国会立法調査処「重大災害法三年、死者数はそのまま・・・処罰は軽い」/韓国の労災・安全衛生2025年8月28日

重大災害処罰法が施行三年目を迎えたが、労災予防にこれと言った効果を出せていないことが判った。遅い捜査と軽い処罰が原因だという指摘が出ている。
28日、国会立法調査処が出した『重大災害処罰などに関する法律の立法影響分析』報告書によれば、法施行後に労働災害で死んだり負傷した人が、法施行前より有意義に減少していないと分析された。
調査処は重処法が施行された2022年から昨年までの三年間の労災状況を法施行前の2018~2021年と比較分析した。仕事中に事故で死亡した人数は2018年2142人から、昨年の2098人に小幅減ったが、このような変化は統計的に有意義な水準ではないと分析された。死亡事故の万人率は、同期間に1万人当たり51人から1万人当たり39人へと統計的に有意義に減少した。但し、報告書は「法施行前から持続的に減少してきた傾向を考慮すれば、重処法だけの直接的な影響と見るには限界がある」と指摘した。
仕事中に負傷した人を包括する事故被災者数は、2018年の9万832人から昨年は11万5773人へと、却って統計的に有意義に増加した。このような傾向は、事業場の規模と関係なく現れた。即ち、重処法施行以降、労災死亡者が有意義に減ったという証拠は足りない一方、事故で負傷した人はむしろ増えた。経営責任者の安全保健義務を強化して労働災害を予防するという立法趣旨が実現されていないわけだ。
報告書はその原因として、捜査の遅延と軽い処罰を挙げる。調査処が、法が施行された2022年1月27日から7月24日までの3年6ヶ月間に発生した重処法違反事件を全数調査した結果、雇用労働部が捜査に着手した事件1252件中、未だ捜査段階に留まっている事件が73%(917件)に達すると集計された。特に、一次捜査機関である労働部の事件滞積率(捜査中事件の割合)が63%で、検察(46%)より深刻であることが判った。検察の遅い捜査も深刻なレベルだ。労働部が検察に起訴意見で送致した276件の内、検察が6ヵ月以上かかって処理した事件は57%で、一般的な刑事事件(1.5%)に比べて、この割合が圧倒的に高かった。
辛うじて起訴され、裁判に付された事件は大部分が執行猶予に帰結した。同期間に行われた一審判決は53件だが、無罪判決を受けた4件を除く49件の内、42件(85.7%)に執行猶予判決が出された。これは一般刑事事件の執行猶予率(36.5%)より2倍以上高いものだ。量刑自体も懲役刑の場合、平均1年1月で、法が定めた下限線(1年以上)を辛うじて超えるレベルであり、法人に賦課された罰金も平均1億1140万ウォンに止まった。それさえも、20億ウォンの罰金を賦課した異例の1件を除いた平均罰金額は、7280万ウォンに止まった。報告書は「重処法によって企業に賦課された罰金は、イギリスの企業殺人法によって賦課された罰金額の平均の10分の1のレベル」と指摘した。
報告書を作成したイ・ドンヨン立法調査官は「重処法の安全保健管理体系の構築と履行措置関連の規定をより具体的で明確に改正する一方、量刑基準を用意して、法執行の実効性を向上する必要がある」と指摘した。また、捜査遅延を解消するために、産業安全保健勤労監督官の専門性の向上と増員、危険性評価の充実度に伴う労災保険料率の差別賦課、反復的に重大災害を発生させる企業に対する売上額または利益・財産と連動した高額罰金賦課方策などの対策を提示した。
2025年8月28日 ハンギョレ新聞 ナム・ジヒョン記者