【建設アスベスト給付金関係通達】令和4(2022)年1月19日付け基発0119第1号「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等支給要領について」

特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律(令和3年法律第74号)については、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律の施行期日を定める政令(令和4年政令第20号)が令和4年1月18日に公布され、本日施行されたところである。
ついては、当該給付金等の支給に関し、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等支給要領を下記のとおり定めたので、御了知されたい。
また、石綿による疾病に関し労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に係る保険給付の支給決定を受けた建設業務労働者等であって、本制度の支給の対象となる可能性がある者等に対し、必要な周知を図られたい。

第1 趣旨

○石綿にさらされる建設業務に従事した労働者等が、石綿を吸入することにより発生する中皮腫その他の疾病にかかり精神上の苦痛を受けたことに係る最高裁判決(令和3年5月17日第1小法廷判決)等において、国が労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく権限を行使しなかったことの責任が認められた。

○これに鑑み、これらの判決において国の責任が認められた者と同様の苦痛を受けている方々について、その損害の迅速な賠償を図るため、第204回通常国会において、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律(令和3年法律第74号。以下「法」という。)」が成立し、国は、本法の定めるところにより、同法第3条第1項に規定する給付金又は同法第9条第1項に規定する追加給付金(以下「給付金等」という。)を支給することとされた。

○給付金等の支給については、法令に定めるほか、この要領の定めるところによる。

第2 給付金等支給制度の概要

○特定石綿被害建設業務労働者等(特定石綿被害建設業務労働者等が死亡したときは、その遺族)は、国に対し、給付金等の支給を請求することができる。

○厚生労働大臣は、請求を受けたときは、特定石綿被害建設業務労働者等認定審査会(以下「認定審査会」という。)に通知し、①特定石綿ばく露建設業務に従事した期間、②罹患した石綿関連疾病の種類、③特定石綿ばく露建設業務に従事したことと石綿関連疾病にかかったこととの関係、④喫煙の習慣の有無について審査を求め、認定審査会の審査の結果に基づき、給付金等の支給を受ける権利の認定を行う。

○厚生労働大臣は、請求者に対して認定又は不認定の通知を行う。認定を受けた請求者に対しては、国から給付金等の支払事務を委託された独立行政法人労働者健康安全機構(以下「機構」という。)から給付金等の支払がなされる。

○なお、給付金等の迅速かつ簡便な支給を図るため、過去に石綿関連疾病の労災保険給付・石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18年法律第4号。以下「石綿救済法」という。)の特別遺族給付金の支給を受けたことがある者に対する労災支給決定等情報提供サービスが設けられている。

第3 定義

本要領における用語の定義は以下のとおりとする。

1 特定石綿ばく露建設業務(法第2条第1項関係)

(1)「特定石綿ばく露建設業務」は、日本国内において行われた石綿にさらされる建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業若しくはこれらの作業の準備の作業に係る業務又はこれに付随する業務をいう。)のうち、以下のいずれかに該当するものをいう。
ア 昭和47年10月1日から昭和50年9月30日までの間において行われた石綿の吹付けの作業に係る業務
イ 昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間において屋内作業場であって厚生労働省令で定めるものにおいて行われた作業に係る業務

(2)「屋内作業場」とは、屋根を有し、側面の面積の半分以上が外壁その他の遮蔽物に囲まれ、外気の流入が妨げられることにより、石綿の粉じんが滞留するおそれがあるものをいう。(特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律施行規則(令和3年厚生労働省令第187号。以下「則」という。)第1条関係)

2 石綿関連疾病(法第2条第2項関係)

「石綿関連疾病」とは、石綿を吸入することにより発生する次に掲げる疾病をいう。
(1)中皮腫
(2)気管支又は肺の悪性新生物(以下「肺がん」という。)
(3)著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
(4)石綿肺(じん肺法(昭和35年法律第30号)第4条第2項に規定するじん肺管理区分(以下単に「じん肺管理区分」という。)が管理2、管理3若しくは管理4である者又はこれに相当する者に係るものに限る。以下同じ。)
(5)良性石綿胸水

3 特定石綿被害建設業務労働者等(法第2条第3項関係)

「特定石綿被害建設業務労働者等」とは、次の(1)から(4)までのいずれかに該当する者(以下「労働者等」という。)であって特定石綿ばく露建設業務に従事することにより石綿関連疾病にかかったものをいう。

(1)労働者

労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者をいう。ただし、同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。

(2)中小事業主

当該事業主が特定石綿ばく露建設業務に従事していた当時において施行されていた労働者災害補償保険法施行規則(昭和30年労働省令第22号)第46条の16で定める数以下の労働者(常用雇用労働者)を使用していた事業主をいう。
当時の同条で定める中小事業主の範囲については、表1のとおりである。(則第2条関係)

【表1】
主たる事業・時期/①金融業・保険業・不動産業・小売業/②サービス業/③卸売業/④左記以外
S40.11.1~S48.10.14/①50人以下/②50人以下/③50人以下/④300人以下
S48.10.15~H11.12.2/①50人以下/②50人以下/③100人以下/④300人以下
H11.12.3~現在/①50人以下/②100人以下/③100人以下/④300人以下

