特集/新型コロナウイルス感染症と安全衛生・労災補償②-2020年5月27日

NHKニュース・ウォッチ9 東京労働安全衛生センタ・天野理さんのインタビューを放映(2020年5月8日)

認定取り扱いを一定緩和、ようやく認定事例出始める-一層の請求・認定の促進が必要

前月号で、2020年4月27日に全国安全センターが厚生労働大臣に宛てて「新型コロナウイルス感染症と安全衛生及び労災補償に関する緊急要請」を出すに至る背景情報をまとめて報告した。
厚生労働省は翌28日付けで、労働基準局補償課長通達基補発0428第1号「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」を発するとともにそれに基づいて、30日にウエブサイト上の「Q&A(労働者の方向け)」の「5 労災補償」の内容を改訂した。

相談・問い合わせ対応の指示

その前にも新たにふたつの情報がもたらされた。

ひとつは、厚生労働省労働基準局補償課長が4月23日付けで「新型コロナウイルス感染症の労災保険給付に関する相談又は問い合わせがあった場合の適切な対応について」と題した事務連絡を発出していたこと。

「労災保険給付の請求については、感染経路が保健所等において特定できない場合であっても、労働基準監督署において個別の事案ごとに業務との関連性(業務起因性)について調査し、業務上外を判断することになる。このため、相談又は問い合わせがあった場合には、感染経路が特定できないことをもって直ちに保険給付の対象とならない旨説明するなど予断を持った対応を行うことのないよう徹底されたい」と指示したものである。

阿部知子衆議院議員事務所を通じて入手したものだが、立憲民主党の厚労部会で「相談窓口で不適切な対応があった」という指摘がなされたことをうけて発出されたものだとのこと。

4月24日付けの毎日新聞記事で紹介された、「厚生労働省は…感染ルートを厳格に特定できなくても業務中に感染したとみられる事例を含めて認める方針を固めた」ということの具体的対応がもしこの事務連絡だけだったとしたら、誇大広告も甚だしい。「幅広く、柔軟に解釈」する方針をあらためて具体的に示すべきであると考えられた。

事業主証明なくても請求受け付け

もうひとつは、福島みずほ参議院議員の照会に対する4月24日付けの厚生労働省労働基準局補償課の回答である。

回答時までの労災請求件数が3件だということが確認されるとともに、いずれも調査中で結論が出されたものはないことが、初めて確認された。
2009年の新型インフルエンザによる労災請求件数・支給決定件数については把握しておりません、ということで、なかば予想していたことではあるが、放っておけば今回もそうなってしまう可能性がある。

「緊急事態宣言による休業などの影響で事業主が労災申請に対応できないことがあり得る。事業主証明は不要とすることなど、手続きの簡素化の特例措置を検討できないか」に対しては、「労災保険制度では、事業主証明を受けられない事情がある場合には、当該事情について監督署にお伝えいただければ、事業主証明がなくても、請求書を受付しております」という回答。

私たちはもちろんこの取り扱いを承知している。例えば、証明を求めたのに事業主が協力してくれなかった場合などである。しかし、「事業主証明を受けられない事情」の確認にこだわられたら、現場では労災請求を抑制する結果につながりかねない。私たちが緊急要請で求めているのは、韓国の対応のように、事情のいかんに関わらず事業主証明がなくても請求を受け付けることを明示・周知して、請求を促すべきだと言うことである。

しかし、少なくとも、新型コロナウイルス感染症の労災保険請求に関連して、補償課が「事業主証明がなくても、請求書を受付」ると明示した文書回答をしていることを周知して、請求を促していきたい。

新通達とQ&A改訂の内容

そして、4月28日の新通達と30日のQ&A改訂である。「労災補償の考え方」として、「本感染症の現時点における感染状況と、症状がなくとも感染を拡大させるリスクがあるという本感染症の特性にかんがみた適切な対応が必要」なため、「当分の間」の「運用」として、以下の第3の場合について、「調査により感染経路が特定されなくとも、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められる場合には、 これに該当するものとして、 労災保険給付の対象とする」という考え方を示している。

