「くやしい」遺書を残して亡くなったロジェン宅配労働者 2020年10月21日 韓国の労災・安全衛生

全国宅配労組

ロジェン宅配の労働者が20日明け方、ロジェン宅配の釜山の支店のターミナルで自ら命を絶った。「くやしいです」という文章で始まる遺書には、金にならない配送区域を配分されて、生活苦に苦しめられた状況と、劣悪な労働環境を批判する内容が書かれていた。今年で10人目の宅配労働者の死だ。勤労基準法の死角地帯で無限競争に追い遣られた特殊雇用労働者の苦痛が爆発している。

「苦しくて、金を稼げないで」誰も引き受けない配送区域を担当した新参技師

故人は明け方2時41分に、現場の同僚のKさんにSNSで遺書を送った。故人と一緒に働いた同僚の証言と遺書を総合すると、故人は宅配の仕事を始めるために車輌を購入し、権利金300万ウォンと保証金500万ウォンを出したが、収入が少なく、生活に苦しんだ。権利金は配送区域を受け取る代価として、前の担当技師に出す金だ。故人が引き受けた区域は収入が少なく、仕事は難しくて技師がいなかった区域なので、権利金は支店が受け取った。権利金と保証金を支店に出したのだ。

遺書によれば、故人が稼いだ金は200万ウォンほどだった。低利の借金をして、元金と利子の120万ウォンを返すために、生活を維持するには足りなかった。

権利金のために仕事を辞めることもできなかった。辞める時は、自分の配送区域を引き受ける後任を見付けなければならないという契約条項のせいだ。同じ事業場で働く全国宅配労組ロジェン宅配のチョン支会長は、「保証金や権利金があるため、辞めると損害が大きい」ので「辞めるのが難しい構造」と説明した。

日常的に過重な業務に苦しめられたという証言もある。チョン支会長は「故人は午前8時に出てきて、夕方10~11時まで、週4~5日働いた」と話した。労組によれば、故人は一日平均200個余りの配送物を消化した。現場労働者は「業界1位のCJ大韓通運の基準で400~500個のレベル」とし、「故人が引き受けた業務量は一人で耐えられるレベルではない」と話した。故人が担当した配送区域はマンションが6つの団地だ。ロジェン宅配は相対的に配送物が少ない。マンション一棟に配送物が一つしかないこともあって、エレベーターに乗って上がっては降りるのに時間が多くかかる。

故人の同僚のKさんは「金にならないマンション団地、配送だけで暮らすには難しく、集荷取引所もなく、誰もしたくない区域だった」と話した。故人は、昨年の今時分に初めて宅配の仕事を始めた1年目の技師だった。

業務ストレスと過労が作った産業災害(労働災害)

故人が働いた現場は劣悪だった。労組によれば、政府と業界が、秋夕の配送物の急増に備えて分類作業に人員1万人を投入すると言ったが、約束は履行されなかった。去年の夏の暑さで荷降ろし・分類作業に困難を感じると、現場労働者は直ぐに中古エアコンを買ってくれと言ったが、支店は日が昇る30分前に仕事を始めるようにさせた。

「仕事と健康」のハン・イニム事務局長は「典型的な過労による事故」とし、「韓国は長時間労働だけを過労と考えるが、過労死防止法がある日本では、過労は長時間労働と業務上のいじめを含む、業務中に発生する一連のストレスによって発生する心血管系疾患と精神疾患も過労に含ませている」と説明した。ハン事務局長は、「故人は貧困状態にあったし、大金を出させる不合理な『甲質』に遭って、辞めようとしたが、後任を探せと言われると辞められない、様々な『甲質』による極度のストレスで命を絶ったと見られる」と話し、「政府は実態調査だけでなく、勤労監督によって長時間労働と不当契約のすべて摘発すべきだ」と付け加えた。

労組のキム・インボン事務局長は、「本社段階で権利金・保証金制度を廃止すべきだ」とし、「宅配労働者が辞めたくても辞められなくする契約条項もやはり、なくさなければならない」と主張した。キム事務局長は「本社は利益だけを持っていき、支店は施設の責任を抱え込んでいる」として、改善を促した。

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=167123

2020年10月21日 毎日労働ニュース カン・イェスル記者