メッキ工場での頸肩腕障害-「外傷性関節炎」よく聞けば「頸肩腕障害」も。会社の間違いでトラブル●大阪
大阪市住之江区のO工業でメッキの仕上げ工程で働いていたAさんは、昨年1月、ハンマー作業中にその衝撃で右肘に強い痛みをおぼえ、外科に受診し、右肘外傷性関節炎、右肘捻挫と診断され労災休業した。
1か月間の休業の後就労したが、7月末頃から再び肩を中心に強い痛みを生じ、再度休業せざるを得なくなった。そして、8月はじめ、関西労働者安全センターのことを伝え聞き、相談に来られた。
Aさんの話では、今回の休業の原因になった肩の症状にっいては、1月の休業のとき別の病院に行き検査を受けたが、これは別の病気であると言われ労災扱いにならないとされているとのことで、労基署でも肩については別で
あるとの説明を受けていたため、今回の休業にっいては認められないと考えて相談に来られたということだった。
ところが、仕事の内容を聞いてみると、メッキ場において浴槽から上がってきた製品を仕上げに回したり、サンダーがけ、バリ取りなどを行うという重量物取り扱いに加えて、振動工具による肩、腕への負担のかかる作業を長年行っており、1984年に入社以来、症状も何度か出ていて、とくに一昨年の夏頃からサンダーがけ作業が増えて、これが腕、肘、肩に大きな負担となっていたことが明らかであった。
安全センターとしては、今回の休業は肩の症状が主であっても、1月からの一連の傷病であると考え、松浦診療所への受診を勧め、また、Aさんの自己意見書を作成してもらい、阿部の労基署へ提出した。
Aさんは、F工業という構内下請会社(派遣会社)の社員であり、F工業との現認証明の話し合いの中で、入社以来年次有給休暇がない(?)、ことなどがわかるなど、極めて問題があることが判明。
今回のAさんの労災についても、1月段階での労基署へのF工業の労災原因にっいての申し立てが間違っていたために、「肘だけ労災」ということになってしまっていたこともわかった。
Aさんは、症状も軽快してきており、近々職場復帰の予定である。労基署からは認定に際し、本人に対して丁寧な説明があり、会社に対しても職場復帰時の配慮について指導するとのことであった。
安全センター情報1995年4月号