宅配労働者の労災死亡、7割は「事故より過労」と推定/韓国の労災・安全衛生2024年09月29日
新型コロナウイルス感染症が大流行した期間に、宅配労働者の労災死亡件数が四倍以上増えていたことが判った。死亡者の7割は、過労死と推定される「脳・心血管疾患」で死亡していた。
国会・環境労働委員会の「共に民主党」キム・ジュヨン議員が勤労福祉公団から受け寄せ、9日に公開した『2017年以後の宅配業死亡災害状況』」によれば、宅配の仕事をしている間に事故や病気で亡くなり、2017~2019年の三年間に遺族給付、葬儀費など、労災を認められた労働者は8人だった。ところが同じ理由で、2020~2022年に労災を認められたのは33人で、四倍以上増えたことが判った。
これらの内、過労死の主要判断指標の「脳・心血管疾患」亡くなったのは、2017~2019年の5人から、2020~2022年の間に23人に、大きく増えた。コロナの大流行期間の労災認定者33人の内の69.7%に達する。昨年1月から今年8月までの20ヶ月の間に、死亡労災を認められた宅配労働者も16人になったが、この内、11人が「脳・心血管」の病気で亡くなった。
宅配労働者の規模は、コロナ感染症の大流行の期間に大きく増えた。国家物流統合情報センターの資料によれば、2019年に27億8980万件だった年間の宅配物流量は、2022年には42億1221万件に急増した。宅配労働者も増えたが、正確な数値はない。勤労福祉公団の労災保険に加入している宅配業の労務提供者数は、2019年の1万7100人から、2022年の5万9709人に増えた。ただし、2021年7月から、宅配労働者の労災保険加入の義務化が施行された影響もある。統計庁の『運輸業調査報告書』によれば、宅配業の従業員数は、2019年の4万5306人から2022年の8万0095人に増加した。
宅配労組などは、この間、長時間労働と夜間労働など、労働環境が宅配労働者の過労死を招くとして、労働条件の改善を要求してきた。昨年10月には、国家人権委員会が、キム・ジンピョ国会議長とウォン・ヒリョン国土交通部長官、イ・ジョンシク雇用労働部長官に、△夜間の勤務規律と保護、△猛暑と寒波などの作業場環境改善、△宅配労働者の休む権利保障、△産業安全保健法の改正などを勧告している。
キム・ジュヨン議員は「事故死よりも過労による死亡が遙かに多いということは、それだけ宅配業務の労働強度が高く、身体に無理をさせる危険が大きいということを示している。」「深夜労働とかみ合った場合、その危険性は更に高まるので、宅配労働者の長時間・深夜労働は、より一層徹底的に予防し、監督しなければならない」と指摘した。
2024年9月29日 ハンギョレ新聞 チョン・ジョンフィ記者