パノリム「サムソンは危険の外注化を止めよ」 2023年3月29日 韓国の労災・安全衛生
「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)と労働健康連帯、金属労組、全国サムソン電子労働組合、国際有害物質追放ネットワーク(IPEN)、韓国労働安全保健研究所など16団体は、最近、サムソン電子のベトナム法人の二次協力業者でメタノールの集団中毒事故が発生したことに関して、「サムソン電子が事故に対する責任を負い、危険の外注化を中止せよ」と主張した。
14日、サムソン電子のベトナム法人の二次協力業者で働いていた現地労働者37人が、毒性物質であるメタノールによる集団中毒に罹り、この内一人が死亡した。被害を受けた労働者はスマートフォンの部品を作る『HSテック』の所属だ。HSテックは、サムソン電子の一次協力会社ソンウの、ベトナムの工場団地に入居している二次協力会社で、HSテックの代表者は韓国人だ。国内でも2016年に、サムソン電子の三次協力業者の20~30代労働者6人が、メタノールの急性中毒で失明したことがある。
参加団体は記者会見で、「サムソン電子は2016年の事故の再発を防ぐために、協力業者においても、冷却用途にメタノールを使うことを規制していると話しているが、今回のメタノール事故は協力業者のメタノール使用をキチンと統制しているというサムソンの公言が、どれほど空虚なものかをよく示すものだ」と話した。続けて「サムソンは携帯電話の生産基地をベトナムに移し、同時に危険も移した。」「サムソンは今回の事故に対する責任を認め、被害者に支援を惜しんではならず、サプライチェーン内でのメタノールの使用を全面禁止し、これを徹底的に監視すべきだ」と主張した。
パノリムの常任活動家のイ・サンス氏は、「(HSテックが)2月末から新しく使用したというアルコールは、燃えるような強烈な匂いがし、息をすることも苦しかった」と話した。このアルコールを使い始めた直後から、多くの労働者が疲労・頭痛の症状で休息を取ることを要請し、2月24日には、一人の労働者が入院までした」と話した。「しかし会社は特別な措置を採らなかった。アルコールの危険性を疑って毒物管理所に行ったのは患者の家族だった。」「この毒物管理所が政府に報告し、異常な兆候がある人は直ちに医師を訪ねて検査と応急入院をさせるよう会社に要請し、病院で検査が行われた結果、事態が知らされた」と指摘した。
サムソン電子は「メタノールはサムソン電子と協力会社で『使用制限物質』に指定されており、ごく一部の無人自動化工程などに限って安全に使われている。」「今回ベトナムで発生した事故の場合、ベトナムの現地業者が、メタノールが多量に含まれた『偽エタノール』を当社の二次協力会社に『虚偽納品』したために発生し、現地の公安当局が『偽エタノール』の製造と流通経路を捜査中」と明らかにした。
サムソン電子は「事故発生直後、エタノールを使用する協力会社に、エタノールの入庫前の試料分析によって成分を検証する手続きを追加して導入し、特別現場点検と教育を行うなど、再発防止のために努力している。」「また今回の事故被害者に最大限の支援がなされるように、一次協力会社と緊密に協力している」と話した。
2023年3月29日 京郷新聞 キム・ジファン記者
https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202303291627001