(3)一人親方

労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする者をいう。

(4)家族従事者等

以下の①、②をいう。

① 中小事業主が行う事業に従事する家族従事者等
中小事業主が行う事業に従事する家族従事者等(労働者を除く。)をいい、具体的には、家族従事者や、中小事業主が法人その他の団体であった場合における代表者以外の役員が該当する。

② 一人親方が行う事業に従事する家族従事者等
一人親方が行う事業に従事する家族従事者等(労働者を除く。)をいい、具体的には家族従事者などが該当する。

4 遺族

特定石綿被害建設業務労働者等が死亡した場合におけるその者の遺族をいい、給付金等の請求を行うこと及び支給を受けることができる遺族の範囲は、以下のとおりとする。
(1)配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)
(2)子
(3)父母
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹
なお、給付金等の支給を受けることができる遺族の順位は、上記に記載する順序によるものとする。

5 請求者

給付金等の支給を受けようとして請求を行う者をいう。

第4 給付金等の支給対象者(法第3条、第9条関係)

給付金等の支給を請求することができる者は、以下のいずれかに該当するものとする。
1 特定石綿被害建設業務労働者等
2 特定石綿被害建設業務労働者等が死亡したときは、その者の遺族

第5 支給要件

Ⅰ 給付金

給付金は、請求者の請求に基づき、当該請求が次の1から3までの要件のいずれにも該当し、請求者が給付金の支給を受ける権利があると厚生労働大臣が認定した場合に支給する。

1 被災者が次の(1)から(3)までのいずれにも該当すること

(1)特定石綿ばく露建設業務に従事していたこと
(2)特定石綿ばく露建設業務に従事した期間において、第3の3(1)から(4)までのいずれかに該当すること
(3)特定石綿ばく露建設業務に従事したことにより、次のいずれかの石綿関連疾病にかかったこと

ア 中皮腫
次の(ア)及び(イ)のいずれにも該当すること。
(ア)特定石綿ばく露建設業務に従事した労働者等に発症した胸膜、腹膜、心膜若しくは精巣鞘膜の中皮腫又は胸膜、腹膜、心膜若しくは精巣鞘膜以外の中皮腫であって認定審査会が認めたものであって、次の(a)から(c)までのいずれかに該当するものであること。
(a)石綿肺の所見が得られていること(じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上であるものに限る。以下同じ。)
(b)石綿ばく露作業(「石綿による疾病の認定基準について」(平成24年3月29日付け基発0329第2号(以下「平成24年通達」という。)第1の2に掲げる作業をいう。なお、特定石綿ばく露建設業務に係る作業に限らない。以下同じ。)の従事期間が1年以上あること
(c)(a)及び(b)のいずれにも該当しないが、認定審査会が認めたもの
(イ)最初の石綿ばく露作業を開始したときから10年以上で発症したもの、又は10年未満で発症したもののうち認定審査会が認めたもの(上記(ア)の(a)又は(b)に該当する場合に限る)であること。

イ 肺がん
次の(ア)及び(イ)のいずれにも該当すること。
(ア)特定石綿ばく露建設業務に従事した労働者等に発症した原発性肺がんであって、次の(a)から(f)までのいずれかに該当するものであること。
(a)石綿肺の所見が得られていること。
(b)胸部エックス線検査、胸部CT検査等により、胸膜プラークが認められ、かつ、石綿ばく露作業への従事期間が10年以上あること、又は10年未満のもののうち認定審査会が認めたものであること。ただし、平成24年通達第1の2の(3)の作業に係る従事期間の算定において、平成8年以降の従事期間は、実際の従事期間の1/2とする。
(c)次の①から⑥までのいずれかの所見が得られ、かつ、石綿ばく露作業への従事期間が1年以上あること、又は1年未満のもののうち認定審査会が認めたものであること。
なお、①については、標準的な方法(現時点においては独立行政法人労働者健康福祉機構・同環境再生保全機構発行の「石綿小体計測マニュアル(第2版)」に示された方法)により計測されたものを用いること。
① 乾燥肺重量1g当たり5,000本以上の石綿小体
② 乾燥肺重量1g当たり200万本以上の石綿繊維(5μm超)
③ 乾燥肺重量1g当たり500万本以上の石綿繊維(1μm超)
④ 気管支肺胞洗浄液1ml中5本以上の石綿小体
⑤ 肺組織切片中の石綿小体又は石綿繊維
⑥ 乾燥肺重量1g当たり1,000本以上5,000本未満又は気管支肺胞洗浄液1ml中1本以上5本未満の石綿小体が認められるもののうち認定審査会が認めたもの
(d)次の①又は②のいずれかの所見が得られ、かつ、石綿ばく露作業の従事期間が1年以上あること、又は1年未満のもののうち認定審査会が認めたものであること。
① 胸部正面エックス線写真により胸膜プラークと判断できる明らかな陰影が認められ、かつ、胸部CT画像により当該陰影が胸膜プラークとして確認されるものであること。
胸膜プラークと判断できる明らかな陰影とは、次の(ⅰ)又は(ⅱ)のいずれかに該当する場合をいう。
(ⅰ)両側又は片側の横隔膜に、太い線状又は斑状の石灰化陰影が認められ、肋横角の消失を伴わないもの。
(ⅱ)両側側胸壁の第6から第10肋骨内側に、石灰化の有無を問わず非対称性の限局性胸膜肥厚陰影が認められ、肋横角の消失を伴わないもの。
② 胸部CT画像で胸膜プラークを認め、左右いずれか一側の胸部CT画像上、胸膜プラークが最も広範囲に抽出されたスライスで、その広がりが胸壁内側の1/4以上のものであること。
(e)石綿ばく露作業のうち、平成24年通達第1の2の(3)のア、イ若しくは(4)のいずれかの作業への従事期間又はそれらを合算した従事期間が5年以上あること。(ただし、従事期間の算定において、平成8年以降の従事期間は、実際の従事期間の1/2とする。これが適用された結果、算定した従事期間が5年未満のもののうち認定審査会が認めたものであることも含む。)
(f)下記ウの要件を満たすびまん性胸膜肥厚を発症している者に併発したものであること。
(イ)最初の石綿ばく露作業を開始したときから10年以上で発症したもの、又は10年未満で発症したもののうち認定審査会が認めたものであること。

