「熱中症死亡も重大災害」・・・検察、予防措置などの責任を問う/韓国の労災・安全衛生2024年08月06日
異例の猛暑によって職場で熱中症患者が続出する中で、検察が建設労働者の熱中症死亡に関して、猛暑時の作業中止権など、対応マニュアルを準備しなかったとして、使用者を「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)などに違反した疑いで起訴した事実が確認された。猛暑も「重大産業災害が発生し得る緊迫した危険」とみて、これに対する対処を正しくしない場合、経営責任者が処罰されることを示したものだ。現行法には猛暑に伴う労災予防措置が包括的に規定されている状況で、検察の重大災害処罰法による起訴が、猛暑対策を強制できる手段になり得ると見通される。
ハンギョレが「国民の力」のクァク・ギュテク議員室から確保した公訴状を見ると、大田地検が下請け労働者の熱中症死亡の責任を問い、元請け建設業者の代表理事を重大災害処罰法違反の疑いで、元請け業者の現場所長と下請け業者の現場所長を産業安全保健法違反の疑いで、先月1日に在宅起訴した。50代の労働者は2022年7月4日の昼、大田市の建物新築工事の現場でコンクリート打設作業中に、熱中症の症状で病院に運ばれたが亡くなった。検察が熱中症による死亡に関して重大災害処罰法違反の疑いで使用者を起訴したのは今回が初めてだ。
検察は、元請け業者が猛暑に備えた作業中止、危険要因除去など、具体的な対応マニュアルを準備していなかった責任を糺した。事故当日の最高気温は33.5度で、気象庁が猛暑警報を発令し、故人が作業していた場所は屋根のない、建物の最上部だった。産業安全保健基準に関する規則は、猛暑に曝されている労働者に適切な休息と日陰の休息場所、新鮮な水の提供などを事業主の義務と規定しているが、該当の労働者にはこのような措置がされていなかった。検察は「(猛暑に対する)対応措置に関するマニュアルを準備せず、屋外作業中の猛暑によって何時でも重大産業災害が発生し得る緊迫した危険があるにも拘わらず、直ちに作業を中止したり、休息時間を付与するなどの対応措置をできなくしていた」と明らかにした。
検察の起訴は、猛暑や酷寒も、落下・挟まれ・崩壊など、事故性災害と同じように、重大産業災害を起こす緊急な危険とみたのだ。事業主・経営責任者は猛暑対応措置を準備する義務があり、これに違反した場合は処罰を受けることになる。重大災害処罰法施行令は、猛暑に曝された場所で発生した熱中症を、急性中毒などの疾病と同一線上で『職業性疾病』と規定し、一年以内に同じ事業場で3人以上の熱中症が発生した場合を「重大産業災害」とみている。
パク・ダヘ弁護士は「猛暑などによる労働者の健康障害の予防義務が、具体的な法的義務だということを示している。」「雇用労働部は『温熱疾患予防ガイドライン』を発表するだけでなく、事業主がこれを『猛暑対応マニュアル』としてきちんと適用しているかを確認し、督励しなければならない」と話した。ソン・イクチャン弁護士も「猛暑関連産業安全保健規則と労働部のガイドラインは現場に受け容れられていなかったが、事業主の義務を明確にした」と話した。
2024年8月6日 ハンギョレ新聞 キム・ヘジョン記者、パク・テウ記者