サムソン電子の放射線被ばく事故、「重大災害処罰法を適用すべきだ」/韓国の労災・安全衛生2024年09月11日

全国サムソン電子労組

勤労福祉公団がサムソン電子器興事業場での放射線被爆労働者の労災を『業務上疾病』と判断し、『負傷』か『疾病』かを巡る論争が激しくなっている。全国サムソン電子労組は雇用労働部に、「放射線被爆は一回性の事故による外傷」で、「サムソン電子に重大災害に伴う法的責任を問うべきだ」と要求した。

労組は11日、ソウル雇用労働庁の前で記者会見を行い「今回の事故は、安全装置の誤作動で発生した事故で、勤労福祉公団がこれを疾病に分類して労災を承認したことは、サムソン電子に事実上の免罪符を与える行為」と主張した。

5月27日、サムソン電子器興事業場で安全装置のインターロックが正しく作動せず、作業中だった労働者二人が基準値の最大188倍を超える放射線被爆事故に遭った。被爆当事者のイ・ヨンギュさんが5月28日、韓国原子力医学院・原子力病院で受けた診断書を見ると、「放射線被爆で、両手の部位の局所放射線損傷」と明示されている。イ・ヨンギュさんは公団に『業務上の事故』として労災を申請した。ところが公団は8月1日、イ・ヨンギュさんの労災を『業務上疾病』に分類して承認した。

勤労福祉公団「労災保険法で業務上疾病に分類」

負傷なのか疾病なのかが重要な理由は、これによってサムソン電子の法的責任が変わる可能性があるためだ。「重大災害処罰等に関する法律」(重大災害処罰法)によれば「同じ事故で、六ヶ月以上の治療が必要な負傷者が二人以上発生」した場合、重大災害に該当するとしなければならない。この日の会見に参加したイ・ヨンギュさんは、「火傷の負傷は『火傷負傷』と言い、『火傷疾病』とは言わない。」「3度の火傷の診断を受け、三年以上の治療という所見を受けた。雇用労働部の公正な判断を期待する」と訴えた。

勤労福祉公団は労災補償保険法(労災保険法)に伴う決定という立場だ。労災保険法は物理的な要因による疾病の内「電離放射線にばく露して発生した急性放射線症」は、業務上疾病に分類する。公団の関係者は「(今回の事件だけでなく)放射線ばく露による火傷など、身体器官に損傷を受けた場合、疾病として処理する」と説明した。

パノリム「ずさんな安全管理・設備の欠陥による被爆火傷事故」

一方、専門家たちは今回の被爆労災を負傷と見るべきだと主張する。イ・ジョンラン公認労務士(パノリム)は「今回の事故は、粗末な安全管理による設備の欠陥によって発生した被爆火傷事故」で、「今後、高濃度放射線被爆の影響で、人体に別の健康上の影響が発生することもあり得るが、今直ぐは放射線火傷事故に遭った」と強調した。

労災処理とは別に、重大災害に対する責任を問うべきだという指摘も出ている。ソ・ボムジン弁護士は「労災保険法でこれを疾病と見るか、重大災害処罰法でこれを疾病と見るかは、まったく違う問題」で、「財政的な補償のために、行政の処理過程で疾病に分類したという理由によって、重大災害処罰法上の当然の疾病と見ることはできないという意味」と話した。電離放射線にばく露して発生した急性放射線症は、重大災害処罰法の適用対象の職業性疾病だが、一年以内に三人以上発生しなければ適用されない。

2024年9月11日 毎日労働ニュース オ・ゴウン記者

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