『労災死亡を半分に』文在寅大統領の約束はどこに? 2021年12月16日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/チョン・キフン記者

先月までに労災死亡事故で労働者790人が亡くなった。文在寅政府が、2021年に労災の死者数を600人台まで減らし、2022年には500人台にまで縮小するといった約束はなかったことになった。今年の初め、労災事故死亡者を700人台の序盤にまで減らすとした雇用労働部の目標値も霧散した。

  それでも政府が出した追加の補完対策は、既に出された対策の二番煎じに終わり、実効性が乏しいと指摘される。政府が労災死亡減少の政策を、安易に進めているという批判だ。

  政府は15日、ク・ユンチョル国務調整室長の主催で、13次『国民の生命を守る三大プロジェクト点検協議会』を行った。この協議会は、文在寅大統領が2018年の新年の挨拶で「2022年までに自殺と交通事故・労災事故による死亡者を半分に減らす」と約束して作られた。分期毎に次官会議を行い、隔月に実務点検会議を開催して、『国民の生命を守る三大プロジェクト』を推進している。

  当時、政府は2016年に969人に達した労災事故死亡者を、2022年に500人台にまで減らすという目標を示した。しかし、その成績表はみすぼらしい。労働部は先月末での労災事故による死亡者が、昨年同期の815人から25人減った790人と発表した。勤労福祉公団で労災と認められた労働者を基準とした数値だ。労働部は「今年の末、労災死亡事故は830~840人内外になるだろう」と見通した。今年の初め、労働部は労災死亡事故を前年比20%に縮小した705人まで減らすと言ったが、失敗した。

  それでも労働部は、「部署内部でモニタリング中の労災発生日基準の調査統計も、労災事故死亡者が11月末現在608人で、前年同期比で96人減少した。」「今年の労災事故死者数は、歴代で最低水準になる展望だ」とした。それと共に、「現場の点検・監督と小規模事業場への労災予防力量支援・安全文化のキャンペーンなど、利用できる政策手段を総動員した結果」と自画自賛した。

  韓国労総のキム・グァンイル産業安全本部長は、「歴代最低を言う前に、基準も一進一退するでたらめ労災統計から変えるべきだ。」「労働部が自分たちの思い通りに労災死亡万人率の統計を使って、勤労福祉公団の労災承認基準統計を使っているか、発生日基準の非公式統計を使っている」と批判した。

  この日の会議で政府が補完対策として示した内容も不十分だと批判されている。労働部は「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)の施行事業場を対象に、企業自ら安全保健管理体系を構築できる自律点検表を普及させ、2千ヶ所に対するコンサルティング支援事業(58億ウォン)を提示した。また、地方自治体の(仮称)産業安全指導官制度の新設を検討するという考えだ。管内の事業場への出入り・指導権限を与え、行政指導の後も事業場が不良だったり是正しなければ、労働部の勤労監督に連係するというやり方だ。ソウル市が運営中の『安全特使隊』や京畿道の『安全保健守り』と似たような制度だ。労働部は今年の初め『2021年労災死亡事故縮小推進の方向』で、地方自治体の安全保安官(約1万人)を活用して、墜落危険の現場を管理する方案を発表したことがある。

  更に目につく対策は、労働者の労災予防活動への参加活性化のために、産業安全保健委員会マニュアルを普及させ、事業場の危険要因に、労働者の是正措置の要請権と申告制を導入するという内容だ。労働部の関係者は、「現在も危険作業の場合、労働者は作業中止権を行使できるが、現場の作動性が落ちるという指摘があり、労働者の参加を活性化できる方案を模索している」と話した。

  しかし、今でも法規に違反している危険な作業場は誰でも申告できる。労働部の今年の労災縮小対策にも、既に『三大安全措置違反事業場申告制』を導入し、三大安全措置違反の現場を発見すれば、誰でもオンライン申告センターに申告できるようにし、申告があれば勤労監督と連係すると明らかにしている。労働界は「効果のない政策を二番煎じ、三番煎じするのではなく、勤労時間免除(タイムオフ)制度によって萎縮された産業安全保健委員会制度の改善といった、実効性ある対策を出すべきだ」と指摘した。

2021年12月16日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

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