「具体的な取扱いについて」はまず第1に、「医療従事者等」=「患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となること」とされた。

これは私たちの要請を受け入れる内容で、歓迎できるが、2009年5月の通達「新型インフルエンザに係る労災補償業務における留意点」と同じ取り扱いに「戻った」だけで当然のこととも言える。

第2に、医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されたものについては、「感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合には、労災保険給付の対象となること」とされた。

これも、2009年5月の通達「新型インフルエンザに係る労災補償業務における留意点」とまったく同じ内容に「戻った」ものであるが、当時も今回も「感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合」の具体的な判断基準は示されていない。改訂Q&Aのほうで、「感染経路が判明し、感染が業務によるものである場合については、労災保険給付の対象となります」と書かれているのがこれにあたると考えられるが、新型コロナウイルス感染症については、労働者がこれを立証するのは困難な場合が多いと思われる。

第3に、医療従事者等以外の労働者であって第2以外のものについて、「調査により感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる次のような労働環境下での業務に従事していた労働者が感染したときには、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること」とされ、次の2つの場合が示された。

  1. 複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務
  2. 顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務

これは今回新たに示された取り扱いで、私たちの要請した「『不特定多数や顧客応対業務など感染リスクのある職業群』について、積極的な反証のない限り、業務上疾病と認定すること」に対応するものとして、歓迎したい。

改訂Q&Aでは①について、「請求人を含め、2人以上の感染が確認された場合をいい、請求人以外の他の労働者が感染している場合のほか、例えば、施設利用者が感染している場合等を想定しています」、「なお、同一事業場内で、複数の労働者の感染があっても、お互いに近接や接触の機会がなく、業務での関係もないような場合は、これに当たらないと考えられます」としている(請求抑制につながる予断を与える可能性があるので、この「なお書き」部分は削除を求めたい。労働基準監督署はまず請求を受け付け、「無駄に慎重な」調査をするべきではなく、幅広く認定していく姿勢で臨まなければならない)。

改訂Q&Aでは②について、「小売業の販売業務、バス・タクシー等の運送業務、育児サービス業務等を想定」としているが、できるだけ幅広く認めるべきである。

私たちはさらに、「③公共交通機関を使って通勤していた場合」等を追加することができるし、すべきであると考える。

また、「業務により感染した蓋然性が高い」ものとみなすことにしたにもかかわらず、さらに、「業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断する」というのは判断基準が明快でないし、認定を狭める恐れがある。「当分の間」に限定せず、感染症の労災補償に当たっては、①②③等に該当する場合は、「積極的な反証がない限り『内在するする危険が具体化』したものとして積極的に認定すること」と整理することを求めたい(私たちの要請事項の(5)の趣旨)。
さらに、テレワーク中の労働者についても業務上と認定される可能性があることも明示すべきである。

以上は「国内の場合」であって、今回、「国外の場合」についても、2009年5月の通達「新型インフルエンザに係る労災補償業務における留意点」とまったく同じ内容-海外出張者については「出張先国が多数の本感染症の発生国であるとして、明らかに高い感染リスクを有すると客観的に認められる場合には、出張業務に内在する危険が具体化したものか否かを、個々の事案に促進て判断」、海外派遣特別加入者については、「国内労働者に準じて判断」することとされた。

また、「請求に対して支給・不支給の決定を行う際には、当分の間、事前に当課職業病認定対策室職業病認定業務第一係に協議すること」としているが、このことが迅速な認定を妨げることがあってはならないことも指摘しておきたい。

なお、今回4月28日付け通達自体及び「新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数等」の情報をQ&Aにアップしたこと(後述)も、私たちの要請を受け入れるものとして、歓迎したい。

しかし、状況が必要としている大胆な改善がなされたとまでは到底言い難く、4月27日の全国安全センターの緊急要請事項のその他の内容も含めて、一層の対応の改善・周知を要望したい。

