労働部、「放射線被爆」サムソン電子を重大災害処罰法違反で調査/韓国の労災・安全衛生2024年11月24日
サムソン電子器興事業場で起こった放射線被爆の被災者が、六 ヶ月以上の治療が必要なことが確認され、該当災害が『重大産業災害』に転換された。雇用労働部はサムソン電子に対する重大災害処罰法違反疑惑の調査に着手した。サムソン電子はもちろん、サムソン系列会社が重大災害処罰法違反の捜査対象になったのは、今回が初めてだ。
労働部と放射線被爆被災者らの説明を総合すれば、勤労福祉公団が放射線火傷を負ったサムソン電子エンジニアのイ・ヨンギュさんの療養期間を来年2月まで、Aさんの療養期間は来月末までに延長することを承認した。労働部の関係者は「14日頃、勤労福祉公団からこうした内容を通知され、重大災害処罰法違反の調査に着手した状態」と明らかにした。
2人は5月27日、サムソン電子器興事業場で、放射線発生装置の半導体ウェハー非破壊検査の装備を整備し、安全装置(インターロック)の不良で、手などを放射線に被爆し、火傷を負って治療中だ。重大災害処罰法は、同じ事故で六ヶ月以上の治療が必要な負傷者が2人以上発生した場合、重大産業災害と看なす。勤労福祉公団が2人とも六ヵ月以上の治療が必要だと判断したことで、当該災害は重大な労災になった。
重大災害処罰法が事業主と経営責任者に、従事者に対する安全・保健確保義務を賦課し、これに違反して重大労災が発生した場合、事業主と経営責任者を処罰する以上、サムソン電子が放射線被爆による危険を防止するために、重大災害処罰法と施行令による義務を履行したかが、労働部の捜査の核心争点だ。
重大災害処罰法上、事業主・経営責任者の義務には、安全・保健関係法令に伴う義務履行に必要な管理上の措置も含まれる。安全・保健関係法令に該当する原子力安全法違反の有無については、既に原子力安全委員会の結論が出ている状態だ。先立って原子力安全委員会は、事故に関連してサムソン電子に対する調査を行い、放射線発生装置の安全関連品目を任意に解除し、整備作業者の被爆を予防するために必要な措置を行わなかったという理由で、9月に過怠金の処分をした。労働部は既に原案委から関連資料を受け取り、検討を進めていることが判った。
サムソン電子が放射線発生装置の整備作業の危険性評価と、それに伴う措置を正しくしたのかも、やはり捜査対象だ。重大災害処罰法施行令は、事業場の有害・危険要因を確認し、改善する業務手続きを準備し、これによって、有害・危険要因が確認・改善されているかを点検した後、必要な措置を履行する義務を経営責任者に賦課する。被爆被災者のAさんは、先月国会に提出した嘆願書で「作業者保護のための装備や危険発生アラーム装置が全く備えられておらず、このように危険な放射線設備に誰でも接近できる環境を作っているのに、放射線装備の取り扱いに対する教育も準備されていない。」「放射線装備に対する環境安全面の管理・監督が不十分な状態で事故が発生した」と明らかにした経緯がある。これはサムソン電子が放射線被ばくに関する危険性評価を正しくしなかったと見られる部分だ。
重大災害処罰法施行令は、重大な労災に遭った人に対する救護措置などを含む重大な労災対応マニュアルを作り、これに従った措置がきちんと履行されているかを点検する義務も経営責任者に賦課する。しかし、サムソン電子は、事故発生後、被災者たちを直ちに放射線被爆関連の治療を受けることができる韓国原子力医学院に移送せず、他の大学病院に移送し、議論を呼んだことがある。
労働部が誰を経営責任者と判断するかも関心事だ。サムソン電子の半期報告書を見れば、サムソン電子の代表理事はハン・ジョンヒ副会長だ。イ・ジェヨン会長とDS(半導体)部門長のチョン・ヨンヒョン副会長は未登記役員だ。今回の事故と関連して、サムソン電子のユン・テヤン安全保健最高責任者(CSO・副社長)は先月22日、国会環境労働委員会の国政監査に出席し、「安全保健の最高責任者として、安全と保健に関するすべての決定に責任を負っている」と明らかにした経緯がある。このような発言は、今回の事故によるサムソン電子の経営責任者がユン・テヤン副社長自身だという趣旨の主張と解釈される。しかし2022年1月に重大災害処罰法が施行されて以来、検察が「(実質的)代表理事」ではない他の人を経営責任者と見て起訴した事例はない。重大災害処罰法が経営責任者を「事業を代表し、事業を総括する権限と責任がある人、またはこれに準じて安全保健に関する業務を担当する人」と定義しているためだ。
サムソン電子は、被災者が被った「放射線火傷」は「負傷」ではなく「疾病」だと主張してきた。これを疾病と判断する場合、重大災害処罰法の適用対象にならないからだ。サムソン電子はこうした主張に基づき、産業安全保健法に伴う義務である「重大災害発生申告」をせず、労働部は「疾病ではなく負傷」と判断した後、義務を履行しなかったサムソン電子に過怠金を賦課した状態だ。これに対してサムソン電子の関係者は「労働部の調査に誠実に臨む」としつつも、労働部が「負傷」と判断したことについては「立場を明らかにするのは難しい」と話した。
2024年11月24日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者、キム・ヘジョン記者