アスベスト混入タルク・ベビーパウダー問題:北米でのタルク原料製品販売中止に関して石綿対策全国連(BANJAN)がJ&J社に問合せ
J&J(ジョンソンエンドジョンソン)社の日本国内での対応、情報、試料提供求める
5月22日、石綿対策全国連絡会議(東京)はJ&J(ジョンソンエンドジョンソン)社に対して、同社Webサイトから問合せをした。
私たちは、1987年に設立された、労働組合、市民団体、アスベスト被害者・家族団体や関心をもつ個人で構成される石綿対策全国連絡会議と申します。
5月19日ニューヨークタイムズ等によりジョンソン・エンド・ジョンソン社がタルクを原料とした製品の北米(アメリカ・カナダ)での販売を中止すると報道されました。
日本ではどうされるのでしょうか?
もし、日本では販売を継続する予定であるとしたらその理由をお聞かせください。
合わせて、日本におけるタルクを原料とした製品販売の経過と現状について、タルクの入手先と製品製造場所を含めて、試料を提供していただけると幸いです。
石綿対策全国連絡会議
事務局長 古谷杉郎
2020年5月19日、米ジョンソンエンドジョンソン(J&J)社はアメリカとカナダでのタルクを原料とするベビーパウダーの販売を中止すると発表した。
J&J、米・カナダでタルク使ったベビーパウダー販売中止へ
(ロイター 2020年5月20日)
https://jp.reuters.com/article/johnson-johnson-babypowder-idJPKBN22V37U
アメリカのタルク問題をめぐる最近の状況については、全国安全センターで紹介してあるので、そちらをご覧いただきたい。
問題の中心にある「ベビーパウダー」をはじめ、実にさまざな用途に原料として使用されるタルク(滑石)アスベストが混入することがあることは、知られている事実だ。(産業現場でタルクに職業的にばく露して、混入していたアスベストが原因だとして労災認定された中皮腫事例は現在までに相当数にのぼっている。)
いまから33年前の1987年、ベビーパウダーへのアスベスト混入が大きくメディアが取り上げられ、厚生省が通知を出すに至っている。
「さらに1987年7月にはベビーパウダーに石綿が混入しているという分析結果が、ショッキングなニュースとして大々的に伝えられた。分析を行った産業医学研究所・神山宣彦氏が1975年に行った分析結果ですでに確認されていたにも関わらず、石綿に汚染されていたベビーパウダーが流通し続けていたという事実も関心を煽ることとなった。厚生省(薬務局審査第2課長)は「ベビーパウダーの品質確保のための検討会」を設け、11月に、今後輸入、製造にあたって原料に石綿が含まれていないことをメーカー側に確認させるよう、各都道府県に通知した。また、学校で使用される石綿金網や石綿含有水道管のことなども問題になった。」
「アスベスト問題の過去と現在 石綿対策全国連絡会議の20年」(アットワークス社)
一方、日本におけるアスベスト混入タルクベビーパウダー問題のこれまでの経緯や現在の中皮腫発生状況との関連についても検討が必要ではないのか、といった疑問も禁じ得ない、そのような今回のJ&Jタルク・ベビーパウダー事件をめぐる状況である。
まずは、石綿全国連へのJ&J社の回答が注目される。