17年目の学校給食労働者、気管支拡張症は労災/韓国の労災・安全衛生2024年07月25日

 17年目の小学校の給食室調理員の気管支拡張症は業務上の疾病だという判決が出た。勤労福祉公団は既存疾患を理由に業務との関連性を否定したが、裁判所は、長期間調理ヒュームなどにばく露され、気管支拡張症が発病・悪化したと判断した。

  法曹界によると、ソウル行政裁判所は、Aさんが勤労福祉公団に提起した療養不承認処分取り消し訴訟で、原告勝訴の判決を行った。気管支拡張症は気道の反復的な感染と炎症で発生する慢性肺疾患の一つで、気道または気管支が拡張し続ける状態をいう。急性感染、反復的な肺炎による気道閉鎖で発生し、先天的な疾患などによっても発生することがある。また、有毒性の煙、ガス、PM2.5なども気道に炎症を起こす原因となる。

  Aさんは2002年6月から17年間、小学校の給食室の調理員として働き、2019年1月に気管支拡張症と診断された。13年間働いた小学校は、給食人員が900人余りで、調理師1人、調理員5人が働いていた。その後の4年間働いた小学校は、生徒数400~500人、調理師1人、調理員4人が働いた。

  食べ物を油で揚げたり炒めたりする過程で、高濃度の微細粉塵である調理ヒュームと二酸化窒素、二酸化硫黄、アクロリンなどの有害物質が発生することが知られている。しかし勤労福祉公団は「Aさんが2011年から呼吸器系疾患で治療を受け、主治医から気管支拡張症ないし肺炎が疑われるという所見を受けていた」とし、「既存の疾患が悪化した」として、不承認の判定をした。

  裁判所は「Aさんは調理員として仕事をする前は専業主婦であり、喫煙経験もなかった。」「長期間調理員として勤めて、調理の過程で発生する調理ヒュームなどの有害物質に相当な程度にばく露したと見ることができる」と判示した。裁判所は「気管支拡張症は、気道の反復的な感染と炎症で発生する疾患」で、「Aさんが2011年から呼吸器系疾患で診療を受けていたという事情だけで業務関連性が断絶されるとは見難く、むしろ気管支拡張症に進行する過程と見ることもできる」とした。

  ソン・イクチャン弁護士は「調理ヒュームは肺がんだけでなく、気管支にも悪影響を与え得ることを確認した判決」で、「調理ヒュームの排出を最小化できる給食メニューがさらに拡大されなければならず、換気施設の改善も早くなされるべきだ」と話した。

2024年7月25日 毎日労働ニュース カン・ソクヨン記者

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