石綿肺、救済法時効救済(特別遺族給付金)で認定:石綿吹付作業で。「医学的資料なし」不支給処分のミス認め自庁取消し、北海道局道内点検でさらに肺がん2件発覚

概要・解説

本件は、石綿吹付作業に従事したのち転職し、「呼吸不全、じん肺症」で死亡した労働者の遺族が死亡20年後に特別遺族給付金を申請したところ、札幌中央労基署が「医学資料なし」を理由に石綿ばく露調査をしないまま不支給処分とし、遺族は審査請求期限を徒過していたが、支援団体の協力のもと、石綿吹付作業従事歴があることから石綿肺死亡であることは明らかで再検討を申し入れたところ、本省の指示のもと自庁取消しとなり労災認定された事案である。調査マニュアルに従わなかったミスが原因で、その後、北海道内点検によりさらに肺がん2件が自庁取消しによる認定に至った。

記事/問合せ 関西労働者安全センター

支援団体への相談から救済実現

石綿新法による「時効救済」を求めて申請し不支給とされた「じん肺」死亡について、北海道労働局・札幌中央労基署が不支給決定を見直して、業務上認定する方向を明らかにした。

石綿吹き付け作業に従事し離職後に「呼吸不全、じん肺症」で死亡したAさんの遺族が、札幌中央署に対して、死亡から約20年後に申請したところ、「医学資料がない」ことを理由に不支給とされていたもの。

Aさん遺族が今年1月にアスベストユニオンと中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会北海道支部が共同で行ったアスベスト被害ホットラインに相談して来られたのを受けて、ユニオンと家族の会が北海道労働局に是正を申し入れ、これを受けた局が本省と協議した結果、今回の見直しとなった。
局は近日中に、現存する会社に改めてばく露状況を確認した上で、不支給決定処分について「自庁取消し」として支給決定を行うとみられる。

曝露調査するまでもなく不支給

Aさんは1950年代から70年代にかけて、主として石綿吹き付け作業に従事したのち、1980年代の終わり頃に死亡した。
死亡当時、事情があって家族とはほぼ音信不通の状態であったため、Aさんがいつどういう形で亡くなったかについて家族が知ったのは、今から3年前のことだった。

「アスベストのせいで死んだのでは」という親族の勧めで、遺族として石綿新法での特別遺族給付金の請求をすることにした。請求にあたって法務局から入手した死亡届に記載されていた「死亡の原因」は「呼吸不全、塵肺症」だった。

そして、請求から3ヶ月足らずで不支給決定通知書が届いた。
通知書には「傷病について、石綿による疾病に関しての医学的事項が確認できず死亡原因と業務との相当因果関係が認められないため」と不支給理由が書かれていた。
労基署の説明は「死亡した病院に問い合わせたところ、カルテを含め一切資料が残っていなかったため、不支給とした」というものだった。なすすべなしと考えた遺族は審査請求もしなかった。
それから1年半。
知り合いから札幌で電話相談があるそうだから相談してみてはどうかと勧められた。
そして今年1月30日、相談電話のあとで会場に来られた遺族にことの顛末を直接聞くことになったのだが、どうも担当した労基署の判断に間違いがあるので、審査請求の時効(60日間)はとっくに過ぎているが、とにかく是正を申し入れようということになった。

個人情報保護法活用して労基署の調査資料を入手

それに先だって、不支給決定にかかる労基署の資料を個人情報保護法に基づいて入手した。

そこには、労基署の結論として
「…本傷病については、医学的事項が確認できないため、石綿の暴露調査をするまでもなく、業務との因果関係が認められないため、本件、不支給と決定することとしたい」
と記載されていた。

是正求める申し入れ書で運用上の誤りを指摘

そこで、以下のような内容の申し入れを2010年4月12日付で北海道労働局長宛送付した。

・・・開示記録及び不支給決定通知書によれば、不支給決定の理由は「傷病について、石綿による疾病に関しての医学的事項が確認できないため、死亡原因と業務との相当因果関係が認められないため」とされています。
ところで、救済法の運用については、基発第0317003号、基発第0317010号に定められています。

