アメリカOSHAの新・労災職業病記録規則/新しく、より改善され、より容易に

特集/「労災隠し」と労災職業病の記録・届出

USA OSHA 3169 Publication

使用者が職場の災害や疾病を追跡するための新しい制度ができた。
OSHA[労働安全衛生庁]の新しい記録用紙は、わかりやすく、使いやすいものになった。問答形式によってわかりやすい言葉で書かれた改訂記録規則は、労働災害・職業病の記録に関する疑問に答え、特定の事例の分類方法を説明している。フローチャートとチェックリストで、記録に関する要求事項に従うことを容易にしている。

●何が変わったか?

新しい規則は、

  • 災害・疾病記録を電算課を認めて柔軟性を提供
  • 3つの記録様式を更新
    ・OSHA様式300(労働関連傷害・疾病記録用紙);リーガルサイズ用紙に合わせて簡素化、改善
    ・OSHA様式301(傷害・疾病発生報告);傷害
    ・疾病の発生状況に関する詳細データの追加
    ・OSHA様式300A(労働関連傷害・疾病の概要);発生率の計算を容易にするためにつくられた別様式
  • 小規模使用者(従業員10人以下)は引き続きほとんどの要求事項を免除
  • サービス・小売業の使用者に対する免除措置を変更
  • 労働関連性の定義の明確化、未発生事例の記録の限定、いくつかの傷害・疾病の分類の新たな例外の追加
  • 記録の判断を容易にするため、治療、応急措置、作業制限の新しい定義を導入
  • 労働関連傷害と労働関連疾病に対する異なる基準をやめ、単一の基準を双方に適用
  • 針刺し傷害及び結核の記録を変更
  • 休業、作業制限及び作業転換の日数の計算の簡素化
  • 労働者の参加の改善及び労働者・労働者代表の情報へのアクセスを提供
  • 負傷・罹病労働者のプライバシーを保護

している。

簡素化、明確化された定義はまた、使用者がどの事例を記録すべきかを判断するのを容易にしている。労働災害・職業病の年次概要をより長期間掲示させることは、労働者の情報へのアクセスを改善し、労働者が労働災害・職業病の記録の仕方を理解することによって、労働者の参加と関与を増大させる。

●記録保存のどの要求事項が適用されるか?

死亡災害・重大災害の記録:1970年労働安全衛生法(P.L.91-596)が適用されるすべての使用者は、8時間以内に、死者を出すか又は3人以上の入院患者を出したすべての災害を、OSHAに報告しなければならない。
傷害・疾病記録の保存:前年(暦年)中ずっと10人以下の従業員しかいなかったか、特定の危険有害性の低い小売り、サービス、金融、保険、不動産業に分類される場合には、労働統計局[BLS]又はOSHAが通知しない限りは、傷害・疾病記録を保存しなくてもよい。

●免除されるかはどうすればわかるか?

OSHAは、記録保存が必要な事業所を判断するのに、標準産業分類(SIC)コードを使っている。
OSHAの標準産業分類オンライン・サーチ(http://www.osha.gov/oshstats/sicser.html)で、キーワードでSICコードを検索するかか4桁のコードを入力することにより、特定のSICに関して叙述された情報を検索することができる。以下のSICに分類される事業所は、規模に関わりなく、記録保存に関するほとんどの要求事項を免除される。
525 Hardware Stores
542 Meat and Fish Markets
544 Candy,Nut,and Confectionary Stores
545 Dairy Products Stores
546 Retail Bakeries
549 Miscellaneous Food Stores
551 New and Used Car Dealers
552 Used Car Dealers
554 Gasoline Service Stations
557 Motorcycle Dealers
56 Apparel and Accessory Stores
573 Radio,Television,and Computer Stores
58 Eating and Drinking Places
591 Drug Stores and Proprietary Stores
592 Liquor Stores
594 Miscellaneous Shopping Goods Stores
599 Retail Stores,Not Elsewhere Classified
60 Depository Institutions(Banks and Savings Institutions)
61 Nondepository Institutions(CreditInstitutions)
62 Security and Commodity Brokers
63 Insurance Carriers
64 Insurance Agents, Brokers, and Services
653 Real Estate Agents and Managers
654 Title Abstract Offices
67 Holding and Other Investment Offices
722 Photographic Studios,Portrait
723 Beauty Shops
724 Barber Shops
725 Shoe Repair and Shoeshine Parlors
726 Funeral Service and Crematories
729 Miscellaneous Personal Services
731 Advertising Services
732 Credit Reporting and Collection Services
733 Mailing,Reproduction,and StenographicServices
737 ComputerandDataProcessingServices
738 Miscellaneous Business Services
764 Reupholstery and Furniture Repair
78 Motion Picture
791 DanceStudios,Schools,andHalls
792 Producers,Orchestras,Entertainers
793 Bowling Centers
801 Offces and Clinics of Medical Doctors
802 Offces and ClinicsofDentists
803 Offces of Osteopathic Physicians
804 Offces of Other Health Practitioners
807 Medical and Dental Laboratories
809 Health and Allied Services,Not Elsewhere Classlfied
81 Legal Services
82 Educational Services(Schools,Colleges,Universities,and Libraries)
832 Individual and Family Servlces
835 Child Day Care Centers
839 Social Servlces,Not Elsewhere Classified
841 Museums and Art Galleries
86 Membership Organizations
87 Englneering,Accounting,Research,Management,and Related Services
899 Services,Not Elsewhere Classified

●免除されない場合には何をしなければならないか?

OSHAの記録保存に関する要求事項を免除されない使用者は、労働関連傷害・疾病の記録を準備し、保存しなければならない。連邦規則集(CFR)29巻1904「労働災害・職業病の記録及び報告」をよく読み、どういう事例を記録するのか正確に理解する必要がある。
・傷害・疾病を一覧にし、休業、作業制限、作業転換の日数を追跡するのに、労働関連傷害・疾病記録用紙(様式300)を使う。
・記録した事例についての補足情報を記録するのに、傷害・疾病報告(様式301)を使う。必要な情報が含まれていれば、労災補償又は保険の様式を使うこともできる。
・各範疇の当該年の合計を示す概要報告(様式300A)を使う。概要報告は、毎年2月1日から4月30日の間、掲示される。

●記録の保存の何がそれほど重要なのか?

記録の保存は、いくつかの理由から、使用者の安全衛生努力の重要な一部である。

  • 労働関連傷害・疾病を追跡することは、将来それを予防するのに役立つ。
  • 傷害・疾病データを活用することは、問題の所在を確認するのに役立つ。よく知っていればいるほど、危険有害な職場の条件を確認し、改善することができる。
  • 正確な記録によって、会社の安全衛生問題をよりうまく管理することができる。
  • 傷害・疾病や職場の危険有害要因に対する関心が高まるほど、労働者は安全な作業慣行を守り、職場の危険有害要因を報告するようになる。

OSHAの執行職員は、当該データを信頼して、特定の領域の傷害・疾病を適切に確認し、ねらいを定めるの役立てることができる。当庁はまた、毎年8万の事業所に直接OSHAへのデータの報告を求め、特定地域監督対象プログラムの一環としてその情報を活用している。労働統計局(BLS)も、全国的及び産業別の安全衛生に関する傾向を示す、労働災害・職業病の情報源として傷害・疾病記録を活用している。

●よりくわしい情報はどこで得られるか?

新規則の序文と本文全体は、オンラインで入手することができる。OSHAのウエブサイトの索引を検索すれば見つけられる(http://www.osha.gov/recordkeeping/)。

安全センター情報2002年6月号