石綿曝露-四国電力アスベスト中皮腫労災死事件/鈴木意見書参考文献-⑧抄録「肺組織消化物中の石綿小体に関連した鉄染色切片中の石綿小体数」
第2部 アスベスト疾患のひろがり
第2章 悪性中皮腫とはどんな病気か
Ⅱ 鈴木康之亮意見書添付資料 Ⅲ「参考文献」翻訳
4 切片中の石綿小体の数から湿性肺1グラム中の石綿小体への換算
⑧抄録「肺組織消化物中の石綿小体に関連した鉄染色切片中の石綿小体数」
Roggli,L.Victor & Pratt, C.Philip
Santa Ana and Burbank, USA
Human Pathology, 14(4),1983:355-361
組織消化法の利用により、職業的に石綿曝露を受けた人の肺の中に多数の石綿小体が存在し、また、曝露を確認できない圧倒的多数の人にも少数の石綿小体が存在することが示された。異なる研究者間の研究結果の大きなバラつきのため、最近は光学顕微鏡でひとつ以上の石綿小体の存在が、(細気管支周囲の繊維化と共に)石綿肺の組織診断の形態的な必要条件として推奨されている。しかし、パラフィン包埋組織切片の石綿小体出現と組織消化法による石綿小体の定量化とを関係づける資料はまだ得られていない。著者らは、鉄染色された肺組織の多くのパラフィン包埋切片を計数し、6例の石綿肺または石綿関連新生物の、ホルマリン固定され湿った肺の塩酸塩消化で決定された石綿小体数と比較した。組織切断と、過程での切片の収縮及び肺湿重量への換算とを調整したとき、2つの方法は素晴らしく一致した。(r=0.98、p<0.001)2cm四方(4㎠)の鉄染色組織切片5ミクロン厚は、及そ固定肺組織湿重量1g当たり200個の石綿小体に相当する。