「サムソン白血病の労災認定」に勤労福祉公団がまた不服 2023年07月25日 韓国の労災・安全衛生

1人の労働者がソウル勤労福祉公団の表示板の上に、壊れたサムソン電子のロゴを透明テープで貼っている。/パク・ジョンシク記者

サムソン電子半導体の生産ラインでエンジニアとして働いた後、白血病に罹って死亡した労働者に対して、裁判所が労災認定の判決を行ったが、勤労福祉公団がこれに従わずに控訴した。具体的な作業環境の調査もしないなど、半導体労働者の職業性疾病を労災と認定することにはケチな勤労福祉公団の態度が再び現れているという批判が出ている。

勤労福祉公団は、昨年11月に亡くなったシン・ジョンボム(33)さんの遺族が公団に起こした療養不承認処分取り消し訴訟で、裁判所が原告勝訴判決を出すと、24日に控訴した。一審裁判所は、シンさんの白血病を労災と認定しなかった公団の判断にブレーキをかけたが、公団はこれを受け容れなかったのだ。

シンさんは2014年7月にサムソン電子に入社し、華城事業場の半導体生産ラインでエンジニアとして働いた。半導体生産ラインに、各種の化学物質などを供給する設備が密集した工場の下部空間によく出入りし、一週間に平均60時間働いた。2016年3月に退社したシンさんは、5年後の2021年3月に急性骨髄性白血病と診断された。サムソン電子半導体工場で働いて各種の疾病に罹り、労災が認められた先の80人余りの労働者と似た状況だ。

白血病の診断を受けて三ヶ月後に、シンさんは労災補償申請をしたが、公団は同年10月に「不承認」処分を行った。シンさんの勤務期間が一年八ヶ月と短く、特に半導体工場の作業環境が改善された2011年以後の入社者という理由からだ。公団側は、実際にシンさんが働いた作業環境がどうだったのかの調査はしなかった。

シンさんの遺族が提起した訴訟で、ソウル行政裁判所は7日、公団が具体的な究明の努力をしなかったことに問題があると見て、労災と認定する判決を行った。判決を待っていたシンさんは昨年11月、闘病の末に亡くなった。裁判所は判決文で、「(勤労福祉公団が)勤務期間中に作業環境で発生する有害物質、ばく露の程度などを具体的に究明しようとするためのこれといった努力をせず、漠然と、作業環境が2011年以前の作業環境よりも良くなったことを前提に(労災を不承認)した。」「この事件の処分は違法で取り消されるべきだ」とした。調査なしで不承認を濫発する公団に、ブレーキをかけたわけだ。

しかし、判決の二週間ほど後に行われた公団の控訴で、シンさんの遺族は再び法廷で労災認定を争うことになった。「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)で活動するイ・ジョンラン労務士は、「職業病被害家族の長年の努力によって、公団は半導体職業病訴訟で敗訴した場合、それを不服とすることに非常に慎重な姿勢を見せてきた。」「しかし、最近、半導体労働者のパーキンソン病に対する労災認定判決に対しても控訴を提起するなど、公団が再び控訴を濫発する雰囲気だ」と話した。公団は「今回の判決には根拠が足りないという内容だけがあって、実質的に、なぜ因果関係があるのかに関する内容が足りない。類似の労働者の労災申請にも影響を与えざるを得ず、控訴して争うことにした」と明らかにした。

2023年7月25日 ハンギョレ新聞 チャン・ヒョンウン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1101712.html