ウ 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
特定石綿ばく露建設業務に従事した労働者等に発症したびまん性胸膜肥厚であって、次の(ア)から(ウ)までのいずれの要件にも該当するものであること。
(ア)胸部CT画像上、肥厚の広がりが、片側にのみ肥厚がある場合は側胸壁の1/2以上、両側に肥厚がある場合は側胸壁の1/4以上あるものであること。
(イ)著しい呼吸機能障害を伴うこと。この著しい呼吸機能障害とは、次の①又は②に該当する場合をいうものであること。
なお、びまん性胸膜肥厚について、著しい呼吸機能障害を伴うものであるか否かを判定する際に、「パーセント肺活量(%VC)」並びに「1秒率」、「パーセント1秒量」、「動脈血酸素分圧(PaO2)」及び「肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)」(以下「1秒率等」という。)の各指標を用いる意義は、別紙のとおりであること。
① パーセント肺活量(%VC)が60%未満である場合
② パーセント肺活量(%VC)が60%以上80%未満であって、次の(ⅰ)又は(ⅱ)に該当する場合(ⅰ)1秒率が70%未満であり、かつパーセント1秒量が50%未満である場合
(ⅱ)動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下である場合又は肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)が別表の限界値を超える場合
(ウ)石綿ばく露作業への従事期間が3年以上あること、又は3年未満であって認定審査会が認めたものであること。

エ 石綿肺
特定石綿ばく露建設業務に従事した労働者等に発症した石綿肺であって、じん肺管理区分が管理2、管理3若しくは管理4又はこれに相当する石綿肺と認められるものであること。

オ 良性石綿胸水
特定石綿ばく露建設業務に従事した労働者等に発症した良性石綿胸水であって、認定審査会が認めたものであること。

2 請求期限を経過していない請求であること(法第5条第2項関係)

当該請求が、
① 請求に係る石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断があった日
② 請求に係る石綿肺のじん肺管理区分の決定(管理2、管理3又は管理4)があった日
③ 請求に係る石綿関連疾病により死亡したときはその死亡した日
から起算して20年を経過していないものであること。
①から③までの日が複数ある場合、③が含まれる場合は③の日、それ以外の場合は①及び②のうち最も遅い日から起算して20年を経過していない請求であること。なお、①から③までの日が法の施行日よりも前の場合であっても、当該日から起算する。

3 請求者が第4(給付金等の支給対象者)の1又は2に該当すること。

Ⅱ 追加給付金(第9条関係)

追加給付金は、請求者の請求に基づき、次の1から4までの要件のいずれにも該当し、請求者が追加給付金の支給を受ける権利があると厚生労働大臣が認定した場合に支給する。
1 被災者に係る請求に関し給付金が支払われていること。
2 被災者が特定石綿ばく露建設業務に従事したことにより、新たにⅠ1(3)に掲げる石綿関連疾病(第6の1(1)【表2】の1に該当する者に係るものを除く。)のいずれかに該当することとなったこと又はこれにより死亡したこと。
3 請求期限を経過していない請求であること。請求期限の考え方は給付金の場合と同様である。なお、「請求に係る石綿関連疾病」は「追加給付金の請求に係る石綿関連疾病」と読み替える。
4 請求者が第4(給付金等の支給対象者)の1又は2に該当すること。

第6 給付金等の額(法第4条関係)

