重大災害で一日に4人が命を失った 2022年3月28日 韓国の労災・安全衛生
25日に出社した4人の労働者は帰宅できなかった。彼らはソウルで、巨済で、釜山で、清州で、それぞれ発生した4件の重大な産業災害で命を失った。「重大災害処罰等に関する法律」(重大災害処罰法)が今年1月27日に施行されて以来、1日で最も多くの事故が起こった。24日に大統領職引継ぎ委員会・雇用労働部の業務報告で、「重大災害処罰法に対する現場の憂慮」と「指針・解釈・マニュアル・下位法令改正」を論議された翌日に起こった。新政権の重大災害処罰法の「揺さぶり」が、労働者の生命と安全を脅かすのではないかという懸念の声が高まる。
ぶつかって死ぬ、落ちて死ぬ、挟まれて死ぬ
25日午後1時40分頃、巨済市の大宇造船海洋の岸壁で、クレーンのエレベーターを補修していた下請け労働者Aさん(55歳)が、落ちてきた3kgのソケットとワイヤーが頭に当たり、病院に運ばれたが死亡する事故が発生した。Aさんはクレーンの下で作業中で、60m上では同じ下請け会社の労働者がワイヤーの交換作業をしていた。クレーンの上下で同時作業が行われていた可能性がある。労働部は「事故の知らせと同時に作業中止命令を出し、事故原因と重大災害処罰法に違反しているかどうかを調査中」とした。
同日午後4時34分頃、清州のセンソン化学で、正社員のBさん(40)が配合室で配合器の内部を点検している途中、設備に挟まれて死亡した。センソン化学は、50人以上の事業場で、重大災害処罰法の適用対象となっている。労働部は作業中止命令を出し、調査に着手した。
また、同日、建設現場でも2件の事故が発生して2人が死亡した。ソウルの複合施設の新築工事現場で午後12時30分頃、地下3階で塗装作業をしていた労働者のCさん(57)が地下4階に墜落し、命を落とした。釜山市の業務施設の新築工事現場では、Dさん(36)が午前10時20分頃、駐車タワーの地下1階で断熱剤の仕上げ作業をしていて、リフトカーが上昇した時に降りてくるカウンターウェイトに挟まれて病院に運ばれたが、結局、死亡した。これらの建設現場は工事金額が50億ウォン以上で、重大災害処罰法が適用される事業場だ。
「今が重大災害処罰法の無力化を議論する時なのか」
事故が起きる前日、引継ぎ委では重大災害処罰法の下位法令の改正が話し合われた。労働部の業務報告の過程で、引継ぎ委が「重大災害処罰法に対する現場の憂慮」を伝えると、労働部は「憂慮がある以上、指針や解釈、マニュアル、必要な場合には下位法令まで改正して、不確実性の解消に最善を尽くす」という考えを明らかにした。新政府が発足すれば、重大災害処罰法を緩和するというシグナルだ。光州の現代産業建設のマンション崩壊事故で弾みがついた建設安全特別法の制定も、容易ではない見通しだ。労働部は、建設安全特別法の代わりに、関連の内容を産業安全保健法に盛り込むこともできるという趣旨で、業務報告を行ったと解った。
引き継ぎ委が言う『現場の懸念』は、事実上企業の声だ。経総は重大災害4件が発生した25日、「経営責任者の義務内容の不明確性を解消し、経営者に対する下限刑(1年以上の懲役刑)を削除する方向で重大災害処罰法を改正すべきだ」という意見が入った『新政府に望む企業政策提案書』を引き継ぎ委に伝えた。重大災害事業場での経営責任者への処罰を低減すべきだという意味だ。
21日、尹錫悦当選者は経済6団体長と会い、「企業がより自由に判断し、投資し、成長できるように、制度的な妨害要素を取り除くのが政府のする仕事」であると強調した。この経済6団体長の要求事項には、重大災害処罰法の改正も含まれている。
労働界は「最近の市民を対象にしたアンケート調査の結果、78%が重大災害処罰法が労災死亡の減少に肯定的だと評価し、企業が主張するように、事業主の処罰が重すぎるという回答は18.7%に過ぎなかった」とし、「このような市民の期待に反する重大災害処罰法の無力化の試みを中止せよ」と追求した。
2022年3月28日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=208053