「安全措置を執らずに労働者死亡」前仁川港湾公社社長に実刑判決 2023年06月07日 韓国の労災・安全衛生

7日、産業安全保健法違反の疑いで法廷拘束されたチェ・ジュンウク元仁川港湾公社社長。/聯合ニュース

2020年に仁川港の閘門で40代の労働者が墜落死亡したことに関連し、当時安全管理をまともにしなかった疑いで起訴されていたチェ・ジュンウク前仁川港湾公社社長(56)が、裁判所で実刑を宣告されて法廷拘束された。裁判所は仁川港の閘門では2016年と2017年にも墜落死亡事故が発生し、事故発生の8日前にも災害予防の専門機関から墜落事故発生の危険を指摘されたのに、前社長が安全措置を執らず、死亡の責任も下請け業者に押し付けたと判断した

仁川地方裁判所は7日に開かれた宣告公判で、産業安全保健法違反の疑いで起訴されたチェ前社長に懲役一年六月を宣告し、法廷拘束したと明らかにした。検察は結審公判で懲役三年を求刑していた。

裁判所は同じ容疑で起訴された仁川港湾公社に罰金1億ウォンを、産業安全保健法違反と業務上過失致死の疑いで起訴された閘門修理公社の下請け業者代表のA氏(52)にも懲役一年を言い渡した。

チェ前社長は2020年6月3日、仁川港の閘門で修理工事が行われた当時、安全管理をまともに行わなかったとして在宅起訴された。

当日午前8時18分頃、閘門の上で修理工事をしていたBさん(46)は、H鋼を下げる作業をしていたところ、18m下の床に墜落して死亡した。

仁川港湾公社は仁川港の閘門修理工事を22億ウォンで発注し、A氏が代表である民間業者が受注した。検察は仁川港湾公社が元請け会社に該当すると見て、チェ前社長などに産業安全保健法違反の疑いを適用して、起訴した。

裁判所は、チェ前社長は事故が発生した閘門修理工事の施工を総括管理する産業安全保健法上の事業主に該当すると判断した。

裁判所は「事業主であるチェ前社長は、重量物を扱う労働者を墜落・落下・転倒・狭窄・崩壊の危険から予防できる設備と作業計画書を作成し、労働災害を予防すべきであったにも拘わらず、必要な安全措置を執らずにB氏を死亡に至らせた」とした。

裁判所は続けて、「チェ前社長と仁川港湾公社は、仁川港の閘門補修工事は核心的な業務なのに、人材と財政などが比較にならないほど劣悪な下請け業者に整備工事を外注化した後、責任も全て下請け業者に押し付け、一貫して弁解だけをした。」「事故発生8日前に墜落事故発生の危険を指摘されても、何の安全措置も執らなかった」と説明した。

裁判所は特に、「こうした契約上の地位を利用したパワハラと危険の外注化が、産業現場で数多くの労働者を死に追いやる社会構造的な問題を引き起こしている。」「チェ前社長と仁川港湾公社は被害者の遺族を慰労したり合意もしなかった」と、量刑の理由を明らかにした。

海洋水産部海洋政策室長出身のチェ前社長は、2020年03月に第6代仁川港湾公社社長に任命され、先月退任した。

2023年6月7日 京郷新聞 パク・ジュンチョル記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202306071502001