パソコン・FAX作業で腱鞘炎で労災認定-倉庫の受発注システム担当者 東京●A・Mさんからの寄稿

お問合せ:東京労働安全衛生センター

2007年1月末より食品卸の会社で勤務しています。主な仕事はFAXやメールで届いた発注書を専用の受発注システムへ入力し、倉庫への出荷指示を作成・送付することですが、倉庫への締め切りが午前11時と時間の制限があります。普通に入力すると約2時間かかる作業ですが、会社の出社時間が午前10時・担当は私1人で、納期確認等を行なっていると実際の入力時間は約40分と入力スピードが求められる状態でした。

その後、取引先が増えて作業自体が数倍に増加。お昼休みもとれず、ほぼ毎日深夜までサービス残業をして仕事をこなしていましたが、食事がとれずにフラフラの状態が数か月。もうひとり事務員を雇ってくれるように上司に訴えました。

2007年10月から新たにひとり人員が増え受発注を2人で行なうはずでしたが、システムを入れ替えることになり、結局私はシステムマスタ入力、新人が受発注とそれぞれひとりで作業をせざるを得なくなりました。

2007年10月入社の新人は入社3か月後の2008年1月に、私は2008年6月に腱鞘炎を発症、労災申請しました。

まず右手中指付け根にガングリオン、その後右手首、そして右手をかばって左手でパソコンマウスを使用していたところ、左手首と腱鞘炎部位が広がっていきました。

2008年8月、受発注担当2人が共に発症したことで入力作業が困難のため、午前中のみパートを雇用してほしいと上司にお願いしたところ、パートの給料分の売上を取ってくるか、または会社にいる意味がないので仕事を
続けるかどうか考えろとの事実上退職勧告を言われるようになり、労働相談情報センターとそこで紹介していただいた東京労働安全衛生センターに相談したのが労災申請に真剣に取り組むきっかけになりました。

毎月、労働基準監督署に、いつ頃、審査が始まるのかを聞きに行き、作業量をまとめた書類も提出しましたが、いつも窓口で「審査中です」の一言を言われるだけで帰ってくる状態が2008年12月まで、申請してから約半年続きました。

12月、東京労働安全衛生センターにその旨を相談し、「一度そちらに伺うので、状況の説明をして欲しい」との電話を労働基準監督署にしてもらったところ、次の日には早速先方労災担当者から説明をしに伺いたいとの連
絡がありました。仕事の都合で年始ならと返事をすると「なんとか書類だけでも受け取って下さい」と翌日会社に書類を持参してこられました。その後は迅速に審査が進み、2009年2月労災認定されました。

正直、個人で労災申請するときちんと対応してもらえないのだろうかとの疑念が湧くほどの対応の違いでした。

私は労働基準監督署へ作業量を説明する書類を出した方が良いということや、パソコン作業中の正しい姿勢すら知らなかったので、専門の方に相談することの大切さをあらためて感じています。

残業して頑張って働いているのにそれが原因で体を痛め、治療にお金も時間も取られて何の為に働くのかが分からなくなっている方も多いと思いますが、悩むよりもまず誰かに相談することを実体験からお勧めします。自分と違う視点で考えてくれる人がいることで冷静になり、私は勢いで退職をすることを考えなおすことができました。

今回、東京労働安全センターの飯田様には大変お世話になりました。ありがとうございました。

※写真は、アームレストを使う改善で、手首の負担が軽減されました。それ以前は、キーボード、マウスの作業いずれも、手首が浮いてしまっていました。

「安全と健康」2009年7月号から転載

安全センター情報2009年7月号