メディアもCOVID-19と労災報道

過労死弁護団全国連絡会議は5月8・9日に緊急「コロナ労災・過重労働・過労死110番」を実施、NHKは5月8日のニュース・ウォッチ9で「労災認定の壁とは…医療従事者の間で何が」という特集を組んだ。後者では、東京労働安全衛生センターの天野理さんのインタビューも流され、5月9日のNHKニュース「新型コロナ感染 弁護士が労災相談に応じる『緊急電話相談』」は以下のように報じた。
「NPO法人『東京労働安全衛生センター』の天野理さんは、『公共交通機関を使うだけで感染のリスクがある以上、職種にかかわらず労災を広く認定すべきだ。感染経路の特定が難しいという特性があるのでどういうケースが労災と認められるのか分からず労働者は不安を感じている。このため厚生労働省は今後、労災と認めた事例をきちんと発表し、同様のケースがあれば申請するよう呼びかけるべきだ』と訴えています。

一方で、働く人に対しても『仕事で何をしたのか、誰と会ったのか、どこで、何時間働いたのかをメモで残しておくべきだ。感染した場合だけでなく過労や精神疾患になったときも労災を申請する資料に使える』として、日々の行動記録をとることを勧めています。」

共同通信も5月10日、「『速やかな認定』強まる声医師ら、迅速審査に不安も 新型コロナの労災」という記事を配信した。ここでも、「東京労働安全衛生センターの天野理さんは対象の職種や認定要件があいまいだと指摘。『多くの人と接する労働者であれば基本的に認定するべきだ』と話した」と書いている。

5月12日、信濃毎日新聞は「コロナ感染労災 従事者の補償を確実に」と題した社説を掲載した。

ようやくメディアでも新型コロナウイルス感染症の労災補償について報じられるようになってきたわけだが、報道を通じて、事業主の協力が受けられない場合の対応の重要性が一層増していることも浮き彫りになっている。

ようやく大臣が業務上決定発表

5月15日になってようやく加藤勝信厚生労働大臣が、初めての業務上決定がなされたことを発表した

「新型コロナウイルス感染症の労災保険給付に関して、昨日、日本医師会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会、日本病院会、全日本病院協会に、労災補償請求の勧奨等への協力を要請いたしました。現下の感染状況下では、とりわけ、各医療機関において、感染予防対策を講じていただきながら、日々懸命に、患者さんへの治療・看護などの業務に当たっていただいておりますけれども、こうした皆さんが何かあったときに対応できる、そういった安心感を持っていただくという意味においても、労災保険がセーフティネットの役割をしっかり果たすことが重要だと考えております。このため、医療従事者については、業務外での感染が明らかなもの以外は、原則として労災補償の対象になるというこの取扱いを、先月28日に全国の労働局に通知し、労働局における適切な対応の徹底を指示いたしました。

また、厚生労働省ホームページのQ&Aにも載せておりますけれども、改めて、今回、医療現場により一層浸透させ、それと皆さんに理解を深めていただくことが必要ということがあり、冒頭申し上げたような要請をいたしました。改めて、医療従事者の方が感染した場合には、速やかに、かつ、これはご本人が請求していただかなければなりませんが、ご本人に労災請求を勧奨するとともに、その請求手続きに当たって各医療機関に御協力をいただくことを、私からも改めて強くお願いしたいと思います。なお、新型コロナウイルス感染症について、現時点での労災請求は、5月14日現在で39件でありますが、このうち調査が終了したものを、今週初めて2件支給決定しました。1件は医療従事者等、それ以外が1件となっております。引き続き、労災請求に対して、迅速に決定していけるよう、指示したところであります。」

迅速な認定、請求の一層の促進を

厚生労働省が公表した「新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数等」によると、全国の労災保険請求は4月30日現在4件、5月8日7件、5月12日29件、5月14日39件で、この時点で初めて2件に業務上決定がなされ、先述の厚生労働大臣会見がなされた。その後は、5月18日請求40件・支給決定3件、5月19日請求42件・支給決定3件、5月20日請求43件・支給決定3件、5月22日請求44件・支給決定4件、5月26日請求49件・支給決定5件(5月27日公表)と、情報の更新が続いている。