まず、基発第0317003号は「1 法(石綿健康被害救済法)の趣旨等」に、
「…この法に基づく救済措置は、労災保険法等による救済の対象とならない者に対する救済給付の支給と死亡した労働者の遺族で労災保険法の遺族補償給付を受ける権利が時効により消滅した者に対する特別遺族給付金の創設の2つからなっている。
後者については、石綿による疾患は長期の潜伏期間があり、石綿と疾患の関連性に本人も気付きにくく、専門的な知識を持った医師が少ないという事情から、本人又はその遺族が労災保険法による保険給付を請求したときは既に消滅時効にかかっているといった場合があることから、特に救済することとし、新たに特別遺族給付金を支給することとしたものである。」
と記されています。

対象疾病として、労災保険法上の対象疾患と同じとされます。(本件請求にかかる「塵肺症」は、形式的には疾病名としては同一ではありませんが、本件請求においては明かな石綿職歴が相当年数あるところから、対象疾患に該当する可能性がきわめて大き いということができます。)
また、「4 特別遺族年金」「5 特別遺族一時金」の記述から、BさんとCさんが特別遺族一時金の対象者であることになります。

Aさんの場合、○×労基署から死亡診断書を作成した○○病院への照会と回答に基づいて、同病院には医療記録が残存しないとされました。この一事をもって不支給とされたわけですが、この取り扱いには大きな問題がありました。

基発第0317010号は、上記に引用しました基発第0317003号記載の「1 法の趣旨等」に則って、基発第0209001号に規定された石綿疾病の認定基準を救済法運用の中で利用する際の留意事項を記載したものです。具体的には、基発第0209001号の「記の第3」の読み替えを指示したものです。

基発第0317010号には、次のように記載されています。
「1 疾病の特定について
石綿による疾病については、その診断が困難なものであるため、業務上外の判断に当たって、診療録を始めとする各種の医学的資料により疾病を特定することを要するものである。
しかしながら、特別遺族給付金については、その根拠法である石綿による健康被害の救済に関する法律の目的が、石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対し、迅速な救済を図ることとされていること、また、特別遺族給付金の支給が平成13年3月26日以前に死亡した労働者等に係るものとなるため、確認を要することとなる医学的資料の収集が大幅に制限されざるを得ないことから、過去の確定診断手法の実状等も考慮し、疾病の特定については、特別遺族給付金の支給請求書に添付された死亡診断書等の記載事項証明書等の記載内容により判断すれば足りるものとすること。

本件請求に関して、特に重要なのは下線の部分です。
直接死因は、「呼吸不全、塵肺症」ですから、通常労災認定実務においては、まず「塵肺症」という診断に疑義はないのか、ということが問題になりますが、この点については上記「疾病の特定については、特別遺族給付金の支給請求書に添付された死亡診断書等の記載事項証明書等の記載内容により判断すれば足りるものとすること」に則って、本件請求に対しては「塵肺症」に罹患し、「塵肺症」で死亡したことを前提事実として、認定実務を進めるということになります。

ところが、原処分庁は「医学的資料が確認できないため」ということを唯一の理由に不支給としました。(細かく考えますと、「医学的資料が確認できないため」ということの意味が、「塵肺症であることの確認ができない」ということなのか、「塵肺症だとしても、それで死亡したことが確認できない」ということなのか、「塵肺症で死んだとしても塵肺症が石綿肺だったかどうかが確認できない」ということなのかがこの不支給理由では判然としません。開示記録をみても同様です。)

上記の通り、基発第0317010号に則り、本件請求については「塵肺症による死亡」であることを、これを前提として認定実務を進めるべきですから、原処分庁の本来のあるべき認定実務は、その先の検討(石綿ばく露作業歴の有無と程度など)を十分おこなわなければなりませんでした。しかし、それをしないまま不支給処分をしてしまいましたので、これは、明かに行政通達を無視した(つまりは、救済法の趣旨を無視した)誤った認定実務でした。

