ハンエクスプレス労災惨事2周忌追悼記者会見 2022年4月29日 韓国の労災・安全衛生
2020年4月29日に建設労働者38人の命を奪ったハンエクスプレス物流倉庫火災が発生して2年が過ぎた。全国民の怒りと驚愕の中、労災を起こした企業を処罰すべきだという声が高まっている。しかし、施工会社のコンウに3千万ウォンの罰金と、管理者二人に実刑が言い渡されただけで、緊急避難路の閉鎖を指示したハンエクスプレスのチーム長には無罪が宣告されるなど、軽い処罰しか出されなかった。その間にも遺族の苦痛は続いている。
このような中、4月29日に全国建設産業労働組合連盟は惨事二周忌を迎え、民主労総、労災被害家族ネットワーク「二度とは」と一緒に、追悼記者会見を行った。建設産業連盟はこの席で、発注者にまで安全管理責務を課す『建設安全特別法』の即時制定を要求する一方、麗水イイル産業、麗川NCC爆発火災で死亡した労働者を想起して、『産業団地老朽設備安全管理特別法』の制定も要求した。また、50億未満の建設現場や50人以下の事業場への適用が猶予された『重大災害処罰法』を、5人未満の事業場まで全面的に適用させる方向に改正すべきだと要求した。
記者会見は建設産業連盟のチャン・オッキ委員長の発言から始まった。委員長は「尹錫悦当選者は候補時代、麗川NCC爆発事故の犠牲者遺族に「心から謝罪する」と言ったが、経済界の団体と会って、『重大災害処罰法』を無力化させると公言した」。「次期大統領が遺族に会った時の言葉をそのまま実践しなければ、建設労働者の命を救うことはできない」と話した。更に、「建設安全特別法は発議して一年以上経ったのに、国会の法案小委で身動きも取れない」とし、建設安全特別法の国会通過のために国会と政府が本来の役割を果たすよう注文した。
続いて発言した全国プラント建設労働組合のイ・サンウォン委員長は、「麗川NCC爆発事故の原因は老朽設備だったが、その爆発事故を起こしたタンクが大韓民国には3千個ある」とし、老朽設備特別法を直ちに制定すべきだと話した。建設企業労働組合のホン・スングァン委員長は「ハンエクスプレス事故と現代産業開発の事故は同じだ」、「発注先は早く建てろと圧力を掛け、元請も早く完成させて販売費、管理費を減らそうとしたため」とし、「安全な建設現場のために発注先と元請の責任が強化されるべきだ」と話した。
記者会見では労災被害者遺族の連帯発言も行われた。2019年、釜山のキョンドン建設の現場で死亡した故チョン・スンギュさんの息子のチョン・ソクチェさんは、「大企業は、家族を失った悲しみに陥った遺族に、蛮行を犯してきた」、「法的訴訟、情報隠蔽、遺族に対するデマの流布などで遺族は苦しんできた」と話した。更に、「307日待って、初めての控訴審が開かれたが、検察は補強捜査や追加証拠の提出などの意志は全くなかった」、「遺族が率先して証拠を司法部に提出しても無視されてしまう」、「韓国の司法構造で加害者企業を処罰するのは本当に難しい」と訴えた。
続いて、ハンエクスプレス労災被害者の故キム・ヒョンジュさんの娘のキム・ソンエさんは、「この二年間、遺族たちはまだ事件のトラウマから抜け出せず、薬で耐え、追悼行事に出ることさえも苦しんでいる方たちが多い」とし、労災事故後の傷は依然として続いていると訴えた。更に、「現在、重大災害処罰法はぼろぼろで、労災予防のためにならないというのが多くの国民の認識だ」、「しかし、建設会社や経済界は、企業活動が萎縮している」とし、「それさえも無力化させようとする色々な手口を使っている」、「ハンエクスプレスのような発注先も処罰できるよう、建設安全特別法など、関連法の制定が不可欠だ」と叫んだ。
この日、建設産業連盟は三つの縦断祈祷会や追悼文化祭などを行い、ハンエクスプレス労災事故で亡くなった人たちの魂を慰める時間を過ごした。遺族のキム・ソンエさんの話のように、労災事故は一瞬にして起きるが、残された者たちの苦痛は依然として続いている。2020年には458人が、2021年には417人の建設労働者が労災で命を失った。しかし、彼らの死の後には、数え切れないほど多くの人たちの悲しみと苦痛が続いている。これ以上このような苦痛が繰り返されてはならない。今からでも直ちに建設安全特別法、老朽設備特別法のような、安全な建設現場のための法案が可決されなければならない理由だ。
2022年4月29日 労働と世界 イ・ジュンヒョク記者
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