現場監督がゆるむと、結局死亡事故が増えた 2020年1月22日 韓国の労災・安全衛生

▲資料写真/チョン・キフン記者

昨年の産業災害事故による死亡者が前年より増加したことが明らかになった。コロナ19の拡散で政府の現場監督がゆるみ、企業の自律に任せた産災予防活動が主な原因として挙げられる。任期内に産災事故死亡者を半分に減らすという国政目標達成の可能性が低くなっている。

産災死亡事故を半分に縮小する国政目標の達成は難しく

雇用労働部によれば、昨年、産災事故で亡くなった労働者は882人で、2019年(855人)より27人増えた。事故死亡者の半分以上(51.9%)は建設業だった。38人の労働者の命を奪った昨年4月の利川物流倉庫火災惨事などの影響と見られる。

産災事故死亡者が再び増加傾向に転換して、産災予防に関連する文在寅政府の国政目標は、任期内での達成は難しいと判断される。政府は1千人内外で発生する産災死亡者数を、任期内に半分に減らすと発表している。2016年969人だった死亡者を、大統領の任期の最後の年の2022年には、500人台に減らすということだ。勤労監督官の増員と不意のパトロール点検などによって、2019年に855人にまで減少したが、昨年再び上昇した。

労働部のイ・ジェガプ長官はこの日、今年の産災死亡事故縮小推進方向を発表して、「この間、死亡事故を減少させるために多くの努力をしてきたし、2019年には現場中心の不意点検監督を集中的に推進して一定の成果も導き出した。しかし昨年はコロナ19の拡散などで、現場の点検監督が可成り生ぬるかったという問題があって、死亡事故を目標までには縮小できなかった」と説明した。政府が介入せずに企業の自律に任せておけば、労災予防効果は小さくなるという意味にも解釈できる。コロナ19で産業活動全般が萎縮している状況で死亡者が増えたという点で、さらに骨身に応える。

重大災害処罰法の施行準備、建設業・製造業への監督を強化

政府は大統領の残った任期2年の間に、最大限に産災事故死亡者を減らす活動に総力を挙げると明らかにした。今年は、各事業場が安全保健管理体系を構築できるように支援・指導し、建設業・製造業を中心に点検・監督をする。建設現場では外壁作業、タワークレーン設置・解体作業など、危険作業をする時期をリアルタイムで把握し、適時に点検・監督をする。そのために有害危険防止計画書や着工申告情報、民間労災予防機関の技術指導情報などを統合して、建設現場を把握するシステムを構築する。昨年108台から今年404台に増やしたパトロールカーを使った瞬時点検も、建設業・製造業の事業場などを対象に行う。

安全・保健措置をせずに1人以上が亡くなる重大災害が発生した時、事業主・経営責任者を処罰する重大災害処罰などに関する法律(重大災害処罰法)の施行の準備も本格化する。この法律は来年から施行するため、今年は企業が法を遵守できるように指導することにした。

重大災害処罰法が施行されても、5人未満の事業場は適用から除外される上に、50人未満の事業場は公布後3年間は適用が猶予される。このような空白は、既存の産業安全保健体系で埋めるしかない。政府は50人未満の中小事業場が安全管理の力量を備えられるように、密着型コンサルティングをする。事業場の危険機械を交換する時の改善費用を支援する安全投資革新事業も、今年初めて施行する。この場合、5人未満の事業場を最優先支援対象とする。

産災統計形態別の原因分析、半期毎に公開
党政調で(仮)産業安全保健本部の新設議論に着手

政府の労災予防体系も整備する。産災統計を予防活動・政策に活用できるように、分析を具体化する。例えば建設業では、工事の種類・工程別に危険要因を把握し、災害形態別に事故発生要因を分析して、点検・監督に反映する。製造業も、地域や業種・規模・発生形態別に死亡事故の原因を分析する。今年から、死亡事故の分析結果と監督の現況、違反事業場の事例、政府の財政支援状況を半期毎に公開する。

この日の対策には含まれなかったが、政府・与党は産業安全行政体系の改編を推進している。大統領が昨年11月に、産業安全監督官の増員と建設業の産災を専門に担当する組織を新設する方案を検討せよと指示したことに伴う後続措置だ。労働部は経済社会労働委員会の議題別委員会の産業安全保健委員会の合意によって、産業安全保健庁の新設を希望している。先ず、現在の労災予防補償政策局を室の規模に拡大し、続いて疾病管理本部(現・疾病管理庁)と類似の形態の産業安全保健本部を作った後、終局的には産業安全保健庁の新設に進む青写真を画いている。

しかし、建設産災専門担当組織を構成するための部署間の議論は円滑でなかったものとみられる。最近、共に民主党が出てきて本格化している。労働部長官は「与党が、労災予防政策局を、少なくとも本部単位にまで拡大する方案についての必要性を提起した」とし、「(拡大規模が)どの程度が適正なのかについて協議する」と話した。

2021年1月22日 毎日労働ニュース チェ・ジョンナム記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=200987