1 給付金の額

給付金の支給額は、(1)の認定区分に応じた給付金の額から、必要に応じて(2)の従事期間、喫煙による減額を行い、(3)の損害賠償等との調整を行った額とする。

(1)認定区分に応じた給付金の額

表2の認定区分に応じた額とする。なお、表2のうち「じん肺法所定の合併症」とは、じん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号)第1条第1号から第5号までに掲げる肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸のことをいう。(則第3条関係)

【表2】
1 石綿肺にかかり、じん肺管理区分が管理2又はこれに相当する者でじん肺法所定の合併症のない者-550万円
2 石綿肺にかかり、じん肺管理区分が管理2又はこれに相当する者でじん肺法所定の合併症のある者-700万円
3 石綿肺にかかり、じん肺管理区分が管理3又はこれに相当する者でじん肺法所定の合併症のない者-800万円
4 石綿肺にかかり、じん肺管理区分が管理3又はこれに相当する者でじん肺法所定の合併症のある者-950万円
5 中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚にかかった者、石綿肺にかかり、じん肺管理区分が管理4又はこれに相当する者、良性石綿胸水にかかった者-1,150万円
6 上記1及び3により死亡した者-1,200万円
7 上記2、4及び5により死亡した者-1,300万円

(2)従事期間、喫煙による給付金の減額

ア 従事期間による減額
特定石綿被害建設業務労働者等であって、特定石綿ばく露建設業務に従事した期間が、表3の石綿関連疾病に応じて定める期間を下回る場合、当該請求者の給付金の額は、表2に定める額に90/100を乗じた額とする。

【表3】
肺がん又は石綿肺-10年
著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚-3年
中皮腫又は良性石綿胸水-1年

イ 喫煙による減額
(ア)特定石綿被害建設業務労働者等のうち、肺がんにかかった者について、喫煙の習慣を有したものに係る給付金の額は、表2の区分5又は7の額に90/100を乗じた額とする。
(イ)上記(ア)の従事期間による減額の適用がある場合については、従事期間による減額をした額に90/100を乗じた額とする。

(3)損害賠償等との調整による減額(法第12条関係)

給付金の支給を受ける権利を有する者に対し、同一の事由について、国から損害の.補がされた場合(法の施行前に、既に国により損害の填補がされている場合を含む。)には、当該者に対する支給額は、その価額を限度として給付金の額を減額する。
また、給付金の支給を受ける権利を有する者に対し、同一の事由について、国以外の者から損害賠償その他これに類するもの(以下「損害賠償金等」という。)により損害の填補がされたときは、当該損害の.補の額と支払われるべき給付金の額から遅延損害金に相当する額を控除した額の合計額が、支払われるべき給付金の額の2倍に相当する額を超える場合(法の施行前に、既に国以外の者により損害の.補がされている場合を含む。)においては、その超える価額を限度として給付金の額を減額する。
なお、給付金の額の計算の結果、円未満の端数が生じた場合は切り捨てる。

2 追加給付金の額(法第10条関係)

(1)追加給付金の額は、次のとおりとする。

なお、追加給付金の額の計算の結果、円未満の端数が生じた場合は切り捨てる。

ア 初めて追加給付金の支給を受ける場合
表2に定める額から、過去に支給された給付金の額を控除した額

イ 既に追加給付金の支給を受けたことがある場合
表2に定める額から支給された給付金の額及び過去に支給された追加給付金の額の合計額を控除した額

(2)前回支給を受けた給付金等の支給後に、新たに損害賠償金等により損害の填補がされた場合には、新たな損害賠償金等の額及び表2に定める額から過去に支給された給付金等を控除した額に基づき、1(3)に準じて算定された額とする。

第7 給付金等の請求

1 給付金の請求書の提出

給付金の支給を受けようとする請求者は、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等請求書①(通常請求用)([通]-様式1-1、2、3)(別添1)に、以下の(1)から(9)までの書類を添付して、郵送により厚生労働省本省労働基準局労災管理課(以下「労災管理課」という。)に提出しなければならない。

(1)請求者の本人確認書類
ア 請求者が被災者本人である場合
請求者の住民票の写し(外国人の場合で、住民票の写しが用意できない場合には旅券、その他の身分を証明する書類の写し)
イ 請求者が遺族の場合にあっては、次に掲げる書類
(ア)被災者に関して市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長(政令指定都市においては、区長又は総合区長とする。以下同じ。)に提出した死亡診断書、死体検案書若しくは検視調書に記載してある事項についての市町村長の証明書又はこれに代わるべき書類
(イ)請求者と被災者との身分関係及び請求者より先順位の遺族がいないことを確認できる戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本若しくは戸籍(除籍)全部事項証明書又は住民票の写し
(ウ)請求者が被災者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者であるときは、その事実を確認できる書類

(2)被災者に労災保険給付・石綿救済法の特別遺族給付金の支給・不支給決定、石綿救済法の救済給付の認定・不認定及びじん肺管理区分決定がある場合にはその旨を確認できる書類

(3)石綿関連疾病(請求する区分の疾病)に罹患していることを確認できる書類(診断(意見)書([共]-様式1から5)(別添2から別添6)等)

