「代表の代わりに安全責任者の処罰」可能に~重大災害法を揺さぶる企画財政部 2022年9月1日 韓国の労災・安全衛生

「世界労働災害死亡者追慕の日」の4月28日、ソウル地方雇用労働庁前で民主労総の組合員が「重大災害処罰などに関する法律」の無力化を糾弾するスローガンを叫んでいる。/ユン・ウンシク専任記者

企画財政部が「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害法)施行令改正の土台となる自主委託研究報告書を国会に提出した。安全保健最高責任者(CSO)を経営責任者と認定し、代表理事の責任を回避できるようにする「経営責任者の範囲拡大」に関する内容が含まれていることが判ったが、この報告書では、施行令ではなく、法律改正としてこのような内容が含まれていることが確認された。

国会・環境労働委員会のウ・ウォンシク議員が企画財政部から提出を受けて公開した「労災予防のための労働法制体系とその実効性向上方案」報告書は、重大災害法の解釈と適用に関する争点を検討し、法律と施行令の改正案を各条文別にまとめている。この内「経営責任者の範囲拡大」は法律改正案に含まれている。当初、企画財政部は該当の内容が施行令の改正案に含まれているかについて、「法理的なことは確かめてみなければならないが、研究者は可能だと考えていると言った」と、明らかにした経緯がある。

現行の重大災害法は経営責任者に、従事者の安全・保健確保のための安全保健管理体系構築・履行の義務を賦課している。これを守らず、従事者が死亡するなどの重大な産業災害が発生すれば、経営責任者を処罰するよう規定している。経営責任者を「事業を代表して、事業を総括する権限と責任がある者、またはこれに準じて安全保健に関する業務を担当する者」と定義している。これに対して経営界は、「安全保健最高責任者(CSO)も経営責任者と見るべきだ」とし、こうした内容を施行令に含めるべきだと主張してきた。このような主張に対して、「安全保健の最高責任者を前面に出して、代表取締役の処罰を回避しようとすること」「法律上、(施行令に委任する)委任規定がないのに、施行令に含めるのは無理」という批判が相次いだ。

報告書は重大災害法の『経営責任者』の定義を「事業内の組織、人材、予算に関して最終的な決定権限を持って事業を総括する人。但し、産業安全関連の組織、人材、予算に関して、独自に最終的な決定権限を持つ者がいる場合には、この人を経営責任者と見る」と改正すべきだと提案した。また「具体的な経営責任者の判断指標を、細部的に施行令または施行規則、あるいは指針等を通じて提供することにより、安全保健最高責任者に対して経営責任者としての地位を認める方式で、改善を図る必要がある」と明らかにした。『最終決定権限を持つ』という前提はあるが、経営界の主張するように、代表理事の代わりに安全保健最高責任者を経営責任者と見るべきだということだ。

合わせて報告書は、施行令に「安全経営体系認証」に関する条項を新設し、「事業主または経営責任者が安全保健経営システム(KOSHA-MS)等で公認された安全経営体系構築認定を受けた場合」、施行令に経営責任者の義務と規定された『業務手続き』を履行したと看做す内容が含まれた。安全保健経営システムは、安全保健公団が企業の自律的な安全保健経営体系の確保のために導入した認証手続きだ。この認証を受ければ、△事業場の安全・保健関連の目標と経営方針の設定、△災害予防のための安全・保健関連の予算編成、△安全保健関連の人材に対する権限・予算配分、△安全保健関連人材の配置、などの手続きを履行したと看做すということだ。しかし労働界は、このような認証を受けた企業でも、産業安全保健法違反と重大災害が頻発しているという点を挙げ、『認証完了』を安全保健管理体系の『構築』と認定する方案に反対してきた。

企画財政部はこの間、国会の度重なる委託研究報告書の提出要求にも、「労働部の施行令改正案が確定していない」という理由で拒否し、この日の午後になって報告書を国会に提出した。企画財政部はこの報告書を、労働部に要約した形で伝えたが、今月初めに労働部が発表する施行令の改正案には、経営責任者の範囲拡大と安全保健認証などが含まれない可能性が高いと見られる。労働部が、該当の内容を施行令に盛り込むことに事実上反対しているためだ。イ・ジョンシク労働部長官は先月31日の記者懇談会で、「最高安全保健責任者と安全保健認証などが(重大災害法施行令に含まれることが)重大災害法の立法趣旨と(法律の)委任範囲に符合するかは、皆さんが合理的な観点で判断できると思う」として、関連の内容が施行令に含まれないことを迂回的に明らかにした。

2022年9月1日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1057193.html