WHO・ILO「仕事のために亡くなる人数は毎年200万人」 2021年9月30日 韓国の労災・安全衛生

作業上の死亡を起こさせる危険要因、19種類

17日、世界保健機構(WHO)と国際労働機構(ILO)が『2000~2016年、仕事による疾病と災害負担集計』報告書を発刊した。国際連合傘下の国際機構の内、保健と労働の責任を担う二団体が、職業安全保健関連の死亡者数を共同で調査して、その結果を発表したのは今回が初めてだ。

WHOとILOによれば、2016年の一年に仕事で亡くなった人数は190万人に達する。主な死亡原因は呼吸器疾患と心血管疾患だった。非伝染性疾患による死亡が、何と81%を占めた。疾病による死者数を具体的に見ると、慢性閉鎖性肺疾患で45万人(24%)、脳卒中で40万人(21%)、虚血性心臓疾患で35万人(18%)が亡くなった。これに加えて職業関連の事故と災害で36万人(19%)が亡くなった。

WHOとILOは長時間労働、事業場での空気汚染ヘの曝露、喘息発現物質と発癌物質ヘの曝露、そして人体工学的な危険要因と騒音など、19種類の職業上危険要因が死亡率を高めると見ている。特に長時間労働による死亡者は75万人(39%)、事業場の空気汚染による死亡者は45万人(24%)に達すると調査された。(グラフ参照)

2016年の仕事による死亡者は2000年より約14%減少し、全般的に事業場の安全保健状況は改善されたことが分かった。しかし、長時間勤務に曝された人に起きる心臓病と脳卒中は、それぞれ41%と19%増加した。これは仕事場の安全保健問題として、長時間勤務を強要する社会・心理的な危険要素が増えている傾向を反映する。長時間労働による死亡者の比率は、アジア太平洋地域で相対的に高かった。

仕事による死亡者を減らすために、WHOとILOは労使政三者の社会的対話によって勤務時間の上限を設定することを勧告する。そして事業場での空気汚染の原因を遮断してホコリを除去し、換気設備を改善して個人の保護装備を強化することも勧告する。

WHO事務総長は「仕事のために亡くなる人がこのように多いことは衝撃的だ」とし、「今回の報告書が労働者の健康と安全を改善して保護する信号弾になることを期待する」と話した。併せて、各国の政府が普遍的な保健安全サービスを提供しなければなければならないと提案した。

ILO事務総長は「政府と使用者と労働者が、事業場で危険要因に曝露することを減少できる措置を共同で執らなければならない」として「勤務のやり方と体制の変化によって事業場の危険要因を減らしたり、なくすことができる」と強調した。また、「個人保護装具は、できるすべての措置を取った後で導入する最後の手段にならなければならない」とし、「労働者に個人保護装具を提供することが全てではなく、事業場の危険要因を最大限に除去する措置を優先しなければならない」と指摘した。

2021年9月30日 毎日労働ニュース 編集部

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=205196