(4)就業歴等申告書([通]-様式3、続紙、別紙)(別添7)

(5)(4)の事実が確認できる書類

(6)企業等から損害賠償金や和解金などを受け取っている場合にあっては、企業等からの受領金額等及びその内訳を確認できる書類

(7)請求に当たり必要な添付書類を具備していることを示す請求書添付書類等一覧表(通常請求用)(○通-様式2-1、2、3)(別添8)

(8)その他給付金の支給事務に必要となる書類

(9)(1)から(8)に日本語以外で作成された書類がある場合には、当該書類の日本語訳

2 追加給付金の請求書の提出

追加給付金の支給を受けようとする請求者は、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等請求書③(追加請求用)([追]-様式1-1、2、3)(別添9)に、以下の(1)から(8)までの書類を添付して、郵送により労災管理課に提出しなければならない。

(1)請求者の本人確認書類
ア 請求者が被災者本人である場合
請求者の住民票の写し(外国人の場合で、住民票の写しが用意できない場合には旅券、その他の身分を証明する書類の写し)
イ 請求者が遺族の場合にあっては、次に掲げる書類
(ア)被災者に関して市町村の長に提出した死亡診断書、死体検案書若しくは検視調書に記載してある事項についての市町村長の証明書又はこれに代わるべき書類
(イ)請求者と被災者との身分関係及び請求者より先順位の遺族がいないことを確認できる戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本若しくは戸籍(除籍)全部事項証明書又は住民票の写し
(ウ)請求者が被災者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者であるときは、その事実が確認できる書類

(2)被災者が労災保険給付・石綿救済法の特別遺族給付金の支給・不支給決定、石綿救済法の救済給付の認定・不認定及びじん肺管理区分決定がある場合にはその旨を確認できる書類

(3)石綿関連疾病(請求する区分の病態)に罹患していること等を確認できる書類(診断(意見)書([共]-様式1から5)(別添2から別添6)等)

(4)前回の給付金等の支給認定を受けた以後に企業等から損害賠償金や和解金などを受け取っている場合にあっては、当該企業等からの受領金額等及びその内訳を確認できる書類

(5)前回認定された給付金又は追加給付金の認定決定通知書の写し

(6)請求に当たり必要な添付書類を具備していることを示す請求書添付書類等一覧表(追加請求用)([追]-様式2-1、2、3)(別添10)

(7)その他給付金等の支給事務に必要となる書類

(8)(1)から(7)に日本語以外で作成された書類がある場合には、当該書類の日本語訳

3 1の給付金の請求書の提出の特例

給付金の支給を受けようとする請求者が、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律に係る情報の提供について」(令和3年12月1日付け基管発1201第1号、基補発1201第1号)に基づく労災支給決定等情報提供サービスを利用し、石綿関連疾病の労災保険給付・石綿救済法の特別遺族給付金の支給決定に係る情報(以下「労災支給決定等情報提供サービス提供情報」という。)を得た場合には、1の給付金の請求書の提出に代えて、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等請求書②(情報提供サービス利用者用)([特]-様式1-1、2、3)(別添11)に、以下の(1)から(8)までの書類を添付して、郵送により労災管理課に提出することができる(以下当該請求者を「労災支給決定等情報提供サービス提供情報利用請求者」という。)。

(1)請求者の本人確認書類
ア 請求者が被災者本人である場合
請求者の住民票の写し(外国人の場合で、住民票の写しが用意できない場合には旅券、その他の身分を証明する書類の写し)(ただし、請求者が労災支給決定等情報提供サービスの申請時と同一の住所である場合は当該書類の提出を省略できる。)
イ 請求者が遺族の場合にあっては、次に掲げる書類
(ア)被災者に関して市町村の長に提出した死亡診断書、死体検案書若しくは検視調書に記載してある事項についての市町村長の証明書又はこれに代わるべき書類
(イ)請求者と被災者との身分関係及び請求者より先順位の遺族がいないことを確認できる戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本若しくは戸籍(除籍)全部事項証明書又は住民票の写し(ただし、請求者が労災支給決定等情報提供サービスの申請時に提出された戸籍謄本等により最先順位者であることが確認できる場合は当該書類の提出を省略できる。)
(ウ)請求者が被災者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者であるときは、その事実を確認できる書類(ただし、請求者が労災支給決定等情報提供サービスの申請時と同一の者である場合は当該書類の提出を省略できる。)

(2)労災支給決定等情報提供サービス提供情報と異なる石綿関連疾病(請求する区分の疾病)に関する給付金等を請求する場合、そのことを確認できる書類(診断(意見)書([共]-様式1から5)(別添2から別添6)等)

(3)労災支給決定等情報提供サービス提供情報と異なる就業歴等の審査を求める場合、そのことを確認できる就業歴等申告書([通]-様式3、続紙、別紙)(別添7)