そして、本来進めるべき認定実務は、次のようになります。
死亡診断書に塵肺症による死亡であることが明記されていますので、次に問題となるのは「塵肺症」の原因粉じんは「石綿」であったのかどうかということになります。そして、この点は、塵肺症を発症し、死亡したとすると、本件請求の場合は、石綿肺であった可能性が非常に高いことが一目瞭然です。つまり、

・典型的な石綿曝露作業である石綿製品を直接取り扱う保温、吹き付け作業が通算で20年以上に及ぶこと
・同僚の多数が石綿肺をはじめとする石綿疾病に罹患し、死亡している事実があること

が明らかだからです。
後者の事実については、原処分庁は、Aさんが所属した会社の少なからぬ労災事案を所轄していますし、外部の人間でも厚生労働省の労災認定事業場に関する開示情報をみれば容易に知ることができます。
以上から、本件請求の死亡原因と成った「塵肺症」は、「石綿肺」である可能性が非常に高いと判断して矛盾はありません。

上記の基発第0317003、0317010号の記載内容が予想したように、医学的資料が欠落あるいは決定的に不足している場合の認定実務については、救済法施行以降、労働行政内部でかなり問題になりました。

たとえば、平成18年10月3日付「石綿による疾病事案の事務処理に関する質疑応答集」臨時全国労災補償課長会議の中に、肺がんの場合について次のように記載されています。

「1-5 特別遺族給付金に係る肺がん事案で、診療録等の医証が全くない場合の取扱いはどのようにすればよいか。(特別遺族)
(答)
肺がんについては、石綿以外の原因、特に喫煙との関係が大きい疾病であることから、
石綿が原因であるというためには、石綿にばく露したことを示す石綿肺や胸膜プラークなどの医学的所見が必要である。したがって、肺がん事案で、石綿肺所見(じん肺管理区分決定に係る情報を含む。)がなく、また、医療機関に診療録等の医証が全くない場合は、石綿にばく露したことを示す医学的所見の存在が確認できないことから、不支給決定を行うことになる。
なお、過去に同一事業場で、同一時期に同一作業に従事した同僚労働者が労災認定されている場合や、相当高濃度の石綿ばく露作業が認められる場合には、本省あて相談されたい。

このような取り扱いは、肺がんだけではなく、石綿肺にも該当すると考えるのが自然です。
しかし、原処分庁が本省協議に付した形跡はありません。
この質疑応答集は平成18年10月3日付ですし、基発第0317003、0317010号は平成18年3月17日付ですので、原処分庁は、これらの指示や意味を踏まえながら、調査・決定を行うことが求められていました。

しかし、原処分庁は「医学的資料がない」ことだけを理由に不支給決定をしました。これは、本来の認定実務過程を逸脱した、誤った取り扱い、判断ですから、改めて、調査し、判断をやり直すべきなのです。

(「石綿の暴露調査をするまでもなく」との実地調査復命書添付資料の記載(開示資料)からわかりますが、一切の曝露歴調査を行っていません。あるべき認定実務を逸脱したことによる時日の経過によって、調査の困難性をまたしても増してしまったことが懸念されます。)
本件請求に対しては不支給決定処分が行われ、請求人は審査請求をしませんでしたが、これは、これまで述べてきたような、原処分庁の認定実務上の誤りを知るべくもない請求人が、「医学的資料がなければ制度上どうしようもない」という誤った説明、理由を原処分庁担当者から聞かされて、審査請求を諦めたに過ぎません。

貴職におかれましては、救済法の趣旨と正しい認定実務に則って、本件請求について再調査され、すみやかに自庁取り消し、支給決定を行われるよう切にお願い申し上げます。


「医学資料なし=不支給事案」の見直しを

申し入れ後、しばらくして北海道労働局から本件不支給処分は見直す意向であるとの連絡があった。
これを受けて5月18日北海道労働局で、補償課長らと遺族、ユニオン、家族の会が話し合いをもった。

