既に14回目、給食労働者が肺がんで死亡・・・「給食室の予防対策もなく、劣悪な労働環境のまま」/韓国の労災・安全衛生2025年8月3日

先月末、学校給食室労働者一人が、再び肺がんで亡くなったことが確認された。今までに判った給食労働者の肺がん労災死亡だけで14回目だ。労働界は換気施設の不備と人材不足など、劣悪な労働環境が改善されていないとし、対策作りを求めた。
三日の取材を総合すると、京畿道平澤のある小学校で働いていた給食労働者のAさんが先月31日、肺がんで亡くなった。全国の学校給食室で働いていて肺がんで死亡した事例は今回が14回目だ。Aさんは1998年に給食室で働き始め、22年働いた後に定年退職したが、生計問題などで再び現場に復帰し、給食代替要員として働いた。そんな中、2023年に肺がん3期の診断を受けて抗がん治療を続けてきたが、結局亡くなった。
学校給食労働者たちは、熱気と水蒸気、調理ヒュームと有害物質が密集した密閉空間で働きながら、常時、肺がんの危険に露されている。全国の学校給食労働者の内、肺の異常所見を受けた比率は30%に迫る。200件以上の肺がん労災申請中、四月までに175件が承認された。
教育部は2023年に『学校給食室調理環境改善方案』を発表し、換気設備の改善などを約束したが、給食室の労働環境は依然として劣悪な水準だ。2025学年度のソウル市教育庁予算案では、給食室換気施設改善事業予算は前年対比76%削減された。
公共運輸労組全国教育公務職本部は「未だに学校給食室の肺がん予防対策は作られておらず、換気施設の改善も数年間は遅々として進まない。」「死の原因と指定される『調理ヒューム』さえ、産業安全保健法上の有害因子に指定されていない現実は、政府と教育当局がこの問題を無視してきたという証拠」と話した。世界保健機関(WHO)傘下の「国際がん研究所」は調理ヒュームを発がん物質に分類しているが、雇用労働部は現在まで調理ヒュームを産安法上の有害因子に指定していない。
慢性的な人材難も労働強度を高める。今年の三月現在、全国17市・道教育庁の調理実務者の採用未達率の平均は29.1%だ。働く人の数と関係なく決まる量を調理しなければならないので、残っている給食労働者たちはより一層強度な労働に苦しめられる。一人当り適正食数人員は60~80人だが、給食労働者の平均食数人員は114.5人にもなる。最近五年間、全国の学校給食室で発生した労災は2020年701件から2024年2166件へと三倍以上増加した。昨年の学校給食室の労災率は3.7%で、全体の労災率0.67%より五倍以上高かった。
衛生服とマスク、ゴム手袋、長靴などを必ず着用した状態で、熱い食物を調理する給食労働者にとって、夏は一層大変だ。最近、京畿道のある小学校で働く給食労働者が熱中症で倒れ、119救急隊に運ばれたという。
労組は学校給食室の換気施設実態調査と改善計画の樹立、実効性のある安全対策作り、給食労働者の中・長期の健康管理対策樹立、人材補充などを要求した。教育公務職本部労働安全局長は「給食労働環境に関する法的な基準と義務事項がないため、教育部は勧告事項だけにしている。」「換気施設の改善と人員補充を施行し、調理ヒュームの有害因子指定も急がなければならない」と話した。

2025年8月3日 京郷新聞 チェ・ソウン記者