2年6か月かかって建設アスベスト給付金認定-労災保険加入歴のない建設労働者・びまん性胸膜肥厚●東京

Oさんの夫は、1964年から2004年頃まで、自営業で冷暖房設備のダクト設置工事の請負をしていた。仕事はマンションやオフィスピル、病院、学校などの新築や改修工事現場で、空調設備のダクト配管を取り付ける。現場によっては、天井、壁、梁、鉄骨部にアスベストの吹き付けがあり、一部それを剥がして工事する。配管ダクトに巻き付ける保温材には石綿が含まれおり、接合部分には石綿含有のパッキンを入れる。配管の長さや形状に合わせて保温材やパッキンを切断加工する際には、石綿の粉じんが飛散したと思われる。
夫は、2017年頃から咳や痰がひどくなり、近くの病院に通院するようになった。主治医の勧めもあり、石綿健康被害救済制度の認定申請をしたところ、2018年4月に「著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚」として認定された。その後療養をつづけた夫は、2022年1月に死亡した。死因は「CO2ナルコーシス、うっ血性心不全」だったが、葬祭料が支給された。
夫には労災保険の特別加入歴がまったくなく、労災は難しいと判断。2022年12月に「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金(建設アスベスト給付金)」を通常申請することにした。
申請後、厚生労働省の建設アスベスト給付金担当から、執劫に就業歴や石綿ばく露作業の内容が確認できる資料の提供を求められた。しかし、夫は仕事をやめてから、請負契約や作業台帳、会計帳簿などをすべて処分しており、取引先の関係資料もほとんど残っていなかった。苦肉の策として、Oさんの息子とその友人が、高校時代にアルバイトとして父親の仕事を手伝ったことあったため、その二人と妻であるOさんに申立書を作成してもらい、提出した。
その後1年近く、厚生労働省からはなんの音沙汰もなかったが、2025年7月初め、Oさんから私の携帯に電話が入った。「認定通知が来ました!」とのこと。認定決定日は6月末日付けだった。実に申請から2年6か月が経過していした。
2025年9月24日現在、建設アスベスト給付金審査状況は、審査件数は9,229件、認定相当が8,719件、不認定相当が326件となっている(建設アスベスト訴訟全国弁護団まとめ)。
Oさんの場合、通常申請のため「労災支給決定等情報提供サービス」が適用されないととも審査に時闘がかかった原因のひとつと思われる。

文・問合せ:東京労働安全衛生センター

安全センター情報2026年1・2月号