6年7ヵ月かかって・・・裁判所、サムソンディスプレーの清掃労働者の乳がんを労災認定」/韓国の労災・安全衛生2025年12月11日

電子部品を生産するサムソンディスプレイ工場で、7年9ヶ月間、生産ラインの清掃をしてきた女性の非正規職労働者の乳ガンが、業務上の疾病だという裁判所の判決が出た。発ガン物質に、少量でも長期間ばく露されたことが、ガンの発病に影響を与えたと裁判所が判断したのだ。低濃度ばく露などを理由に、労災申請を不承認とした勤労福祉公団の決定が逆転したのだ。
「半導体労働者の健康と人権守り」(以下、パノリム)等の発言を総合すれば、最近ソウル行政裁判所が、サムソンディスプレイの生産ラインで清掃業務をして、乳ガンを発病した非正規職労働者に対する勤労福祉公団の労災不承認処分は、誤りだと判断した。サムソンディスプレイで、夜間交代勤務なしで働いた清掃労働者の中で、労災認定を受けたのは、今回が初めてだ。原告は行政訴訟を経て、6年7ヶ月目に労災認定を受けることになった。
ソウル行政裁判所は今回の判決で、非正規職清掃労働者の原告が、社内の作業場を行き来しながら清掃をする過程で有害化学物質と放射線にばく露し、これと乳ガンの発病との間に相当な因果関係があると認めた。パノリムは、「今回の判決は、夜間労働をする交代勤務者ではなく、昼間の勤務だけをした場合でも、様々な有害化学物質と放射線などに複合的、累積的にばく露され、乳ガンが発病したと見たという点で意味が大きい」と評価した。
2021年にも、サムソンディスプレイの清掃労働者が乳がんに罹り、労災認定を受けた経緯がある。当時、被災者が三交代勤務をした点などが一緒に考慮されて労災認定を受けた。パノリムの活動家のイ・ジョンラン労務士は、「この間、勤労福祉公団は、交代勤務が発ガン原因と認定してきた方だが、酸化エチレンなどの化学物質の影響で乳ガンが発生する部分については認めなかった。」「今回の裁判所の判決は、昼間の勤務だけでも、清掃労働の過程で有害化学物質と放射線にばく露され、これによって乳がんが発病し得ることを認めた」と説明した。
原告が判決を受けるまでにかかった時間は、6年7ヶ月にもなる。原告は2019年1月に乳ガンの診断を受けた後、同年三月に勤労福祉公団に労災療養給与の申請をしたが、2年7ヶ月目に不承認処分を受けた。これに対し、2021年12月にソウル行政裁判所に訴訟を提起した後、4年目に労災認定の判決を受けることになった。
パノリムは、「被災者が自らの苦痛を自分で証明するために、余りにも長い時間がかかった。」「勤労福祉公団は控訴せず、早く判決を確定して欲しい」と主張した。
2025年12月11日 ハンギョレ新聞 パク・ダヘ記


