裁判所の重大災害法違憲審判提請に・・・与党も労働部長官も「揺さぶり」/韓国の労災・安全衛生2025年4月1日

雇用労働部のキム・ムンス長官が1日、ソウル江南区のグーグルコリアで開かれた青年の人工知能力量強化のための雇用労働部-グーグルコリアの業務協約式で発言している。聯合ニュース

重大災害処罰などに関する法律が施行から3年を越した中で、最近、裁判所が初めて、憲法裁判所に法律の違憲の可否を判断して欲しいという違憲法律審判を提請したのに続き、与党と担当部署の長官も『法律の揺さぶり』を始めた。

キム・ムンス雇用労働部長官は1日、専門建設共済組合が主催した特別講演で、「(重大災害処罰の)趣旨は良いが、余りにも処罰中心だ」とし、「社長や会長は何も知らないのに、無条件に責任を負わせ、重大災害が発生すれば拘束するというのは、少し酷いようだ」と話した。「国民の力」のキム・サンフン政策委員会議長も、重大災害処罰法に対して「処罰中心から予防中心に改編する方案も深く検討する」と話した。

経営界を中心に提起された重大災害処罰法批判の世論が、再び頭をもたげるようになった背景には、13日に釜山地方裁判所刑事4-3部の違憲法律審判提請がある。当該裁判所は、重大災害処罰法違反の疑いで控訴審で裁判を受けている建設業者代表の申請を受け容れ、違憲法律審判を提請した。法施行以後、被告人の違憲法律審判提請申請が数件提起されたが、裁判所が申請を受け容れて提請したのは今回が初めてだ。

裁判所は重大労災に至らせた経営責任者を、一年以上の懲役または10億ウォン以下の罰金で処罰したり、元請けの経営責任者に、下請け労働者などの安全・保健確保義務を規定した条項が違憲に当ると見た。裁判所は決定文で「重大災害が発生した結果だけをみて、企業の経営責任者に厳酷な刑事責任を追及するとすれば、結局、大部分の経営責任者が刑事責任を負うのは時間の問題に過ぎない」とか、「請負人(元請け事業主)などに労災による刑事責任を問うことが法体系に符合しないだけでなく、違憲性も多分にある」とした。民事上の損害賠償請求・懲罰的損害賠償認定が、労災被害者の被害回復により効果的だという主張も繰り広げた。

これに対し、重大災害処罰法の立法趣旨を無視したものだという批判が続いている。重大災害専門家ネットのクォン・ヨングク代表(弁護士)は「(労働者の)生命・身体の安全保護という公益と、これによって制限される(企業家の)営業の自由・身体の自由の間では、生命を保護しようとする公益が遙かに大きい」とし、「損害賠償でも十分に効果を達成できるということは、判事の現実認識の不在を示している」と話した。ソン・イクチャン法律事務所のイル・ワサラム弁護士も「災害を防ぐためには、災害予防体系を会社が構築しなければならないという社会的合意で作られた法の趣旨を、全く理解できていない」として「重大災害処罰法を正面から揺さぶる決定」と話した。

合わせて今回の裁判所の決定が、他の裁判所の違憲法律審判提請申請事件の決定にも影響を及ぼすか注目される。採石場の埋没事故で3人が亡くなった災害に対して、議政府地方裁判所で裁判を受けている三票グループのチョン・ドウォン会長などは、昨年12月に違憲法律審判提請申請し、ソウル北部地方裁判所でも、アパート管理会社の代表理事が昨年7月に申請した経緯がある。

2025年4月1日 ハンギョレ新聞 キム・ヘジョン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1190084.html