大気温度→体感温度・・・事業場の熱中症予防基準が変わる/韓国の労災・安全衛生 2024年05月22日

民主労総建設労組の組合員たちが昨年8月2日に大統領室前で記者会見を行い、猛暑対策を要求して氷水を被るパフォーマンスをしている。/クォン・ドヒョン記者

事業主が労働者の熱中症予防のための措置をしなければならない猛暑の基準が、大気温度から体感温度に変更される。気温が同じでも湿度が高くなれば、労働者が体感する気温が更に高くなることを反映したものだ。

雇用労働部は蒸し暑さが完全に消える9月まで『猛暑に備えた労働者の健康保護対策』を推進するとした。気象庁は今年も、気候変動による猛暑が深刻になると予想している。ILOも全世界の労働者の70%が猛暑に苦しめられると警告した。温熱疾患が労災として承認された労働者の数は、2022年に24人(死亡4人)、昨年は28人(死亡1人)だった。 労働部は「今回の対策は中央部署と自治団体、安全・保健専門機関、関連協会・団体などが協業し、現場が中心になって対応することに重点を置いている」と説明した。

【猛暑の段階別措置事項(勧告事項)】

  関心(31度)          ⇒              注意(33度)          ⇒              警告(35度)          ⇒              危険(38度)
  ・水、日蔭、休憩を与 える ・冷房、換気施設の点 検 ・労働者に猛暑情報の 提供        ・時間毎に10分間の 休憩 ・暑い時間帯(14~ 17時)の屋外作業 を短縮          ・時間毎に15分間の 休憩 ・暑い時間帯(14~ 17時)を避けられ ない場合以外の屋 外作業の中止 ・労働者の建康状態 の確認    ・時間毎に15分間の 休憩 ・暑い時間帯(14~ 17時)は緊急措置 などを除いて、屋 外作業の中止 ・労働者の建康状態 の確認  

労働部は、熱中症予防三大基本規則(屋外では水・日陰・休息、室内では水・風・休息)と猛暑の段階別対応措置などの温熱疾患予防ガイドを、全国の公共機関と事業場に配布する。気象庁と協力して、猛暑の影響予報を労使に、日単位で提供する。

事業場は、体感温度が31度を超えると、猛暑の段階別に労働部が勧告する措置を執らなければならない。屋外作業場の労働者は、気象庁の天気通知アプリケーションで体感温度を確認することができる。室内作業場の労働者は、作業場に備えられた温・湿度計を確認した後、産業安全保健公団のホームページの計算システムに情報を入力すれば、体感温度が判る。労働部は猛暑の段階別に、毎時間10分以上の休息を提供し、午後2~5時の間は屋外作業を短縮または中止するよう、積極的に指導することにした。

労働部は、建設業、物流・流通業、造船業など、猛暑に脆弱な業種と、宅配とガス・電力の検針など、移動労働者を多く雇用する事業場を『温熱疾患発生憂慮事業場』に指定して、重点的に管理する。合わせて、移住労働者を多く雇用する農・畜産業種の『温熱疾患発生憂慮事業場』を集中的に点検し、猛暑に脆弱な高齢労働者を『温熱疾患敏感群』に指定して管理する。

建設労働者の安全帽に貼る猛暑お知らせステッカー。雇用労働部提供

イ・ソンヒ労働部次官は、猛暑による作業中止時に、労働者の賃金が減少する憂慮について、「実際に賃金を削減するケースは多くないと理解している。」「法で強制するよりも、事業主が賃金削減をしないように、積極的に指導している」と話した。国家人権委員会は、2020年10月に「猛暑・寒波など、気候条件によって作業を中止した建設労働者に対して、減った賃金の全部または一部を支援できる制度を用意すること」を労働部に勧告している。

民主労総のチェ・ミョンソン労働安全保健室長は、「労働部が、猛暑基準を大気温度から体感温度に変えたのは、労働界の要求の一部を受け容れたものだが、依然として強制力のない勧告とガイドの水準の猛暑対策を繰り返している」と話した。続けて「特に危険が集中する建設現場は、建設労組が調査した結果、気象庁の予報と実際の現場の温度差は平均6度以上だった。この部分に対する対策が抜けている」と指摘した。

2024年5月22日 京郷新聞 キム・ジファン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202405221200011