5月26日時点での請求49件の内訳は、医療従事者等35件(医療業23件、社会保険・社会福祉・介護事業11件、複合サービス事業1件)、医療従事者等以外14件(建設業1件、製造業2件、運輸・郵便業1件、卸売業・小売業3件、学術研究、専門・技術サービス業1件、宿泊業、飲食サービス業2件、生活関連サービス業1件、医療業2件、社会保険・社会福祉・介護事業1件)となっている。

同じく支給決定5件の内訳は、医療従事者等件2(医療業2件)、医療従事者等以外3件(建設業1件、生活関連サービス業1件、医療業1件)となっている。

これらの数字はあまりにも少なすぎる。

例えば、5月18日付けの日経ヘルスケアの記事は、「陽性者の人数は、5月17日時点の判明分だけで少なくとも医師が150人以上、看護師が490人以上、介護職員やその他の職員、内訳が未判明な職員等を含めると計1330人以上になる。…厚生労働省の調べによると、5月17日時点でのCOVID-19感染者は1万6285例。医療・介護・障害福祉の従事者の陽性者(1330人)が占める割合は約8.2%となる」と報じているのである。1330人に対して請求35件では、わずか2.6%にしかならない。

「事情」にこだわらずに事業主証明なしでも請求を受け付けることを明示して、労災請求を促進すべきである。その際、労災保険請求は労働者の権利であり、事業主はそれに協力する義務があることを徹底するとともに、クラスター発生が報じられたような職場については個別に請求の勧奨を行うことが必要である。厚生労働省は別掲のような「新型コロナウイルス感染症による労働災害も労働者私傷病報告の提出が必要です」というリーフレットを作成しているが、提出を待っているだけでは不十分であるし、「労災隠しは犯罪です」というメッセージを合わせて周知すべきである。

また、認定された具体的な事例の概要を積極的に紹介するとともに、認定の考え方を、積極的な反証がない限り、できるだけ早く認めるよう大胆に改善すべきである。

全国安全センターは、ウエブサイトのリニューアルに合わせて「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患し、労災保険請求を考えている皆様へ」請求を行うよう訴え、関連情報をいち早く提供するとともに、フェイスブックやツイッター(アカウント@joshrc2020)でも情報提供に努めている。

公務員の災害補償はゼロ?

なお、地方公務員災害補償基金は、3月26日付けで補償課長事務連絡「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における公務災害及び通勤災害の認定について(通知)」を出し、「公務(通勤)起因性が不明確な災害については、個別事案ごとに本部で相談に応じます」としていた。

しかし、厚生労働省の4月28日付け通達を受けて、5月1日付けで地基補第145号「新型コロナウイルス感染症の公務災害における取扱いについて」を発し、「労災補償との均衡を失しないよう」厚生労働省通達と同じ取り扱いにすることを指示したうえで、「公務上・外の認定を行う際には、当分の間、当職[補償課長]まで連絡」するよう指示した。

また、総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室長も、4月30日付けで総行安第20号「非常勤の地方公務員に係る新型コロナウイルス感染症の公務災害補償について」を発し、同じく「労災補償との均衡を失しない」運用を指示した。

しかし、地方公務員に係る請求・認定件数等は公表されていない。福島みずほ参議院議員に対する総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室の5月18日付けの回答によると、「医師、看護師、警察官、救急隊員などが感染した場合の公務災害認定に関する問い合わせなど、基金支部から基金本部への相談自体は20件を超えている」ものの、申請はゼロとのことであった。

過去の報道をみても、以下のように地方公務員の感染発症例があり、いまだに申請、認定がゼロというのは不可解である。第一線の現場労働者のいのちと健康と生活が守られているのかが懸念される。地方公務員の「コロナ公務災害」の申請と認定も促進されなければならない。