席上、局側は、今回の不支給決定には瑕疵 (かし) があったがあった、申し訳ないと謝罪、早急に追加の曝露確認調査を行い、是正すると表明した。
ところで、石綿新法の特別遺族給付金事案については、上述の申し入れでも触れているように、「資料がない」場合の対処について、特に肺がんのケースで大きな問題があるということが、つとに指摘されてきた。

今回は、石綿肺事案で同様の問題が発覚したわけだが、過去の時効救済不支給事案については、不適切な不支給決定が行われていないのかどうかの点検、見直しを早急に行うべきである。沖縄労働局では、沖縄労働安全衛生センターの申し入れに基づいて見直し作業が行われた経緯があるが、全国的に行われてはいない。

北海道局は、これを契機に、過去の不支給事案についてチェックを実施するとのことだった。

問題の重大さ示す数字

最後に、この問題が重大であることを推測できる数字を紹介する。
石綿被害を受けながら労災認定を受けないまま時効で請求権を失ってしまった死亡事案の「救済」が石綿新法(石綿救済法)に盛り込まれ、2006年3月27日に施行以後、2008年度末までに表1の件数が認定されている。


認定率(支給決定件数/決定件数×100)をみると、中皮腫が89.7%(663/739×100)に比べて、肺がんは51.4%(386/751×100)と極めて低くなっていることがわかる。

肺がんの認定率を年度を追ってみると、2006年度48.2%、2007年度58.3%、2008年度63.1%と3年間で上昇している。これは上述した「質疑応答集」における本省の指示が影響している可能性がある。

労災保険法の状況を表2に示すが、肺がんの2006、2007、2008年度の肺がんの認定率は、(783+502+503) / (1055+623+612) ×100=71.8%。石綿救済法の51.4%より明らかに高くなっている。ここからも時効救済を目的とする石綿救済法の肺がん救済率が低い理由が「医学資料なし」=不支給という取扱いを誤ってしていた可能性が高いといえるのである。

労災保険法では、遺族補償給付の請求権は、死亡の翌日から起算して5年を期限としている。つまり、5年目の命日の24時に時効で請求権が消滅する。診療録の保存義務は5年、レントゲン写真はこれより短いので、時効をむかえてしまった事案については、医療記録が全くないことが十分にあり得る。こうした事情によって「医学資料がない」状況に追い込まれた時効遺族の請求を拒否する救済制度であってはいけない。

実は、石綿救済法施行後に全国の労基署に配布された実務マニュアルには、肺がんの場合、医学資料がない場合は業務外となることが明示されており、不支給処分をした札幌中央署の当時の使用を開示したところ、その図(下図)が掲載された資料が含まれていた。札幌中央署はこの図の通りに不支給処分を下しているので、この通りを実行したとみられる。

その後、上述の「質疑応答集」が出たが、その指示が徹底していたのかどうか大いに疑問であり、現に北海道ではAさんの事件が起きていた(Aさんの場合は、表1では、2007年度の列の下から二つ目の(17)の中に含まれる。()は対象疾病でないことから不支給決定したもの)。

ただ、そもそも、死亡届に記載された「呼吸不全」「じん肺症」が、石綿肺とは別物だという認識、発想そのものが間違いで(石綿肺は石綿を原因とするじん肺症)である。
じん肺症による呼吸不全による死亡、であれば、次に石綿ばく露調査を実施して、相応する石綿ばく露作業従事について確認すればよかっただけである。しかし、そうはならず、このフローチャートに従って何の迷いもなく不支給処分とした。

そして、その時点ですでに「質疑応答集」が配布されているのにもかかわらずそれに気づかず、このフローチャートの適用は「なお、過去に同一事業場で、同一時期に同一作業に従事した同僚労働者が労災認定されている場合や、相当高濃度の石綿ばく露作業が認められる場合には、本省あて相談されたい」との指示にも従わなかったことになるわけで、認定実務上のミスを重ねていたのである。

同様のミスは他の地域でもあり得るので、過去の「資料なし」不支給事案の見直し・点検が全国的に必要である。

北海道労働局が道内の労基署に点検指示し、さらに2件自庁取消しで労災認定

北海道労働局は、本件遺族らとの面談のあった2010年5月18日の翌日5月19日付で同種事案についての点検、見直しを指示する事務連絡(本稿末)を道内労働基準監督署に発出した。

