胆管がん労災認定の最新状況(2019年度)/神奈川で初めての認定/累計48件うち4割がSANYO-CYP社

3件認定(印刷業)、2件不認定(印刷業以外)

2019年度と2019年度までの職業性胆管がんの労災認定状況が次の通り明らかになった。胆管がんの労災請求があった場合、すべて本省協議対象とされており「印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」での検討の上、業務上外が判断されることとされている。2019年度は10月21日に第31回検討会が開催され、5件の請求事案について判断が行われた。

その結果が次の通り。

印刷業の3件について、すべて業務上と判断され、原因物質については、2件が1,2-ジクロロプロパン、1件がジクロロメタンだった。

神奈川で初めて認定

これらを含めた2019年度までのまとめは次の通り。

2019年度は東京、神奈川、愛知の各労働局管内で各1件が労災認定された。神奈川局管内では初めての労災認定となった。

2018年度は3件が認定されており、年間認定件数は同じだった。
2019年度までの累計では48件となった。
このうち職業性胆管がん事件の発端となったSANYO-CYP社の認定件数は19件、全体の4割を占めている。

なお、2018年度におけるデータは以下の通り。

退職者へきめ細かな健康管理対策を

2019年度は2018年度に続いて3件が認定され、職業性胆管がんの発生が続いている状況だ。厚労省はかなり消極的だが、労災認定が続いている現状を踏まえると、たとえば、厚労省と企業による退職者に対する健康管理手帳の申請勧奨をもっと行うなど、退職者対策をより積極的に行うべきである。

【厚生労働省 】
1,2-ジクロロプロパンが特定化学物質へ ~過去に業務従事していた労働者も健康管理が必要です~https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei53/dl/anzeneisei53-07.pdf