重大災害処罰法、学術・専門家団体「法執行意志に疑問」財界要求の『すべて』に反論 2022年7月8日 韓国の労災・安全衛生

重大災害予防と安全権実現のための学者専門家ネットワークの会員たちが7日、大統領室の前で、重大災害処罰などに関する法律の厳正な執行と施行令改正に対する意見発表記者会見を行っている。/チョン・ギフン記者

施行から半年足らずの「重大災害処罰等に関する法律」(重大災害処罰法)が揺れている。尹錫悦政府は国政課題として、安全管理体系の構築を企業の自律に任せるとし、重大災害処罰法施行令の改正を予告した。雇用労働部は年内に施行令の改正作業を終える計画だ。

  与党を中心に法律改正の動きも起きている。「国民の力」のパク・デチュル議員が代表発議し、ユン・ハクグァン議員らが次々署名した重大災害処罰法改正案は、法務部長官の認証を受けた企業は重大労災が発生しても経営責任者への処罰を軽減したり免除するようにしている。

  党・政の「重大災害処罰法無力化」の試みに、専門家たちが乗り出した。13の学術・専門家団体と130人の専門家が会員の「重大災害専門家ネット」は7日、大統領室の前で記者会見を行い、重大災害処罰法の厳正な執行を追求し、施行令改正に対する立場を明らかにした。 <毎日労働ニュース>が財界と労働部、重大災害専門家ネットの意見を総合して、施行令改正で予想される争点を探ってみた。

  ◇職業性疾病の範囲=重大災害処罰法は、同一の有害要因で急性中毒などの職業性疾病が、一年以内に3人以上発生すれば、重大産業災害と看做す。施行令は急性中毒関連の職業性疾病の種類を24種類規定している。財界は職業性疾病に「重症度基準」を新たに導入し、「6ヶ月以上の治療を要する場合」に限定することを要求している。母法が施行令に委任したのは職業性疾病の種類だ。専門家らは「施行令で重症度を追加する場合、違憲の素地がある」と指摘する。パン・イェウォン職業環境専門医(職場の健康を守る職業環境医師会)は、「急性中毒は早期に発見すれば治療が可能だが、そうでない場合、回復不可能な損傷を招く疾病」とし、「事業場の有害な危険要因を管理する責任が経営責任者にあるという点と、職業性疾病の問題の深刻性を考慮すれば、現行より後退してはならない」と主張した。

  ◇経営責任者の義務=財界は、経営責任者に準ずる「安全保健に関する業務を担当する人」が選任された場合、代表取締役に対する免責を優先的に要求している。しかし、これは母法の委任範囲から外れたもので、施行令改正で扱う問題ではない。

  請負・委任・委託関係における安全保健確保義務に関し、財界は「元請の経営責任者の義務が余りに広範囲で、何を守るべきか分からない」と主張する。重大災害処罰法は事業主や法人または機関が、施設・装備・場所などについて、実質的に支配・運営・管理する場合、元請の経営責任者が責任を負うようにしている。労働部は重大災害の発生原因を見て、該当施設や装備・場所に対する所有権や賃借権などの事実上の支配力を持ち、危険に対する制御能力を持つ場合、元請に安全保健管理の責任があると考えられる。契約の形式が賃貸や発注でも、事実上の支配力を行使すれば元請の責任ということだ。財界は「『事実上の支配力』という意味が曖昧だ」、「事業の目的遂行と関連のある請負の場合にのみ、元請に責任を負わせるべきだ」と要求する。ソン・イクチャン弁護士(重大災害専門ガーネット執行委員)は「産業安全保健法でも21種の危険場所の場合、元請の事業場の外であっても、支配・管理する場所であれば責任を負うように規定している」、「財界の主張は、産業安全保健法よりも緩やかな法を作ろうということ」と批判した。

  施行令4条9号は、元請けが請負・委任・委託をした場合、従事者の安全保健を確保するために、下請けの労災予防能力を評価し、半期に一回以上点検するように規定している。財界は評価基準が曖昧だと指摘している。労働部は最小限の措置もせず、ひたすら最低落札制で業者を選定すれば、該当規定を守らなかったと判断する。

  ◇重大災害発生事実の公表=重大産業災害で有罪が確定すれば、労働部長官はこの事実を公表しなければならない。施行令は事業場の名称と災害発生の日時・場所・被災者・災害の内容と原因・5年内の災害発生有無などを、一年間、官報や産業安全保健当局のホームページに掲示するようにした。重大災害専門家ネットは「刑が確定した以後に公表する場合、裁判が長くかかると市民の知る権利が正しく保証されない」として、「アメリカのように、法違反で起訴された場合、その内容を全て公開したり、具体的な義務違反の事実が明らかになれば、一審の判決後に遅滞なく公表するように基準を変えるべきだ」と要求している。

  専門家たちは、検察と司法部が乗り出すべき時だと強調する。施行5ヵ月間、法違反の疑いがある事件だけで80件を超える状況で、たった1件しか起訴されていないのは、余りに消極的だという批判だ。彼らはこの日の記者会見で「検察が起訴はもちろん、労働部に対する捜査指揮も正しく行っておらず、法執行の意志が余りにも微弱だ」と批判した。合わせて、裁判所が法の実効性を担保するために、重大災害を発生させた経営責任者に相応の重刑を宣告することを要請した。

2022年7月8日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

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