握っていました。男性はあまり洗わず、女性がほとんど洗うので大変でした。入社して10年ごろから指や腕に痛みを感じていましたが、忙しくて病院に行かずにいました。夜中に痛みで眠れない日が多くなり、平成21年ごろに専門医にかかりました。通院しながら定年まで勤めることができましたが、退職後は無理をしたため状態が悪く、先生に労災のことを話し、お願いしました。

労災の手続となると辞めた後の会社の対応は悪く、事業主の捺印も押してくれませんでした。先生に全部話をすると安全センターを紹介してくれました。センターの方も親切に相談を受けてくれ、また支援もしていただきました。先生も仕事の現場を実際にみることができず、意見書を書くのに苦労しているように思われ、申し訳なく思って居りました。先生が「困難な道になるかもしれないが最後までやりましょう」と言ってくれ、私も励まされ頑張ってきました。ここまでの道のりは大変でしたが、何も分からない私のために先生や安全センターのかた、そして周りの人たちに支えられて労災認定を受けることができました。皆様には深く感謝致して居ります。」

安全センター情報2011年6月号