重大災害を減らそう・・・、中小事業場への法適用は再び延期? 2023年1月11日 韓国の労災・安全衛生
27日で施行一年を迎える「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害法)改正に関する議論が本格的に始まった。雇用労働部は専門家の意見を土台に重大災害法の改正案を準備するという考えだが、経営責任者処罰緩和と50人未満の事業場への適用猶予の検討などの改正方向を確認したことによって、重大災害法『緩和』が明確になったという批判が提起されている。
労働部は11日、労働法・刑法・産業安全保健分野の専門家で構成された「重大災害処罰法令改善タスクフォース」を発足し、6月までに重大災害法改善方案を議論する予定だと明らかにした。労働部は昨年11月「重大災害削減ロードマップ」の発表の時、△処罰要件の明確化、△常習・反復死亡事故の刑事処罰、△制裁方式の改善などを内容とした重大災害法の改正方向を提示した。
しかし、こういう重大災害法の改正方向は、労働部が重大災害削減方案として掲げている『自律規制』基調と矛盾しているという指摘が出ている。重大災害法は事業主・経営責任者に企業の実情に合った安全保健管理体系を構築し、従事員に対する有害・危険要因を改善する義務を賦課した後、その義務を履行せずに重大災害が発生した場合、経営責任者を刑事処罰するとする内容を含んでいる。これまで企業は、経営責任者の処罰要件となる『安全保健管理体系構築』の内容が不明だと批判してきた。
政府が重大災害削減ロードマップの核心戦略としている『危険性評価』もやはり、事業主が事業場の実情に合わせて有害・危険要因を発掘し、これに伴う措置を履行する『自律規制』をいうもので、重大災害法の経営責任者の義務と大きく変わらない。政府が、重大災害ロードマップでは事業主自ら規制する内容を定めるようにするとし、重大災害法の改正方向では、処罰要件の明確化によって守るべき事項を一々決めるというわけだ。
江原大学法学専門大学院のチョン・ヒョンベ教授(労働法)は、「政府が重大災害削減ロードマップでは自律規制を話し、重大災害法では処罰要件を明確にすると言っている」が、「安全保健管理体系は経営責任者自らがすべきことだが、(処罰要件)明確化をするということは、事業主の裁量を縮小すること(に続き、矛盾する)」と指摘した。
現行の懲役・罰金刑の刑事処罰を、課徴金など行政罰に変え、来年から法が適用される5~49人の事業場の法適用時期も再度猶予する方案を検討するという政府の態度もやはり、『重大災害法の緩和』という批判が提起されている。
民主労総のチェ・ミョンソン労働安全保健室長は「重大災害全体の80%が発生する50人未満の事業場に対する重大災害法の適用時期を猶予することは、政府が重大災害削減に対して非常に良くない信号を送ること」で、「この間重大災害法の緩和はないと主張してきた労働部が、適用対象・制裁方式などすべての部分で緩和を推進している」と話した。
2023年1月11日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者