その結果について、2010年10月27日に北海道労働局担当者から次のように説明を受けた。

本件が見直し点検の中で浮上し本省協議に付した肺がん2件について、現在までに不支給決定を見直し自庁取り消しとし、支給決定をした。給付済みである。
これは、新法施行の2006年3月から2010年4月末までの、特別遺族給付金不支給決定24件(本件事案を含む)についてすべてを点検した結果である。
結局、該当不支給事案24件中、3件を自庁取り消ししたこととなった。(本件石綿肺1件、追加認定に至った肺がん2件)
ちなみに、今回の2件の自庁取り消しは、「過去に(同一職場で)認定事案がある」「明かな石綿曝露が確認できた」ということがその理由である。
なお、本省が現在までに同様の見直しを全国に指示したということはない。

2010年10月27日北海道労働局担当監察官の説明

本件のほかに、肺がんが2件、追加で自庁取消しとなったということであった。

北海道24件不支給事案中、3件が自庁取消し。
これを全国の数字にあてはめてみる。
表1の2006から2008年度の特別遺族給付金決定件数のうち、不支給決定等件数は、 1550-1106=444件。これに対象疾病ではないとの理由で不支給とされた件数173件をプラスすると、517件。
517件×(3/24:北海道局管内自庁取消し率)= 64 件 となる。
あくまで推定ではあるが、無視できる数値ではなく、全国点検が必要と判断するべきというのが筆者の意見である。

特別遺族給付金の不支給事案の見直しについて

事務連絡 平成22年5月19日
各労働基準監督署(支署)長殿/北海道海道労働局労働基準部労災補償課長

今般、過去に不支給決定行なった特別遺族給付金について、支援団体から再調査の申し入れがあり、本省に協議する等見直しを行なった結果、自庁取消を念頭に再調査を行なうことになった事案が発生しました。
事案の概要は下記1.のとおりでありますが、過去に不支給決定を行なった特別遺族給付金請求のうち、石綿ばく露が強く推定されるが医学的資料がなく対象疾病でない等として不支給決定を行なった同種事案について、再度見直しを行なうことになりましたので、下記2.のとおりご協力をお願いします。
また、同様な事案の再発を防ぐため、今後の取扱いについて下記3.のとおり指示しますので留意願います。

1. 事案の概要等

① 事案概要
特別遺族一時金請求があり、その添付資料である「死亡診断書等の記載事項証明書」に記載された内容は、死亡原因として「直接死因:呼吸不全、その原因:じん肺症」でありました。
石綿ばく露歴については、所属する建設会社にて石綿吹付け作業に従事していたとの請求入の申立てがあり、社会保険記録等により在籍が確認され、さらに当該所属事業場では労災保険法及び救済法による請求とも多数の業務上認定者が存在し、石綿ばく露事業場として公表されていました。

②再調査とする理由
本件事案は、職歴から石綿ばく露作業に従事していた可能性が非常に高いことから、死亡原因である「じん肺症」は療養を必要とする管理区分4相当の石綿肺と判断されました。

2. 過去に特別遺族給付金の不支給決定を行なった事案が存在する署には、別添「石綿救済法による不支給決定状況」表を送付しますので、その表の「不支給理由」欄のコードが4(医学的所見なし)、5(医学的資料なし)、6(対象疾病以外)のいずれかに該当する事案については、「死亡診断書等の記載事項証明書」を含む復命書写(資料を除く)を当課宛至急送付して下さい。

3. 今後、特別遺族給付金の請求事案で、石綿ばく露は確認されるが、医学的事項を確認する資料がないため、対象疾病の確認が出来ないとする理由で決定できない事案については、局に協議をしていただくこととします。

(本信写送付先:江差駐在事務所)
(担当労災補償監察官内線3582)
(文書分類番号:0003保存年限:3年)

関西労災職業病2010年5月号記事に加筆

関西労働者安全センター