(4)(3)の事実が確認できる書類

(5)企業等から損害賠償金や和解金などを受け取っている場合にあっては、企業等からの受領金額等及びその内訳並びに受領年月日を確認できる書類

(6)請求に当たり必要な添付書類を具備していることを示す請求書添付書類等一覧表(情報提供サービス利用者用)([特]-様式2-1、2、3)(別添12)

(7)その他給付金の支給事務に必要となる書類

(8)(1)から(7)に日本語以外で作成された書類がある場合には、当該書類の日本語訳

第8 請求書等の受理

労災管理課は、請求者から請求書等が提出されたときは、次の事項について確認の上受理する。
1 請求期限内に提出されていること
2 請求書等に所要の事項が記載されていること
3 請求書及び必要な添付書類が揃っていること
記載事項に不備等がある場合には、簡易なものは請求者に電話等で確認を行った上で補正する。記載事項に関し重要な部分について不備等があり、補正が必要な場合、又は必要な書類が揃っていない場合には、請求書の不備・不足に係る返戻について(別添13)により、請求者に請求書等の補正を求めるものとする。なお、請求書等の不備・不足に係る返戻について(別添13)を発出後、相当期間を経過しても不備・不足等の補正がなされない場合、請求書等の補正について(別添14)を請求者に送付する。

第9 請求書等の審査(要件に該当することの調査・確認)

労災管理課は、給付金等の請求書等を受理した後、以下の点に留意して、法令やこの要領に定める要件に該当することの調査・確認を行い、第10の認定審査会に審査を求めるものとする。

1 給付金

(1)請求者及び被災者の本人確認

請求者及び被災者について、本人の特定を行い得る住民票の写し(外国人の場合で、住民票の写しが用意できない場合には旅券、その他の身分を証明する書類の写し。以下「本人確認書類」という。)により確認を行う。
また、提出された本人確認書類等により請求書等の記載内容に誤りがないことを確認する。

(2)被災者が死亡している場合、請求者が支給対象である遺族であることの確認

請求者が被災者本人ではなく、遺族である場合には、被災者の死亡届の記載事項証明書、請求者と被災者との身分関係を確認できる戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、戸籍(除籍)全部事項証明書又は住民票の写し等により、①請求者が被災者の遺族に該当すること、②請求権を持つ遺族に該当すること、③先順位の生存する遺族がいないことを確認する。

(3)二重請求の有無の確認

同一の被災者について、過去に同一の原因に基づく給付金等の請求が行われていないことを確認する。

(4)特定石綿被害建設業務労働者等に該当することの確認等

被災者が特定石綿被害建設業務労働者等に該当することを、ア及びイにより確認する。

ア 被災者が特定石綿ばく露建設業務に従事していたことについて
(ア)石綿ばく露作業従事期間、作業内容の確認
就業歴等申告書([通]-様式3、続紙、別紙)(別添7)を元に、厚生年金保険加入記録、事業主証明・事業主の陳述書等、労働者名簿、同僚の陳述書等の提出された資料により、被災者の就業歴を確認し、国の責任期間内(石綿の吹付け作業にあっては、昭和47年10月1日から昭和50年9月30日までの間、屋内作業場であって厚生労働省令で定めるもので行われた作業(以下「屋内作業」という。)にあっては昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間)に就業していたことがあること、当該期間中の作業が吹付け作業又は屋内作業であることを確認する。
また、国の責任期間内の石綿ばく露作業従事期間がそれぞれの疾病ごとに定める従事期間による減額となる期間であるか否かについても確認する。
なお、労災支給決定等情報提供サービス提供情報利用請求者の請求については、就業歴等申告書([通]-様式3、続紙、別紙)(別添7)、労災支給決定等情報提供サービス提供情報、労災保険給付・石綿救済法の特別遺族給付金の支給決定の際の関係資料などにより上記事項を確認する。
(イ)被災者が労働者等であったことの確認
就業歴等申告書([通]-様式3、続紙、別紙)(別添7)を元に、厚生年金保険加入記録、事業主証明・事業主の陳述書等、労働者名簿、同僚の陳述書等の提出された資料により、上記(ア)の期間中、労働者、中小事業主、一人親方又は家族従事者等であったことを確認する。

イ 被災者が石綿関連疾病にかかったことについて
被災者が請求対象である石綿関連疾病(以下「請求対象石綿関連疾病」という。)にかかっていたことについては認定審査会において判断されるが、提出された診断書等の疾病名と請求区分の石綿関連疾病等が合致していることを確認する。合致しない場合には、別途、資料の提出を求める等を行う。

(5)喫煙の習慣の有無の確認等

請求対象石綿関連疾病が肺がんである場合、又は肺がんにより死亡した場合には、被災者の喫煙の習慣の有無について、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等請求書①(通常請求用)([通]-様式1-2)(別添1)により確認する。また、必要に応じて、健康診断記録等を活用して確認を行う。
なお、労災支給決定等情報提供サービス提供情報利用請求者の請求については、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等請求書②(情報提供サービス利用者用)([特]-様式1-2)(別添11)、労災支給決定等情報提供サービス提供情報、労災保険給付・石綿救済法の特別遺族給付金の支給決定の際の関係資料などにより確認する。

