職業病リスト見直し:7疾病(多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)等)追加 、対象業務の追加等も2疾病

労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書(2009年12月21日)

厚生労働省は2009年12月21日付けで、「労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書」を公表した。わが国の「職業病リスト」(労働基準法施行規則(別表第1の2(第35条関係)))見直しの検討結果報告である。

目次

7疾病追加、2疾病対象業務追加
新たなに分科会設置も

今回の報告書では、12疾病が検討の対象とされて、7疾病について新たに職業病リストに追加、2疾病について対象業務の追加等、また、2疾病及び新たな化学物質による疾病について幅広く検討するための分科会を設置することが勧告された(1疾病―木材粉じんによるがんについては、「現時点において新たに追加する必要なし」とされた)。

様変わり

前回―2003年6月4日付けの報告書では、11疾病が検討の対象とされて、いずれの疾病についても「新たに追加する必要なし」、1疾病―木材粉じんによるがんのみ「しかしながら、今後、国内における木材の種類別にみたばく露の程度、人数等の調査、より詳細な疫学調査等の実施が望まれる」とされたのに比べると様変わり。
前回の検討以来、

「この間例えば『石綿による疾病の認定基準』において、良性石綿胸水及びびまん性胸膜肥厚が一定の要件のもと、業務との因果関係がある疾病として、新たに対象疾患に追加されています。また、電離放射線や塩化ビニルに係る各種のがんに関する検討会が開催され、個別例ではありますが、業務との因果関係を認めるとする報告書が出されております。こうしたことを踏まえ、今回の検討会では、別表第1の2への追加につきましては、主として、労災認定基準において、新たに業務との因果関係が認められた疾病や、個別症例等検討会において業務と疾病との因果関係が認められた疾病等を対象に御検討いただきたい」

2009/03/24第1回労働基準法施行規則第35条専門検討会議事録

というのが、今回の検討にあたっての厚生労働省事務方の説明であった。
報告書は2009年12月21日付

改正案要綱

厚生労働省は、報告に基づいた労働基準法施行規則(別表第1の2(第35条関係))の改正案要綱を、2月18日に労働政策審議会に諮問した。

●対象業務等を見直すもの

○第三号の4の改正
(旧)せん孔、印書、電話交換又は速記の業務、金銭登録機を使用する業務、引金付き工具を使用する業務その他上肢に過度の負担のかかる業務による手指の痙攣、手指、前腕等の腱、腱鞘若しくは腱周囲の炎症又は頚肩腕症候群
(新)電子計算機への入力を反復して行う業務その他上肢に過度の負担のかかる業務による後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕又は手指の運動器障害
○ 第六号の1(現行は以下のとおり)に規定する業務に、介護の業務を追加
(旧)患者の診療若しくは看護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患 看護の業務

●業務上の疾病の範囲を見直すもの
○疾病の追加

  • 石綿にさらされる業務による良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚
  • 塩化ビニルにさらされる業務による肝細胞がん
  • 電離放射線にさらされる業務による多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫
  • 長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病
  • 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病

労働基準法に基づき発する命令については、その草案について、公聴会で労働者、使用者及び公益それぞれを代表する者の意見を聴いてこれを制定することとされている(労働基準法第113条)ことから、3月16日に意見聴取のための公聴会が開催される。さらに、3月30日の労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会で審議・答申後、労働基準法施行規則改正、公布日に施行されることが予定されている。

なお、検討に資するために、2007年度分までの「その他に包括される疾病」における労災補償状況調査結果が示されているが、このデータについては、安全センター情報2009年8月号32~38頁にすでに紹介してある。

安全センター情報2009年8月号32~38

2010年5月7日付職業病リスト改正

以上により、職業病リスト(労働基準法施行規則別表第1の2)が改正された。

安全センター情報2010年4月号