給食室で肺がん発症者が追加確認・・・深刻性が解らない政府 2023年09月12日 韓国の労災・安全衛生
給食労働者の肺がん発症者が、3月の教育部の発表に較べて二倍近く多いことが確認されたが、政府は対策作りには消極的だ。
『学校給食労働者の肺がん労災被害者の国家責任要求と再発防止のための対策委員会』は、11日に国会・議員会館で『持続可能で環境にやさしい無償給食と学校給食労働者の肺がん労災防止のための国会討論会』を開催した。対策委には民主労総の公共運輸労組・サービス連盟・女性労組などが参加している。この日の討論会は、四人の「共に民主党」議員と二人の正義党議員、一人の進歩党議員が共同主催した。
カン・ドック議員が17の市・道教育庁から受け取った給食従事者の健康診断結果の資料を公開した。肺がんの発症者は52人で、3月に教育部が発表した感染者より21人増えた。全体検診者対比の肺がんが疑われる割合も、0.58%(139人)から0.85%(379人)に上昇した。
公共運輸労組・教育公務職本部のキム・ミギョン首席副本部長は「統計庁が2020年に発表した50代女性の肺がん発生率と比較すると、学校給食室労働者の肺がん発病率は、平均より3.21倍高いレベル」で、「CT検診を定例化する政府段階での対策が必要だ」と強調した。給食室での肺がん発病の最も大きな原因としては、天ぷら・炒めもの・焼きものなどをする時に出てくる調理ヒューム(cooking fumes)が挙げられる。調理ヒュームを出すチヂミと焼き物などのメニューを制限する指針を作り、給食室の人材を増やして労働強度を減らさなければ、調理ヒュームの吸入量を減らすことはできないという提案も出た。
職業環境医学専門医の韓国労働安全保健研究所のチェ・ミン常任活動家は、「調理ヒュームの成分を把握して定量化することは、未だ論争中といった状況」で、「すべての有害物質が作業環境測定の対象ではない上に、作業環境測定の対象に指定されるまでの時間が長くかかる可能性があり、作業環境の管理は、更に早い対策になり得る」と強調した。続けて「焼いたり揚げたりするメニューの回数を制限し、労働強度を緩和することが代表的」で、「労働強度が高ければ呼吸数が増加し、皮膚に有害物質のばく露が増加し、肺がん労災に繋がる可能性が高い」と付け加えた。
討論会に参加した政府関係者たちは「責任転嫁」に汲々としている様子を見せて、批判された。
教育部・学生健康政策課の関係者は、「全ての教育庁を平均してみると、教育庁当り、97.5人の給食労働者が配置されていることが確認された」と話した。人材補充による労働強度の緩和が肺がん問題の解決の核心だが、教育部は現在の人員で十分と見ているのだ。専門家たちは、教育部の人材規模の把握も正確性がいい加減だと見ている。
教育部・学校安全政策課の関係者は「調理ヒュームを発生させるメニューをなくすことはできない。」「健康診断については、市・道教育庁別に(毎年何回施行するか)偏差があり、これから共通の基準が決まるのではないかと思う」と話した。
雇用労働部・産業安全保健基準課の関係者は「給食室に換気設備の改善ガイドを一律に適用することは難しい」と明かした。
ハ・ヒョンチョル昌原大教授(スマートグリーン工学)は「換気設備ガイドを作って、全国に共通適用する方法も必要だ」が、「教育当局や政府にはその意志はなさそうだ」と批判した。
2023年9月12日 毎日労働ニュース チョン・ソヒ記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=217253