重大災害で元請代表に初の「有罪」判決・・・「軽い量刑に失望」 2023年04月07日 韓国の労災・安全衛生

6日、地方裁判所で重大災害法違反(労災致死)の容疑で起訴されたオンユ・パートナーズの代理人が、取材陣の質問に答えている。/聯合ニュース

「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)違反で、6日、元請け代表に初めて有罪判決が出され、労働界は『仕事場での死を断ち切ろう』として昨年制定された法が、実際的な効果を出し始めたと評価している。しかし、重大災害処罰法の趣旨を適用した初宣告だったにも拘わらず、元請け代表への軽い量刑に、執行猶予が宣告された部分について、法制定の趣旨を誤った判決だという指摘も出ている。

議政府地裁高陽支部は、重大災害法違反などの疑いで起訴されたオンユ・パートナーズのJ代表取締役に、懲役一年六月に執行猶予三年を、法人オンユ・パートナーズに罰金3000万ウォンを宣告した。重大災害事件に関して、元請けの代表の責任を認めた初めての判決という意味が大きいと評価されている。労災死亡事故に対して主に適用される産業安全保健法は、『危険の外注化』によって下請け労働者が仕事中に亡くなっても、直接的な雇用関係がなければ因果関係を認めず、事業場で実質的な支配力を行使する元請け業者と代表者を処罰することは難しかった。数多くの労災被災者と労働者の要請で、2020年に重大災害処罰法が制定され、昨年1月から施行された背景だ。

今回の判決で、これまで提起されてきた重大災害法の違憲性の是非が、ある程度落ち着くだろうという見通しが出ている。労働者の集団毒性肝炎事故に関する重大災害法違反の疑惑で起訴されたトゥソン産業は、10月に重大災害法の違憲法律審判を提請している。ソン・イクチャン弁護士は「裁判所が重大災害法の法理を認め、因果関係を認めたために、規定の曖昧性など、違憲性の是非論争から抜け出すことができたという点で意味がある」と指摘した。

しかし、当初の期待とは異なり、既存の産業安全保健法と較べても量刑に大きな差がない『軽い判決』だという指摘も出ている。重大災害専門家ネット共同代表のクォン・ヨングク弁護士は「有害危険の確認手続きを設けず、マニュアルも作っていないなど、重大災害法の三つの違反要素を全て認めて安全管理確保義務を履行していなかったことを認めたにも拘わらず、認定内容と量刑のバランスが合わない。」「重大災害法が作られる前に、産安法によって宣告する際の量刑から大きく抜け出せていない点を勘案すれば、量刑に失望するしかない」と指摘した。最高裁の量刑委員会は2021年に、安全・保健措置義務違反で労働者が死亡した場合、勧告する量刑の範囲を、今までの懲役十月~三年六月から懲役二年~五年に大幅に引き上げた経緯がある。

「産業現場の慣行」を理由に元請け代表の量刑が軽くなったのも批判される点だ。裁判所は「被害者を始め、建設勤労者の間で蔓延していた安全手摺りの任意撤去などの慣行も、一部(事故)原因になったと見られる」とし、「結果の責任を全て被告人だけに転嫁するのは多少苛酷な側面がある」と指摘した。裁判所が労働者の安全を脅かす「現場の不法的な慣行」を減刑の口実としたのだ。民主労総・金属労組法律院のパク・ダヘ弁護士は、「危険な場所が多い労働現場では、こうした『慣行』が多いほど、事業主により高いレベルの責任が付与されるべきなのに、裁判所の判断が法の趣旨を反対に理解したもの」と批判した。

韓国労総はこの日論評を出し、「この間『処罰より予防に焦点を合わせるべきだ』として、重大災害処罰法の改正を要求してきた経営界の主張が、『誇張された厳しさ』であることを証明した」とした。民主労総は「法施行後、一年二ヶ月が過ぎて初めて一審宣告が出たという現実が、重大災害処罰法を張り子の虎にしている」とし、「今日の宣告を契機に、経営界と保守マスコミは元請け経営責任者の処罰に対する違憲性云々の論難を直ちに中止せよ」と要求した。

2023年4月7日 ハンギョレ新聞 チャン・ヒョンウン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1086912.html