サムソン在職中に脳腫瘍と診断された労働者、産災申請から2年・・結論を見ずに死亡 2021年11月29日 韓国の労災・安全衛生

2018年7月22日、「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)がサムソン電子社屋の前で座り込みを行っている現場の様子。/キム・ヨンミン記者

サムソン電子に在職中に病いに罹った労働者が、勤労福祉公団に産業災害補償を申請したが、疫学調査が行われている過程で死亡するといったことが再び起こった。

労働人権団体「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)は、サムソン電子に入社して液晶表示装置(LCD)天安事業場(現・サムソンディスプレイ)に在職中に脳腫瘍と診断された朴・某さん(37)が、28日に死亡したと明らかにした。

朴さんは2010年からLCD工程の自動化設備の維持保守を担当するエンジニアとして働き、2014年に初めて脳腫瘍と診断された後、手術を受けるなど、治療を続けてきた。2019年初めに脳腫瘍が再発して、その年8月に勤労福祉公団に産災補償を申請した。昨年1月に産業安全保健公団の産業安全保健研究院に事件が移管され、疫学調査が始まった。疫学調査は疾病と有害・危険要因との因果関係を糾明する手続きだ。パノリムによれば、12日に研究院が現場調査を行ったが、朴さんは病状が悪化して参加できなかった。産災補償申請から2年を越えたが、承認の有無を確認できないまま、終に朴さんは死亡した。

9月にもサムソン電子のLCD天安事業場で7年間働いた後、乳癌と診断されたAさん(39)が産災補償を申請した後、承認の結果を通知されることなく亡くなった。Aさんの事件は勤労福祉公団の職業環境研究院が疫学調査を行っていた。内部指針では、産業安全保健研究院は6ヶ月、職業環境研究院は3ヶ月以内に疫学調査を終えなければならないが、相当数の事件がこれに反して処理されていると集計された。公団側は人員不足を訴えるが、労働界は、積極的に疫学調査を省略して、産災処理期間を短縮すべきだと批判してきた。

パノリムは声明を出して「個別の産災の可否を明らかにするために2年以上も疫学調査をすることは、迅速な補償という産災保険の趣旨から外れるほど長い調査期間で、闘病中の当事者にとっては苛酷に長い時間だ」とし、「故人は闘病中にどうしても必要だった産災保険の支援を受けられず、有害で劣悪な作業環境で働いたために発生した産災であることを認められないまま死亡した」とした。パノリムは「半導体・LCD産業では既に多くの脳腫瘍被害者が出て、10人も産災と認定されている。2019年の半導体製造工程の労働者に関する健康実態疫学調査も、『脳と中枢神経系癌』は危険度が増しているとされた。」「産災を認めるための疫学調査を理由に、いつまで、このように長い時間を掛けなければならないのか」と批判した。

パノリムは、元々、疫学調査が形式的に行われているという点も指摘した。「現場調査が、故人が実際に働いた劣悪な天安事業場でなく、牙山事業場で行われ、それさえも、製品を生産していない止まったラインを見せるやり方の調査だった。」「会社が見せるだけの形式的な調査で、どうして口惜しい死の原因を明らかにできるのか」と批判した。

産業安全保健研究院は「進行中の疫学調査に関しては非公開」として、特別な立場表明をしなかった。

2021年11月29日 京郷新聞 イ・ヘリ記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202111291721011