世界で高まるタルクとアスベスト・がんへの関心
近年、タルクとアスベスト・がんとの関係に対する関心が世界的に高まっています。
直接的なきっかけは、
- アメリカでの裁判のなかで、ジョンソン・エンド・ジョンソン社が過去自社のタルク製品がアスベストに汚染されていることを知りながら隠していたことが明らかになり高額の賠償を負わされたこと
- これもアメリカを中心に現在販売されているタルク製品にもアスベストに汚染されたものがあることが明らかになったことです。
関連していくつかの課題が浮上しています。
- 第1に、タルク中のアスベストを正確に分析できる方法の確立です。アメリカで連邦政府機関による対応が具体化しはじめました。
- 第2に、アスベストに汚染されたタルクによる健康影響の評価です。第1の分析方法が問題をかかえてきたことから、過去の知見についてもあらためて見直す必要があります。
- 第3に、タルク自体の健康影響の評価です。アスベストに汚染されていなかったとしても、タルク自体に発がん性があることは、すでに部分的に国際がん研究機関(IARC)によっても確認されています。
日本でも1979年代後半に、ベビーパウダー(タルク)のアスベスト汚染が確認され、以降関係業界が自主的にチェックしていることになっていますが、国が第1の課題として議論されているような信頼できる分析方法を示せていないなかで、まったく同じ課題をかかえています。
この問題に関連した情報を安全センター情報で伝えています。
2020年5月
古谷杉郎(全国労働安全衛生センター連絡会議事務局長)