(6)損害賠償金、和解金、補償金等の受取状況の確認等

給付金等と同一の事由について、国又は国以外の者(勤務していた企業、石綿含有建材メーカーなど)から損害の.補又は給付金等の支給を受けているかについて、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等請求書①(通常請求用)([通]-様式1-3)(別添1)、訴訟関係資料、労災関係資料、石綿救済法認定関係資料、本人陳述書、同僚陳述書、企業等が被告となっている民事訴訟の記録、企業等への照会・報告徴収などにより確認する。
なお、労災支給決定等情報提供サービス提供情報利用請求者の請求についても、同様に確認する。

(7)請求期限を経過していないことの確認等

特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等請求書①(通常請求用)([通]-様式1-2)(別添1)、又は特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等請求書②(情報提供サービス利用者用)([特]-様式1-2)(別添11)、死亡届の記載事項証明書、診断(意見)書([共]-様式1から5)(別添2から別添6)、じん肺管理区分決定通知書等により、請求期限内に請求が行われていることを確認する。

2 追加給付金

(1)請求者及び被災者の本人確認

請求者及び被災者について、本人の特定を行い得る本人確認書類により確認を行う。また、提出された本人確認書類等により請求書等の記載内容に誤りがないことを確認する。

(2)被災者が死亡している場合、請求者が支給対象である遺族であることの確認

請求者が被災者本人ではなく、遺族である場合には、被災者の死亡届の記載事項証明書、請求者と被災者との身分関係を確認できる戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、戸籍(除籍)全部事項証明書又は住民票の写し等により、①請求者が被災者の遺族に該当すること、②請求権を持つ遺族に該当すること、③先順位の生存する遺族がいないことを確認する。

(3)二重請求の有無の確認

同一の被災者について、過去に同一の原因に基づく給付金等の請求が行われていないことを確認する。

(4)被災者が石綿関連疾病にかかっていたことについて

被災者が請求対象石綿関連疾病にかかっていたことについては認定審査会において判断されるが、提出された診断書等の疾病名と請求対象石綿関連疾病等が合致していることを確認する。なお、合致しない場合には、別途資料の提出を求める等を行う。

(5)喫煙の習慣の有無の確認等

前回の認定時から変更がある場合には、記載内容の確認を行う。

(6)損害賠償金、和解金、補償金等の受取状況の確認等

給付金等と同一の事由について、国又は国以外の者(勤務していた企業、石綿含有建材メーカーなど)から損害の.補又は給付金等の支給を受けているかについて、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等請求書③(追加請求用)([追]-様式1-3)(別添9)、訴訟関係資料、労災関係資料、石綿救済法認定関係資料、本人陳述書、同僚陳述書、企業等が被告となっている民事訴訟の記録、企業等への照会・報告徴収などにより確認する。なお、前回の認定時と変更がない場合にはその旨を確認する。

(7)追加請求の場合の過去の給付金等の認定の状況の確認等

過去の認定時の認定決定通知書の写しにより、過去の給付金又は追加給付金の認定区分や給付金額を確認する。

(8)請求期限を経過していないことの確認等

特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等請求書③(追加請求用)([追]様式1-1、2、3)(別添9)、死亡届の記載事項証明書、診断(意見)書([共]-様式1から5)(別添2から別添6)、じん肺管理区分決定通知書等により、請求期限内に請求が行われていることを確認する。

第10 特定石綿被害建設業務労働者等認定審査会による審査(第7条関係)

第9の請求書等の審査(要件に該当することの調査・確認)が完了した請求については、認定審査会に通知し、次の事項について審査を求める。
1 被災者が特定石綿ばく露建設業務に従事した期間
2 被災者がかかった石綿関連疾病の種類
3 被災者が特定石綿ばく露建設業務に従事したことと石綿関連疾病にかかったこととの関係
4 被災者の喫煙の習慣の有無(肺がん又は肺がんによる死亡の場合)

第11 厚生労働大臣による調査(法第6条関係)

第8から第10までにおいて、厚生労働大臣は、給付金等の支給の認定を行うため必要があると認めるときは、請求者その他の関係人に対して、報告命令書(別添15)、文書その他物件の提出命令書(別添16)、出頭命令書(別添17)を送付等することにより報告をさせ、文書その他の物件を提出させ若しくは出頭を命じ、又は受診命令書(別添18)を送付等することにより厚生労働大臣の指定する医師の診断を受けさせることができる。なお、報告命令書(別添15)、文書その他物件の提出命令書(別添16)、出頭命令書(別添17)又は受診命令書(別添18)を発出後、相当期間を経過しても報告をせず、文書その他の物件を提出せず、出頭をせず、又は医師の診断を受けなかった場合、報告督促書(別添19)、文書その他物件の提出督促書(別添20)、出頭命令書(再通知)(別添21)又は受診督促書(別添22)を請求者に送付する。

