配達労働の初の「危険性評価」・・・「アルゴリズムが危険要因」/韓国の労災・安全衛生2024年04月23日

配達労働者がしばらく停まって紙に何か書いている。/ハン・スビン記者

配達労働に対する初めての危険性評価の結果、配達アプリケーションのアルゴリズムが危険要因であることが判った。配達ライダーが運転中にアプリ画面を見るために前方を注視できない問題、プラットフォーム業者が暴雨・大雪などの危険な時に手数料を多く支給する問題などを改善しなければならないという指摘が出ている。

韓国労働安全保健研究所のチェ・ミン常任活動家(職業環境医学専門医)は、「ライダー(配達労働)の危険性評価研究発表と対策作りの討論会」で、このような問題点を指摘した。

産業安全保健法36条は、事業主に、労使が自ら危険要因を発掘・改善する危険性評価義務を付与している。しかし、労災承認の件数で一位を記録中の「配達の民族」などのプラットフォーム企業は、配達ライダーは労働者ではなく個人事業者だという理由で、危険性評価をしていない。これに対し、韓国労働安全保健研究所・仕事環境健康センター、公共運輸労組ライダーユニオン支部が、先制的に危険性評価ツールを開発して実態調査をした結果をこの日の討論会で公開した。

研究陣は昨年末に二回の配達ライダーとの懇談会を行った後、準備要因、運転要因、人間工学要因、運転外移動、職務ストレス、アプリとアルゴリズム、休憩空間の七つの領域に38のアンケート項目を選定した。これを土台に2月27~28日にオンラインアンケート調査を行い、配達ライダー860人が参加した。

調査の結果、38の危険性の内、11個は「重大な危険」に該当した。リスクレベルは、軽微なリスク、許容できるリスク、中等度リスク、重大なリスク、許容できないリスクの五つに区分される。重大な危険に挙げられた要因は、主に雨・雪などで滑りやすい道路、他の運転者のスピード違反・信号違反など危険運転、二輪車運転に不利な道路事情などの運転要因と、運転中にアプリを操作するために危険だったり、運転中にアプリを見なければならないこと、豪雨・大雪の時に配達するよう誘引するプロモーションなど、アプリとアルゴリズムの要因が明らかに多かった。

チェ・ミン常任活動家は「今回の危険性評価調査で、アプリとアルゴリズムが労働者の安全に関しての重要な決定要因であり、危険要因として現れたということは注目に値する」と話した。更に「労使が危険性評価計画を一緒に立てて、定量的に効果を測定するための調査・研究を継続することが必要だ。」「特に、ライダーの声がプラットフォーム会社に伝えられる通路がなければならない」と話した。

安全保健管理の核心である危険性評価が、配達ライダーのような特殊雇用職・プラットフォーム労働者に適用されていない状況を解決することが必要だという指摘も出ている。働く環境健康センターのリュ・ヒョンチョル理事長は「政府が主唱する『自己規律』安全保健管理体系と危険性評価のモデルになったイギリスの場合、危険性評価対象を、雇用関係を超えて積極的に拡張している」と話した。続けて「危険を甘受する不安全行動を助長し、事故・危険を起こしかねないアルゴリズムに対する管理責任を担当する行政部署の役割も必要だ」と話した。

2024年4月23日 京郷新聞 キム・ジファン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202404231455001