現代建設が「最悪の殺人企業」、四度目の汚名 2022年4月28日 韓国の労災・安全衛生

民主労総と毎日労働ニュースなど、『労災死亡対策作り共同キャンペーン団』が27日、ソウルの現代建設の本社の前で『2022最悪の殺人企業』を発表し、現代建設が今年最悪の殺人企業に選定された。/チョン・ギフン記者

現代建設が22年の最悪の殺人企業第1位に選定された。昨年、6人の下請け労働者が、現代建設の建設現場で、作業中に落ちたり、挟まれたりして亡くなった。労災死亡対策作り共同キャンペーン団が、2006年に初めて最悪の殺人企業を選定して以来、現代建設が1位を占めるのは今回で既に四度目だ。共同キャンペーン団には、毎日労働ニュースと労働健康連帯、民主労総が参加している。

共同キャンペーン団は27日午前、ソウルの現代建設の前で記者会見を行い、最悪の殺人企業の名簿を発表した。2022年の最悪の殺人企業は、昨年、労災事故の死亡者が二人以上発生した企業を対象に調査した。同日の記者会見は、正義党のカン・ウンミ議員と労災被害家族ネットワーク「二度とは」が共同主催した。

下請け労働者に集中した在来式の災害

現代建設の下請け労働者の命を奪った事故は、今回も落下や衝突といった通常災害だった。昨年の1月と9月に発生した墜落事故では、下請け労働者二人が死亡した。今年4月、雇用労働部は現代建設の主要な現場を監督したが、産業安全保健法違反事項(254件)の中で、墜落事故予防用の安全手摺りの不設置が23.2%で最も多かった。

このほかにも、掘削面の下でゴミを拾っていた労働者が落石に当たったり、現場で座っていた労働者が掘削機のバケットにぶつかったりして亡くなった。災害は2・3カ月おきに繰り返され、9~10月には一カ月で二人の労働者が死亡した。

殺人企業の2位には㈱大平が挙がった。尚州の大平化粧品の燃料工場で、昨年8月、爆発事故で労働者6人が負傷し、重傷を負った元請の労働者5人が結局なくなった。

労働者4人が死亡した大宇建設とテヨン建設が共同3位、労働者3人が死亡したイイル産業、漢陽、現代重工業、SKTNS、S&I建設が共同5位なった。

例年のように、災害は下請け労働者に集中した。1位から共同5位に選ばれた9社で死亡した労働者34人の内、下請け会社の所属が79%(27人)だった。昨年12月13日、麗水工業団地の化学燃料タンクの爆発事故で死亡した労働者三人も、いずれも下請け会社が雇用した日雇い労働者だった。

チョン・ギフン記者

17人の死傷者が出た光州鶴洞の事故
「現代産業開発」への制裁の無力

特別賞は、光州・鶴洞の撤去建物の事故で17人の死傷者を出した現代産業開発に贈られた。この事故で、倒壊した建物がバス停に停っていたバスを襲い、バスに乗っていた市民が大怪我をしたり死亡した。しかし、重大災害処罰法が規定する重大産業・市民災害には含まれないため、労働部の集計からは除外された。

国土交通部は光州鶴洞事故の原因として、不法下請けによって工事費が大幅に減額され、安全を無視した無理な解体方式が使われたと指摘したが、現代産業開発の反省はなかった。現代産業開発は今年1月、無断で構造を変更して光州のアイパーク崩壊事故を起こし、労働者6人が命を失った。しかし、殺人企業を制裁する手段は無力だ。ソウル市は今年3月、手抜き工事などの建設産業基本法違反で、現代産業開発に三ヵ月間の営業を停止する行政処分を行った。その後、現代産業開発が行政処分の執行停止申請を提起したのを裁判所が受け容れ、行政処分の執行は停止された。下請けの管理義務不履行によって出された営業停止三ヵ月は、現代産業開発の要請で課徴金4億ウォンに換えられた。

また別の特別賞の受賞者は、韓国経営者総協会だ。労災遺族が命を懸けた闘いで作った重大災害処罰法が今年1月27日に施行されたが、財界の法律無力化の試みが後を絶たないからだ。共同キャンペーン団は「経総は法制定の論議が始まった2020年から、法が施行された今まで、法律の意味と目的を骨抜きにしようと努力している」と批判した。経総のソン・ギョンシク会長は、重大災害処罰法を、『企業に負担を与える政策』と決めつけ、改善を新政府に建議すると発表している。

小細工は処罰されない

共同キャンペーン団は「四度も最悪の殺人企業に選ばれた現代建設は目を覚まし、経総は重大災害処罰法の無力化を図ることを止めなければならない」と指摘した。カン・ウンミ議員は「一年に2千人余りが産業災害で死亡する現実に、人の命を交換する企業経営は、経営を口実にした殺人だ」、「金を稼ぐために労働者を殺す殺人を止めなければならない」と主張した。2019年10月、釜山のキョンドン建設のマンション新築工事現場で作業中に災害で死亡したチョン・スンギュさんの息子のチョン・ソクチェ氏は、「昨年、現代建設で6人の大切な家族が労災死亡事故で亡くなった」、「現代建設は墜落防止のための安全手摺りの設置など、安全措置を遵守せず、わずか3億7千万ウォンの過料を受けた」と批判した。参与連帯のイ・ジウ経済金融センター幹事は、「正しくなされた処罰だけが、生命を担保にした、無茶で残酷な事故を防止できる」、「光州のアイパーク事故は軽い処罰であってはならない」と主張した。

2022年4月28日 毎日労働ニュース カン・イェスル記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=208629