  • 救急隊員の感染「想定せず」 神奈川県と横浜市、十分な対策強調 発熱後も1件担当(毎日新聞2020年2月16日)
  • 明石の救急隊員、なぜ感染 通報時に感染の見極め難しく(神戸新聞2020年4月28日)
  • <新型コロナ>千葉県、救急隊員ら7人感染 7日連続1桁台(千葉日報2020年5月3日)
  • 【新型コロナ】横浜で新たに6人が感染 1人は救急隊員で陽性患者を搬送)(カナコロ 神奈川新聞社2020年5月11日)

国家公務員についても、報道を少し振り返っただけでも、ダイヤモンドプリンセス関連で横浜検疫所の職員が少なくとも6人感染していると報道されている。他にも各地の検疫所で検疫官らの感染が報道されている。また、外務省の報道発表をみると、3月21日に在チェコ共和国日本国大使館職員の新型コロナウイルス感染症の感染が報告されており、以降、5月5日の在アフガニスタン日本国大使館職員の感染まで10人の在外公館職員の感染が報告されている。外務省内部部局でも領事局長の感染など2名の感染が明らかにされている。

しかし、国家公務員関係については、公務災害における取り扱い方についても、請求・認定件数も公表されていない。

ただし、国家公務員については、新型コロナウイルス感染症に関わる休暇について、人事院事務総局職員福祉局長発3月1日付け職職-104(本稿執筆時点で最終改正:3月27日職職-140)「新型コロナウイルス感染症拡大防止において出勤することが著しく困難であると認められる場合の休暇の取扱いについて」により、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律19条の「特別休暇」として扱うということなので、関連する休業は全部有給になっている。

さらに、この措置については、3月27日付け総行公第56号総務省自治行政局公務員部公務員課長通知「『新型コロナウイルス感染症拡大防止において出勤することが著しく困難であると認められる場合の休暇の取扱いについて』の一部改正について」で、「国家公務員と同様に、[地方公務員についても]常勤・非常勤を問わず『有給』の特別休暇とするとともに、休暇の取得についても格段の御配慮をいただき」としている。

結果的に、公務上であろうがなかろうが、コロナ関係で休むことによる給与や待遇面での不利益は公務員についてはないことになっているようだ。これが、地方・国家公務員の公務上事例「ゼロ」の理由になっているのかもしれない。

しかし、前述の地方公務員関係の公務災害における取り扱いに関する指示はなお生きている。地方公務員については、労働安全衛生法第100条に基づく労働者死傷病報告は公務員に対しても適用される。国家公務員の場合は、被災職員が所属する省庁の側、つまり、当局の側から公務災害の発生を「探知」して認定し、被災職員や遺族に通知しなければならないという仕組みが基本になっている。諸制度の適正な運用の確保にとどまらず、現在及び将来の安全衛生対策に資するためにも、公務上の新型コロナウイルス感染症の発生状況が正確に把握されるべきだと考える。

感染予防・健康管理対策

なお、「5月4日に改正された『基本的対処方針』には、『事業者及び関係団体は(中略)業種や施設の種類ごとにガイドラインを作成するなど、自主的な感染防止のための取り組みを進めること』と記され…さらに、5月14日に『基本的対処方針』が改正され、緊急事態措置を実施すべき区域を北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府及び兵庫県とするとともに、緊急事態措置を実施すべきでない区域についても基本的な感染防止策の徹底等を継続する必要がある等の変更がなされ」たことから、厚生労働省は5月15日に「職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防、健康管理の強化について、経済団体などに協力を依頼」している。

今後、緊急事態宣言解除後の感染予防・健康管理対策が重要になってくる。今回、欧州労働安全衛生機関(EU-OSHA)の「COVID-19:職場への復帰-職場の適応と労働者の保護」国際労働機関(ILO)の「2019年ILO暴力・ハラスメント条約-COVID-19対応・回復を支援することのできる12の方法」を紹介した。

古谷杉郎
全国労働安全衛生センター連絡会議 事務局長

安全センター情報2020年7月号

安全センター情報2020年6月号特集 特集/新型コロナウイルス感染症と安全衛生・労災補償①(2020年4月27日)

特集/新型コロナウイルス感染症と安全衛生・労災補償③-2020年7月1日

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