サムソン半導体の下請け業者で働いて脳腫瘍・肺がんの判定・・・「業務上災害を認めろ」/韓国の労災・安全衛生2025年9月10日

「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)の会員などが、勤労福祉公団ソウル南部支社の前で、サムソン半導体の社内下請け労働者の脳腫瘍死亡と肺がん労災申請の記者会見をしている。 ソン・ドンフン記者

サムソン電子の半導体生産関連の業者で働いて、それぞれ脳腫瘍・肺がんと診断された下請け労働者が業務上の労災を申請した。

人権団体「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)は10日、勤労福祉公団の前で記者会見を行い、要求を公団に伝えた。記者会見にはサムソン電子半導体工場で下請け労働者として働いて脳腫瘍と診断された故イ・デソン氏(42)の遺族と、肺がんと診断されたパク・ジョンソン氏が直接参加した。

イ・デソン氏はサムソン電子の協力業者所属で、14年間、半導体の生産ラインに化学物質を供給する『中央化学物質供給システム』(CCSS)の維持・補修業務を担当した。この設備には、各種の化学物質が高純度の液体状態で保存されており、毒性物質に露される危険が高い。2013年には、この設備からフッ酸が漏れて1人が死亡し、2016年には、ここで働いていた労働者が悪性リンパ腫で亡くなった。イ・デソン氏は昨年2月、悪性脳腫瘍と診断された後、闘病の末、7月21日に亡くなった。

イ・デソン氏は死亡の前に「有機溶剤を入れたドラム缶の蓋を開けると、高純度の化学物質が陽炎のように上がってくるのが見えたが、一般のマスクを着けただけで仕事をした」と証言した。

イ・デソン氏の妻は「夫の仕事場は誇らしい父親、一人だけの息子、一生の半分を奪った。」「再び誰かの夫が、父親が、子供が、同じ理由で命を失わないことを願う気持ちでこの場に立った」と涙声で話した。会見の間中、妻の手にはイ・デソン氏の写真が握られていた。

故イ・デソン氏の妻のキムさん(一番右)が、夫のイ・デソン氏の写真を持って勤労福祉公団ソウル南部支社の前で記者会見をしている。 ソン・ドンフン記者

パク・某氏もサムソン電子の協力業者所属で、器興事業場で約10年間、半導体の廃棄物を処理する業務を担当し、2022年9月に肺がん・非小細胞がん4期と診断された。パク・某氏は半導体の廃棄物を廃水と残渣(スラッジ)に分離したが、その過程で微細な粉塵が止まることなく発生していたという。パク・某氏の代理人のイ・ジョンラン労務士は「粉塵の中に肺がんを起こす発がん物質が含まれていると推定する」と話した。実際、2023年にパク・某氏の血液からは、発ガン物質として知られているインジウムが検出された。

パク・某氏は「毎日、各ラインの粉塵を清掃したが、粉塵の成分は解らなかった。」「痛みは我慢できても、治療費用による経済的な苦痛は解決されない」と話した。サムソンは、器興工場で1年以上働いて関連の疾病を得た被害者を支援する支援補償委員会を設けたが、半導体生産ラインに出入りした労働者だけが適用され、パク・某氏は対象から外された。この日、パク・某氏は闘病で生じた腰の痛みと足のしびれなどで、靴を脱いだままで会見に参加した。

パノリムは会見を終えて、勤労福祉公団に労災申請書を提出した。「李在明政府は、労災の縮小のために強い規制を言うが、これは事故性の災害が中心」で、「職業病労災に対する対策作りも必要だ」と話した。

パノリムの会員などが勤労福祉公団ソウル南部支社前でサムソン半導体の社内下請け労働者の脳腫瘍による死亡と肺がん労災を申請する記者会見をしている。 ソン・ドンフン記者

2025年9月10日 京郷新聞 ウ・ヘリム記者

https://www.khan.co.kr/article/202509101347011