請求者が、正当な理由がなく、報告をせず、文書その他の物件を提出せず、出頭をせず、又は医師の診断を拒んだときは、厚生労働大臣は、その請求について却下通知書(別添23)を送付し、却下することができる。

また、厚生労働大臣は、認定を行うため必要があると認めるときは、関係機関その他の公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

第12 認定の決定及び給付金等の支払

1 認定の決定・通知

厚生労働大臣は、第10の認定審査会の審査の結果に基づき、請求の認定又は不認定の決定を行う。労災管理課は認定決定通知書(別添24)又は不認定決定通知書(別添25)を請求者に送付する。労災管理課は給付金等の支払事務を委託する機構に対し、認定決定通知書及び認定額の支払情報を交付し、支払に関する指示を行う。

2 給付金等の支払等の確認

労災管理課は、機構が認定を受けた請求者に対する給付金等の支払手続を完了したときは、機構からの報告書により確認を行う。

3 書類の保存

給付金等の支給に係る請求書等全ての文書の保存期間は、常用(無期限)とする。

第13 不正利得の徴収(法第13条関係)

偽りその他不正の手段により給付金等の支給を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、労災管理課を通じて、国税徴収の例により、その者から当該給付金等の価額の全部又は一部を徴収する。

第14 その他

1 譲渡等の禁止(法第14条関係)

給付金等の支給を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

2 非課税(法第15条関係)

租税その他の公課は、給付金等を標準として課することができない。

3 労災保険給付の請求等の勧奨

労災保険給付、石綿救済法による特別遺族給付金の支給決定等及びじん肺管理区分決定を受けていないものの、支給決定等を受けることができると考えられる者に対し、事前の各給付等の申請等を促すこととする。特に労災保険給付、石綿救済法による特別遺族給付金の支給決定を受けることができるとうかがわれる者については、当該支給決定後であれば、本給付金等の認定審査も迅速に行うことができる可能性があることから積極的に請求勧奨を行う。なお、認定等の可否については、請求後に審査されることとなるため、確実に認定が行われると誤認させることがないよう説明を行う。

別紙 
びまん性胸膜肥厚について、著しい呼吸機能障害を伴うものであるか否かを判定する際に、「パーセント肺活量」及び「1秒率等」の各指標を用いる意義について

1 パーセント肺活量(%VC)

パーセント肺活量(%VC)は、肺活量の正常予測値に対する実測値の割合(%)で示される指標である。
びまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害は、通常、拘束性換気障害を呈するものであることから、拘束性換気障害の程度を評価する指標としてこれを用いる。
なお、肺活量の正常予測値は、2001年に日本呼吸器学会が提案した次の予測式により算出する(次の2の予測式も同様である。)。

[予測式]
男性:0.045×身長(cm)-0.023×年齢-2.258(L)
女性:0.032×身長(cm)-0.018×年齢-1.178(L)

2 1秒率等

1秒率は、努力肺活量に対する1秒間の呼出量(1秒量)の割合(%)で示される指標であり、また、パーセント1秒量は、1秒量の正常予測値に対する実測値の割合(%)で示される指標である。
現段階では、びまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害について、拘束性換気障害に閉塞性換気障害が合併することがあり得ることも否定できないことから、閉塞性換気障害の程度を評価する指標としてこれらを用いる。

[予測式]
男性:0.036×身長(cm)-0.028×年齢-1.178(L)
女性:0.022×身長(cm)-0.022×年齢-0.005(L)

さらに、動脈血酸素分圧(PaO2)は、低酸素血症の程度を示す指標であり、肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)は、ガス交換障害の程度を示す指標であり、びまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害の程度を判定するための補完的な指標として用いる。

別表 肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)限界値

年齢(歳)/限界値(Torr)/年齢(歳)/限界値(Torr)
21/28.21/51/34.51
22/28.42/52/34.72
23/28.63/53/34.93
24/28.84/54/35.14
25/29.05/55/35.35
26/29.26/56/35.56
27/29.47/57/35.77
28/29.68/58/35.98
29/29.89/59/36.19
30/30.10/60/36.40
31/30.31/61/36.61
32/30.52/62/36.82
33/30.73/63/37.03
34/30.94/64/37.24
35/31.15/65/37.45
36/31.36/66/37.66
37/31.57/67/37.87
38/31.78/68/38.08
39/31.99/69/38.29
40/32.20/70/38.50
41/32.41/71/38.71
42/32.62/72/38.92
43/32.83/73/39.13
44/33.04/74/39.34
45/33.25/75/39.55
46/33.46/76/39.76
47/33.67/77/39.97
48/33.88/78/40.18
49/34.09/79/40.39
50/34.30/80/40.60
注)AaDO2が各年齢の限界値を超える場合に著しい呼吸機能障害があると判定する。

別添1~25

aa5197b427b83b697c127c16eca40696-1

※本通達のPDF版を厚生労働種省ウエブサイトで入手できる。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000898863.pdf

※本ウエブサイト上の「建設アスベスト」関連情報